藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ツケ回し。


ペリカン便とゆうパックの統合。
こうした大規模の「システムとか業務」の統合には、相当な「想定外のケース」が起こる。
ことが宅配便なので、誰か犠牲者が出たわけでもなく、ことはそれほど深刻ではないように見える。


が。
政治の抱える「大きな構造問題」が透けて見える。
総務省は今回のことで、日本郵便に五度目!の業務改善命令を検討しているという。
だが、どこかその様子は他人行儀に見える。

なぜかな、と考えたら「もともとペリカン便とゆうパックの統合」は現政権の発案ではなく、また時期についても「引き継ぎ案件」なのである。

つまり「根っこの部分」で言えば、(今は当事者ではあるが)民主党に責任はないのだろう。


だからどこか役者みんなが空々しい感じがするのである。

断裂へ対処できるかがカギ


これが銀行のシステム不全とか、あるいは建築基準の不具合で建物が倒壊したとかいうシリアスな問題ではないから幸いだが、こうした「断裂への対処法」はマネジメントには決定的に深刻な問題である。
これは全く自分たちの日常にも「相似に」当てはまる。
人からの「引き継ぎ事項」とか、あるタイミングで引き受けた用事とか、日常生活の緩急によって我われの生活の日々では「役割が入れ替わる」ということはよくある。
「○○さんに連絡しておいて」というのもあるし、
「△△事業部の今後を頼む」という大きなものもあるだろう。


特に政治の政権交代という大イベントではほとんどの中身は、全部引き継ぎ事項である。
事業仕分けだって、そもそもの特殊法人たちの創設を民主党が考えたわけではない。
というかそもそ民主党、と言ってもどこかから新しい人たちが湧いて出たわけではなく、その多くはどこか「既存の世界」に棲息していた人が大多数であるから、何らかの関係者も多い。


世の中の出来事はこんな風にすべからく「あいまい」である。
はっきりと、「全く違う人種」が「ある日以降完全に」政権をバトンタッチしたわけではない。
またそんな「白か黒」の状況というのは現実にはない。
だから前政権を引き摺った問題というのはそこかしこに見える。

今回の宅配事業に見るように、自民政権の残渣をどこまで遡って抉(えぐ)り切るか。

という点こそがこれからも押し寄せるだろう様々な問題への、現政権の踏ん張りどころである。

『それにしても、「見ているべき方向」は常に利用者であり、お客様であること。』だけは普遍の法則である。

今回の出来事も「その視点」さえ逸れなければ、防げたのかもしれないと思った。

ゆうパック統合計画、総務省のチェック緩く 遅配問題
お中元シーズンに起きた日本郵政グループの郵便事業会社(JP日本郵便)が運営する宅配便「ゆうパック」の遅配問題。
発生から6日が過ぎ、ようやく混乱は解消に向かい、日本郵便は7日中にも収束するとの見通しを示した。
一方、総務省行政処分を出すかどうかの検討に入った。
ただ、監督官庁としてのチェックが緩く、利用者にしわ寄せが来る結果になった。


「国民に多大な迷惑をかけたのは誠に遺憾だ。報告を精査し、今後の対応を決める」


ゆうパックの遅配が続く6日朝、総務省を訪れた日本郵便の鍋倉真一社長に対し、原口一博総務相は遅配の実態や公表が遅れた理由などを7月末までに報告するよう求めた上で、行政処分を検討する姿勢を示した。
その後の閣議後会見でも「準備が十分でないからこういうことが起きたんじゃないか」と語り、統合への準備不足が遅配につながったとの見方を示した。


日本郵便はこれまで、約12万通の郵便物を約2カ月間放置していた問題などで、4回の業務改善命令を受けている。
総務省は今回も業務改善命令を軸に検討するとみられる。


そうはいっても、総務省が全くの第三者というわけではない。
今回の遅配の原因の一つは、お中元で荷物が増える7月にあえて統合に踏み切ったことだが、総務省は2月末、日本郵便が提出した「7月1日統合」との事業計画を認可したからだ。


繁忙期の7月に統合することに問題があることは、総務省も認識していた。
それでも最終的にゴーサインを出したのは「(日本郵便側から)夏季繁忙期を念頭に要員の確保や十分な訓練期間の確保に対処するとの説明を受けた」(原口総務相)からだという。


ただ、当事者の説明を聞くばかりで、監督官庁として、利用者側に立って準備状況をすすんでチェックする態勢は整っていない。
金融庁が金融機関の統合の準備状況を細かく区切って監視し、不十分と判断すれば統合延期を求めてきたのとは対照的だ。


原口総務相はまた、吸収前のペリカン便の受け皿会社の赤字が7月までで963億円にのぼる見通しだったとして、「経営的な観点から一刻も先送りが許されない状況だった」と釈明した。
利用者への影響を心配するよりも、経営状態を優先した面はある。


この日の会見で、原口総務相は、郵政民営化路線を推進した西川善文日本郵政前社長ら前経営陣を批判。
前経営陣が赤字体質のペリカン便とゆうパックの統合を強引に推し進め、それがさまざまな混乱の出発点になった、という点を強調した。


原口総務相は鍋倉社長に対しても「(遅配の)言い訳にはならないが」と断ったうえで、
「日通との統合は(自民党の)前政権下で進められた民営化、事業計画もない状態で手続きだけが進んだ当時のガバナンス(企業統治)の脆弱(ぜいじゃく)性を象徴する事案だ。
それを引き継いだ経営陣は、大変なご苦労があるかもしれない」
と同情の言葉をかけた。
だが、民営化をめぐる政治や主張の対立が組織を混乱させ、利用者優先の仕組み作りを不十分にさせた面もある。(岡林佐和、南日慶子、内藤尚志)
asahi.comより>