藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

それでも、ネットを制限する。


経済発展は遂げながら(といっても非常にいびつな内部格差だけど)、それでも中央集権にこだわる国、中国。
このネット社会になっても、海外からの情報や、内部情報の流通を何とか統制しようとしている。


googleとは検索のフィルター規制で揉めたし、発言の規制も相変わらず止まる気配はない。
とはいえ、最近のウルムチ騒動などでも業を煮やしたか、ついに出荷する全サーバーに規制ソフト導入を決めたと言う。

その名も「グリーンダム」。

緑は安全、を意味するそうだが、旧勢力の人は聞く耳などもたないだろうが、今のこの製造・流通・サービスの縮小の中、「国内の柱を何処に持っていくか」というのはこの後の中国にとっては致命的に大きな要素ではないか。

どの国よりも加速し、規模も最大で突っ走っていた中国号。

十三億人の国民規模で、年率7%を超すと言う、尋常ではない成長振り。
つい先日は外貨準備が200兆円を超えた、との話もあるし、いま経済が破裂したら、国の維持すら危ういのではないかと思う。


残念ながら、製造業の回復の見込みはなく、さらにその先に流通の今以上の発展も難しいだろう。
各省の省長に「赤字を出したらクビ」を課し、その代わり成長していれば少々のトラブルにも目を瞑る、という「経営スタイル」は早晩たちゆかず、各省への新しいビジョンが提示できなければ「機能不全」に陥るだろう。


新しいビジョンて何だろう、と思うとそこには環境とかエコ、とまではいかなくとも一次産業への回帰、とか食物自給率の向上、とかこれまでの産業化ありき、ではないことしか思い浮かばない。


国民に「無限の発展」というカード以外で対峙せねばならぬ今、一番キツいのが中国だと思うが、今こそ漢民族の知恵、で世界に先駆けたビジョンなど示して欲しいものだ。


本当の勇気があれば、やれると思うのだが。





「グリーンダム」――。中国のインターネット史上、世界中からこれほど注目を浴びたソフトウエアは他にないだろう。

 6月9日、中国工業情報化省は、ネット上の有害情報から青少年を保護するため、7月1日以降に出荷される全てのパーソナル・コンピューターにフィルタリングソフトウエア「グリーンダム−ユースエスコート」の搭載を義務づけるという通達を発表した*。プログラムのサイズが10メガバイトほどのグリーンダムは、その直後からネットユーザーの注目の的になった。

*記事原文が「財経」に掲載された後の6月30日、中国工業情報化省は「準備が整っていない」ことを理由に、グリーンダムの強制搭載を事実上延期することを明らかにした。

 政府の公式説明によれば、グリーンダムには有害なインターネット情報を遮断したり、ネットへの接続時間を制限したり、オンラインゲームへの参加を管理したりする機能がある。ウェブサイトの閲覧記録をチェックできるので、子供たちのネットの利用状況を保護者が把握し、有害情報に触れるのを防ぐのに有効だという。


機能を無効化するソフトがたちまち出現

 政府が未成年者の健全な育成のために努力すること自体は、多くの人々が賛同するだろう。だが、政府によるグリーンダムの搭載強制は、ネットユーザーの強い不信感を招いた。背景に、ネット上の情報を統制しようとする政府の思惑が見え隠れするからだ。

 ネットユーザーから沸き上がった批判に、工業情報化省はあわてて次のように釈明を迫られる事態になった。「グリーンダムをインストールするかどうかはユーザー自身が選択できる。また、ユーザーのネット利用を監視したり、個人情報を収集したりすることは一切ない」

 しかし、この説明はネットユーザーの不信を払拭できなかった。それだけではない。工業情報化省の通達が発表されるやいなや、世界中の情報セキュリティの専門家やハッカーたちが、グリーンダムに脆弱性が存在しないか調べ始めた。その結果、グリーンダムの機能を無効にするソフトウエアがたちまち出現したほか、一部の専門家から「グリーンダムは第三者知的財産権を侵害している恐れがある」と指摘されるに至ったのである。

 グリーンダムは、政府がネット上に「緑色ダム」*を築こうとする試みだった。ところが、このダムは自らの欠陥が原因で、完成する前にネットの“激流”に飲み込まれてしまった。

*中国語の「緑色」は、環境にやさしいという意味のほか、安全や健全という意味でも使われる。

 「欠陥のあるソフトウエアを強制搭載させるのは問題だが、グリーンダムの導入をやめれば数千万元の開発費が無駄になる。もはや引っ込みがつかない事態になっている」。あるセキュリティソフトウエアの専門家はそう話す。