藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

一瞬のために。


一人の時間を楽しみに行く先の居酒屋で、これまた顔見知りができてしまう矛盾。
どうも自分は他人様の話に巻き込まれやすいようで、知らぬ間に輪の中にいることがある。
それはともかく。


その居酒屋仲間の四十路直前の女性の話。
長年慕っていた意中の人とついに結婚するという。
長年て?と聞くと、もう15、6年にも及ぶという。
15年前、というと彼女が二十代半ば。
ほぼ「恋愛の旬」をその人一筋に想ってきたことになる。
彼女は取り立てて美人でもなく(ここ読んでませんように)、特にもてないわけでもなかったという。


そして他方、そのお相手の人物は大変な人気者で、彼女いわく「超高嶺の花」だったという。
会社がらみの縁談や、芸能人との噂も絶えず、それでも身持ちが固くていままで誰も「射止めた」実績を聞かないという。
そんな彼をどうして射止めたの?と思わず聞いて、驚いた。

「ずーっと、ひたすら待ち続けていた」のだという。

相手には、自分が好意を抱いていることを「常々」印象づけつつ、でも深追いせずに、ひたすらチャンスを待ったという。
チ、チャンスを待つって。
15年もかいな。(驚)


で、どんなチャンスがあったか、というと。
その、お仕事もバリバリに優秀でアグレッシブな彼が、自分の母親を亡くして、珍しくも大層落ち込んでいたという。
普段は気丈な彼は、特に愚痴や悩みをこぼすような相手もおらず、かなり弱っていたらしい。

そしてそこに「いつも通り」彼女は登場した。
彼の愚痴や思い出話を、ただひたすら耳を傾けて聞いてあげたのだという。


彼の弱った心が「つい寄りかかって」しまったのだろう。
千載一遇。
彼女はついに15年振りのチャンスをがっちり捉えたわけである。


女性はおそろしい。