藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

規制の構図。

心臓の動脈硬化は、最後には血管がボロボロになり部分的な修復ができなくなるという。
日本の特色は?と聞かれれば迷わず「規制」と答える。
バブルが終わって平成になり30年。
多分どこかで破綻するのは財政だけではない。
国力そのものが「死に体」になっていくに違いないと思う。

高度経済成長期には「制御弁」として働いた規制が、今は「既得権益」として立ちふさがる。

規制があってその規制ゆえに「胡座をかく」ものが必ず出てくる。
さらにそうした「規制を作ること」を生き甲斐にする行政もはびこる。

一旦できた規制はそうやすやすとは解除されない。
「解除する人」はリスクを問われるからだ。

一方、規制を作る側の人はノーリスクだ。

かくして、どんどん規制は増え、減ることを知らない。
いつの間にか「活発な挑戦」もする気が無くなる。
規制を守るためのシステムが「目的そのもの」になれば、自由なイノベーションは衰退する一方だ。
官僚&行政のあり方をリセットしないと日本はこのまま「自重」で沈んでいくばかりだと思う。

生産性考一歩前へ(5)旧態依然カビ規制 ルールは自ら変えていく

2018/5/5付[有料会員限定]
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 「薬は飲んでいますか」。パソコン画面に映ったとうきょうスカイツリー駅前内科(東京・墨田)の金子俊之院長の問いかけに40代の男性は笑顔でうなずいた。月に1度のオンライン診療だ。男性は高血圧を患うが降圧薬を飲む程度で症状は安定している。「以前は同じ薬を処方してもらうために毎回通院していた。本当に助かる」と語る。

オンライン診療は患者のメリットも大きいが…(とうきょうスカイツリー駅前内科)
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オンライン診療は患者のメリットも大きいが…(とうきょうスカイツリー駅前内科)
 通院の手間や待ち時間を省けるなど患者の利点が多いオンライン診療。福岡県で実施したある実証実験ではオンライン診療の利用で、患者の通院・待ち時間を平均80分間短縮できた。日本では2015年にようやく解禁されたが、普及の壁は多い。

800年分の時間
 例えば、対面診療に比べ大幅に低い診療報酬。高血圧の場合、オンラインの診療報酬は1700円と対面の約半額だ。「手間は同じなのに」との声は医師の間でも多く、敬遠される原因だ。また、4月からは3カ月に1度の対面診療が義務付けられた。従来、オンライン診療だけで済んでいた患者も通院する必要がある。

 技術の進歩を反映せず、生産性向上を妨げる旧態依然の「カビ規制」は至る所で姿を現す。

 住宅の購入から遺産相続まで必要になる機会が多い印鑑証明書。今も紙しか認めない自治体などは少なくない。会社設立時に必要な登記事項証明書も同様だ。日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)によると、印鑑、登記事項、納税の各証明書の添付を省けば年間約8300億円の経済効果が見込めるという。

受け身姿勢強く
 公的文書の電子化が進むエストニア政府はブロックチェーン技術で秘匿性の高い情報をネットで安全にやり取りするシステムを構築。パソコンなどで瞬時に行政サービスを受けられる。年間5億件以上の利用があり、17年の1年間だけで人手による作業を800年分削減する効果があったと試算する。JIPDECの坂下哲也常務理事は「日本も制度改定とシステム構築を急ピッチで進める必要がある」と強調する。

 ルールに対する国内企業の受け身の姿勢も課題だ。

 ドローン最大手の中国DJIの最新機種は最大5台が連携し、農薬を効率的に自動散布するのが売り物。だが、日本では農業用ドローンの自動飛行のルールが未整備で、利用者が尻込みするため、同社も現時点では自動運転機能の利用自粛を求める。DJI日本法人の呉韜社長は「海外はまず動いて問題があればルールを作る。日本はルールがないと動かないので仕方がない」と残念がる。

 「二本差しが怖くておでんが食えるか」。ヤマト運輸(現ヤマトホールディングス)の中興の祖、小倉昌男氏は「宅急便」を全国展開する際、なかなか路線免許を認可しない運輸行政に対し、行政訴訟まで起こして規制と闘い、市場を開拓した。今の日本はどうか。規制に対して受け身の姿勢だけでは、海外との生産性の差はますます広がりかねない。

=この項おわり

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