藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

働き方の変化。

人材の多様性、という言葉が登場して数年。
働き方も多様になろうとしている。

日本は「囲い込み」が元来得意なのかもしれないが、そうではない「解放」がいよいよ効果を発揮する時代に来ているのかもしれない。
主業を持ちながらの「副業」というのは少し前までは推奨されなかったが今は違う。
むしろ主業+副業+趣味、くらいの生活感があったほうがよさそうだ。

「禁止」の文化がまた一つなくなりつつある。

副業、社員の力アップ 本業と相乗効果も
 会社員の「副業」に関心が集まっている。就業規則で副業を禁じる企業は多いが、サイボウズなどはあえて多様な働き方を認め、従業員のやる気を引き出そうとする。コニカミノルタは新事業立ち上げ時に社内の人材不足を補うため、副業先を求める他社の現役技術者に助言を仰ぐ。ただ、経営者の間では技術流出を懸念する声も多い。

 「副業を認めることで個人の能力を高める効果が期待できる」。IT(情報技術)企業、サイボウズの青野慶久社長はこう語る。同社は社員が会社のブランドをおとしめないなど一定の条件を満たせば副業を認めている。申請も原則は不要。副業として農業に従事する社員もいるという。

 「本業に集中してほしい」などの理由で就業規則で副業を禁じる企業は多い。一方、サイボウズのように、副業・兼業といった多様な働き方を認めることで、従業員のやる気や個性を引き出す企業も出てきた。

 ロート製薬は2月に就業時間外や休日に副業できる制度を導入し、60人以上が応募した。社員の自律性や能力を高めるのが目的で、既に副業での経験を本業に反映する社員も出てきている。

 副業を認める動きはIT業界が先行しているようだ。ヤフーでは数百人規模の社員が副業を持っているほか、クラウドソーシング大手のクラウドワークスは今年7月から全社員に副業を認める制度を導入し、130人の社員のうち約10人が副業を始めた。

 リクルートキャリアは大企業の従業員が登録すればベンチャー企業の事業戦略会議などに参加できるサービス「サンカク」を提供している。利用者は1万7千人と1年前から倍増した。「刺激を受けたり、腕試しできたりする」(同社)

 専門家も効果を強調する。早稲田大大学院の入山章栄准教授は「イノベーション(革新)は様々な知識や経験の組み合わせで生まれる。ひとりの会社員の中にキャリアやノウハウの多様性が求められる」と指摘する。副業で経験を積んで能力を高めることは雇用側にも利点があるという。政府も働き方改革の一環として後押しする。

 一方、副業先を求める人材を受け入れ、新規事業を円滑に立ち上げようとする企業もある。

 人材サービス会社のビザスク(東京・新宿)は副業したい人を登録し企業との間を仲介する。同社は約2万2000人のアドバイザーを抱えるが、約7割が現役の企業役員や社員だ。1時間単位で助言できる。

 コニカミノルタは新規事業の一環として加齢臭といった人の体臭を数値化できる製品を開発している。同社で新事業を担当するビジネスイノベーションセンタージャパンの甲田大介氏は「大企業でも新規性が高いほど社内に精通した人材が少なくなる」と指摘する。

 そこでビザスクから副業先を求めるベンチャー企業の現役技術者を11月に紹介され、約1時間にわたり家電の売れ筋や部品原価などの助言を受けた。社内に人材がいない調香師や臭気判定士の助言も仰ぐことで「製品開発スピードが上がった」(甲田氏)。

 ダイセルパナソニックヘルスケアも同社の仲介で事業展開の助言を受けている。

 ただ副業解禁に前向きな経営者は少数。日本経済新聞社が実施した「社長100人アンケート」でも8割の経営者が「副業は認めない」と回答。理由として「本業がおろそかになる」のほか「長時間労働につながる」「情報漏洩などのリスクがある」とした。社会保障面でも副業を促す環境が整備されているとはいいがたい。副業が産業界に定着するまでにはまだ曲折がありそうだ。