*[次の世代に]組織だのみでなく生きていくために。
アメリカの友人は、二言目には「私のスキルが」「私の実績は」と口にする。
ちょっとアピールしすぎにも思うが、日本人とは迫力が違うな、と思う。
一つの会社で勤め上げることの貴重さは、絶対にあると思うけれど、その会社が「外部環境の変化」についていけなければ「とも倒れ」になる。
日本でもまたリストラの嵐が吹いているが、「親方」が倒れてしまっては是非もない。
大企業が安定して従業員を囲って「入社から定年まで育てる」というモデルが通用しなくなったのだ。
高度成長期の「勝ち組モデル」がゴロッと変わろうとしている。
働く人たちも「大鑑巨砲船」に乗っていてはともに溺れてしまいかねない。
「自分の能力は何で、どの程度か」が当たり前に問われる時代に入っている。
リクルートキャリアが新卒学生に働きたい会社を尋ねたところ「どこでも通用する能力が身につく」との回答が従来の6割から19年卒は72.3%になった。増本全・就職みらい研究所長は「安定収入を得るには成長せざるを得ないということ」という。どの会社ではなくどこでも働ける有能な人になりたい。就職の概念も変わる。
今ごろだ。
働きたい会社を尋ねたところ「どこでも通用する能力が身につく」との回答。
つまり「能力が身につかない仕事はNO」という話がようやく若者にも出てきたということだ。
あまりに遅いが、今からでも就職・転職する人には「自分の伸び」を中心に考えてもらいたいと思う。
第1部 突き抜ける職場(2) 肩書は「私」 フリーで複業
大久保陽平(29)は昨年、大手ネット広告代理店を辞めてフリーのIT(情報技術)エンジニアとなった。「技術を高める新しい仕事を数カ月単位で選べる」フリーのエンジニアといえば経験を積んだ40代以上が相場だった。だがギークス(東京・渋谷)など彼らと企業を結ぶ仲介大手では20代が登録者の4割近くまで増えた。人脈のため就職変化の速いITの領域では、企業は案件に応じて必要なスキルを持ったプロと契約することが多い。人材各社の扱う月収100万円超えの非正規の雇用求人は年に数倍のペースで増えている。「管理職の求人も増え、ポストは都内で5千程度」と人材サービスのエン・ジャパンはみる。IT業界では慢性的な人手不足を背景に働き手側が強気だ。月給100万円の提示を、130万円にしたという男性エンジニア(64)もいる。時に彼らが請われて正社員で契約することもあるが、それは「いい会社なら人脈を広げられ、経歴に箔がつくから」。フリーエンジニアの勝又健太はそういってはばからない。副業に給与支給「正社員でみんなと同じように働いても自分の価値は高められない」。人材大手ディップの採用担当、小林宥太(24)は週末や夜に10社以上でSNSを使った採用コンサルティングをする。ツイッターを通じ、見知らぬ人事担当者らから副業依頼を受ける。社員の成長意欲を促そうと「複業」を奨励する企業も増えている。スープ専門店「スープストックトーキョー」を運営するスマイルズ(東京・目黒)は副業で起業した社員に給与を2年間出す。多方面にアンテナを張る意欲や感度は企業の成長に欠かせない。「新しいことを仕掛ける社員の活力にこそ投資したい」と社長の遠山正道(57)も他社の広報などの「複業」に励む。社員の6割が副業を持つネットサービスのエンファクトリー(東京・渋谷)社長の加藤健太(52)は「優秀な社員ほど副業をもち、成功する」と話す。新生銀行は昨年、大手行では珍しく副業を解禁した。「人を抱え続けるのが難しい時代。市場価値を把握し、各自でスキルアップしてほしい」と林貴子人事部長は話す。終身雇用や昇給を保証できない企業側の事情も副業を後押しする。リクルートキャリアが新卒学生に働きたい会社を尋ねたところ「どこでも通用する能力が身につく」との回答が従来の6割から19年卒は72.3%になった。増本全・就職みらい研究所長は「安定収入を得るには成長せざるを得ないということ」という。どの会社ではなくどこでも働ける有能な人になりたい。就職の概念も変わる。(敬称略)=関連記事経済面に