「さあワトソン君。これはどういう構造になっているんだと思う? 実はね…」
第四章を読み終えた直後の感想だ。
ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)
- 作者: 梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/11/06
- メディア: 新書
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相関図
それにしても。
その目でみて見ると、おそろしや。
何か異星人の作った宇宙船でも見てるみたいな気分になってきた。
どこからどこまで叩いてみても「構造化」と「ロールモデル」の塊である。
最初から「そのつもり」だったのか
「ウェブ進化論」はその副題−本当の大変化はこれから始まる−にもあるように現在を「維新目前」となぞらえ「ウェブの今とこれから」を俯瞰した書である。
そして
さらに
「ウェブ時代をゆく」の原点は幕末と維新を生きた、福沢の「一身に二生を経るがごとく」をモデルに。
お手本(ロールモデル)と構造化、
お手本(ロールモデル)と構造化。
本の題名までお手本、は司馬遼太郎に。
そして最後はgoogleでユニークかどうかまで検証し、命名。
完璧だ。(驚)
福沢諭吉の「学問のすすめ」は都合三千万部以上売れたという。
また福沢は「猿でも分かるように書くこと」を念頭においた、そんなところも梅田氏の(共通言語を使う、という)ロールモデルなのだろうか、などと思う。
天才の勤勉はこれからも続く。
これからも驚きの発見を見せてくれるにちがいない。
そう言えば、気になる発言
梅田さん、というのは恐らく相当謙虚な(というより客観的な)人だと思うのだが、そういえば気づいたことが。
たしかインタビュー記事だ。
あった。ネットは偉大だ。今年三月のITプロの記事より。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/enterplat/20070322/265997/?P=5
(梅田)ウェブ進化論を2006年1月に脱稿して,11カ月経っています。この11カ月間で唯一書き足さなければいけないのは,ユーチューブだけなんです。
細かい動きは,全部この中に書いたことで説明可能です。
あんまり「そういうモノ言い」をしない人だから。
けど「エッフェル塔のてっぺん」からは見えていたのだ。
ほかの誰ひとり、梅田以上に「簡潔に、より全体を説明し切っている人がいない」ということを。
全部この中に書いたことで説明可能です。
と言い切るこの言葉に「構造化し尽くしたという」著者の自信が見える。
「ウェブ進化論」以前も以後も、googleやyoutubeや、それこそ何百という書籍、何万もの記事の中で。
「ウェブ進化論」のみが特別、異彩を放っていた理由を自分は今知ったが、著者にはそんな感覚は当たり前だったろう。
失礼ながら、何しろ「構造化」が服を着て歩いているようなものだ。
色んな同分野の書籍などを見て「あ、これはこの部分を詳しく説明しているな」とか
「これはここが分かってないな」とかそんな気分だったのではないか。
美しい姿
構造化、と聞くと「構造化プログラミング」のことを思い出す。
もう四十年も前にできた考えで、そのプログラムがこなしたい「業務」を「構造化(分割)」し、モジュール化して隙や重複をなくすプログラミングの方法だが、最近「文章」についても同じようなことをよく思う。
プログラミングではよく「短さ」が話題になる。
ある処理をするのに「どれだけ短く」ロジックを納めるか、
というのはプログラマの実力を表していた。
文章も無駄なく、重複なく、誤解のないこと。
その文章を読んで理解できない人がいないこと。
ロジックの短いプログラムを見て「きれいだな」とよく言っていた。
梅田さんの文章に接しているとそんなことを考える。