EUでは珍しく、作家に保守的な判決。
米国でのデジタル化に、EUで罰則の適用ができるのか、とか
もちろん算定の根拠はあるのだろうけど、googleが電子化したせいで、本当にそんな損害が出ているのか。
そして、実はこの「電子書籍化の禁止」は本当は作家にとっては「普及の禁止」になっていないか、という点には根本的な疑念を持つ。
相当な程度の「内容の公開と、限りなく廉価な価格設定と、そして幅広い電子化」をセットにしないと、結局作家にもメリットがないのではないか。
作家の側の立場からだけで考えたのでは、ガチガチで結局「どこにも向いていない」ような結果を引き起こしていないだろうか。
グーグルの書籍電子化、禁止命令 パリ裁判所
米インターネット検索大手グーグルが進める電子化書籍の全文検索サービス「グーグルブックス」で著作権を侵害されたとして、フランスの出版グループなどが起こした損害賠償請求訴訟で、パリの裁判所は18日、グーグル側に対し、書籍の電子化の禁止と、30万ユーロ(約3900万円)の支払いを命じた。AFP通信が伝えた。
また、電子化の禁止に違反した場合には、1日につき1万ユーロの罰金を科すとした。
訴えていたのは、仏出版組合や作家協会などで、1500万ユーロの損害賠償を求めていた。
グーグル側は訴訟で利用者が情報を得る権利を主張し、「デジタル化は米国で進めているため仏裁判所の権限が及ばない」などとした。しかし、判決は「電子化は書籍の複製にあたり、著作権者らの事前の承諾が必要だ」とした。
グーグル携帯
googleがネット上の検索ツールで「トップ」でいるためには、「キャリアを介さない携帯通信事業」でユーザーと直接結びつくことが必要だった、ということだろうか。
バーチャル(ネット検索)の覇者である同社がなんで携帯電話?と不思議だったが、実はこれが新しい事業モデルへの最初の戦略なのかもしれない、と記事を見て感じた。
やっぱりハードウェア販売、は「リアル世界」の話だし。
グーグルが端末販売に乗り出した事情
グーグルがNexus Oneを発表して10日近くが経過するが、やはりいまだに腑に落ちないのは「なぜ、グーグルが端末販売にまで乗り出したのか」という点だ。
アンドロイドの当初のコンセプトにはそんな考えはなかったはずだ。前回のコラムで書いたが、グーグルのアジア太平洋地域アンドロイド事業担当であるトム・モス氏は「これは新しいビジネスモデルへの取り組み。
グーグル自身が通信キャリアを通さず販売を手がけていく第一ステップといえる」と語っていた。事実、グーグルが自ら進んで垂直統合のトップに立つ戦略に舵を切ったのは間違いない。
ただ、これまでの経緯をみると、実際はやりたくてやったわけではない次善の策だったと推察される。グーグルは07年に業界内のキャリアやメーカーに声をかけてアンドロイドの推進組織「OHA(Open Handset Alliance)」を立ち上げた。これには日本からもまずNTTドコモやKDDI、のちにソフトバンクモバイルが参加を表明。日本メーカーもメンバーに名を連ねた。
グーグルとキャリア、そしてメーカー間で新プロジェクトが立ち上がったりもした。しかし、既存プラットフォームを抱える陣営の抵抗感は予想以上に強かった。例えば、NTTドコモであればLiMoやシンビアン、KDDIはKCP+というプラットフォームを持っており、新OSに切り替えるという戦略はにわかには採用しにくい。
<石川温氏のコラムより>
■メーカーも守りを優先
一方、台湾HTCのような海外メーカーを通じて日本でアンドロイドを展開する場合、どうしても日本の品質規格に合わせる必要が出てくる。そのため発売のタイミングが海外と比べて遅れてしまう。HTCのNTTドコモ向け端末「HT-03A」はその典型例といっていいだろう(まもなく発売が噂されるソニー・エリクソンの「EXPERIA X10」は日本でも開発しているため、そのあたりの配慮は織り込み済みのようだ)。
日本メーカーも、グーグルと付き合うより日本のキャリアに向けて商品を提案し、開発して納入した方が確実に稼ぐことができる。新しいビジネスモデルに挑戦するというリスクを負うより、守りを優先するところが多かった。実際、グーグルとプロジェクトを進めていたが途中で頓挫して中止したメーカーもあったようだ。
ソフトバンクモバイルはここにきてアンドロイドに意欲をみせている。しかし、当時はiPhoneに全力を注いでおり、世間が注目してきたところでようやく姿勢が変わってきたに過ぎない。
グーグルとしては、キャリアやメーカーと仲よくビジネスモデルを構築したかったというのが本音ではないか。しかし、日本企業を筆頭に、それ以外の地域でも新しい取り組みを拒むところが相次いだ。いろいろな企業に反故にされ、日本に至ってはこれほど導入が遅れたことのもどかしさ……。
■グーグルとHTCの間に割って入れ
Nexus Oneを手がけたHTCは、そうした状況のなかでグーグルの理想をどん欲に飲み込んだ企業だ。初号機「G1」を筆頭にアンドロイド端末を意欲的に開発している。もし07年当時、グーグルの提案に日本メーカーが率先して手を挙げ、確実に製品化していれば、いまごろきっとNexus Oneは日本メーカーが作っていたことだろう。
協力会社を増やすと、なかなか前に進まないことに嫌気したグーグルは今回、パートナーをできるだけ少なくすることで、自分たちのやりたいようにビジネスを迅速に展開しようとしているのかもしれない。OSがバージョンアップされても、他メーカーでは搭載して発売するのにタイムラグが発生する。すでにNexus Oneがバージョン2.1であるのに対し、例えばExperia X10は1.6をベースとしている。進化したOSをいち早く市場投入するにはじかに組んで展開するしかないということだ。
トム・モス氏は「日本メーカーの技術力の高さは認めており、パートナーになる可能性はある」と話していた。この言葉は社交辞令かもしれないが、日本のケータイ業界を取材している身としては、本心であってもらいたい。
グーグルとHTCの関係はかなり強固になっていそうだが、ぜひ日本メーカーにはその隙間に入り込んで、世界で売れるグーグルフォンを作ってもらいたいものだ。