藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

報道倫理。


学生の頃、よく「反体制」という言葉を聞くと言外に「社会の仕来たりに従わない輩たち」というニュアンスがあった。
必ずしも悪い意味一色、でもなかったが、政治にせよ、批評にせよ「反体制」という言葉には一定の「ワル」的な意味合いと「体制のルールに与しないヤツら」という冷たい目が注がれていたように思う。

だが、その「体制か反対制か」とか、「主流か反主流か」とか「自民か共産か、あるいは民主か」といった議論が起こるその"根っこ"は実は「同根である」ということを認識したのは、ここ数年のことである。

要は「政治は政治の世界」、
イデオロギーは経済社会」、
「権力層は権力層の世界」、
そんな「それぞれの階層」で争いは起きているのである。
マスコミにとっての一番の好敵は、やはりマスコミの中にいる。
具体的には「マスコミに情報提供をする」ような「体制サイドのマスコミ寄りの部分」が弱点である。


これまでは「そんな部分」から持ちつ持たれつ、で情報を得ていたのに、急にそれが「コンプライアンス」という名のもとに「白か黒か」という議論をするので、あたかも「これまでいかに腐敗していたのか」というような論調になるマスコミも多い。
今回の相撲協会報道もしかりだが、「これまではどういう因習だったのか」という旧体制の説明と反省がなければ、ただ単に「魔女狩り」的な犯人捜しがこれからも各所で頻発するだろうと思う。


検察にしても、警察にしても、政治にしてもマスコミにしても、「旧体制からの解脱」を標榜するのだから、あまりこれまでの所業、しかも「業界的に行われたいた慣習」をいまさら声高に血祭りに上げても、あまり建設的な報道とは言えまい。


できればそのような視点から、「これまでのこと」と「これからのこと」をメディアの担い手として報道していただきたいと思う。
あまり大衆の目線で右往左往するのでは、やはりマスコミとしてはその重みを欠くだろうと思う。

捜査情報漏洩 NHK側「情報は他社の記者から」強調

「報道に携わる者としてあってはならないことで極めて遺憾。視聴者のみなさまに深くおわび申し上げます」


NHKの記者が、警視庁の捜査にかかわる情報を日本相撲協会側に伝えていた問題で、NHKは8日午後4時から記者会見。
理事より下の立場の冷水仁彦(しみず・よしひこ)報道局長と坂本忠宣(ただのぶ)報道局編集主幹らが説明にあたった。
コンプライアンス上、極めて不適切であり、報道倫理の上からも大きな問題がある」。
事実関係をさらに調べて処分するとした。

会見を開くことを報道各社に連絡する際、NHKは会見の具体的な中身にふれないまま、「今回は撮影に該当するケースではない」として写真撮影やテレビカメラの取材を認めなかった。


報道陣からの質問は、NHKの記者が捜査情報をどこから入手したかに集中した。
メールを送った当時、NHKも警視庁が家宅捜索に入ることをつかんでいたのでは、と問われると、「取材内容は言えない」。
捜査の行方を取材する社会部の同僚記者から聞いたのではないかとの問いにも、「記者は社会部の記者と接触していない。
事件情報は厳格に取り扱っている」と強調した。


冷水報道局長は「記者が、日ごろから付き合いのある他社から聞いた話」と強調。
報道陣が、他社から情報を聞けばNHKの上司に報告するのではないかと問うと、「他社から聞いた情報はいくら何でも上司に言えない、と記者本人は話している」と述べたうえで、「一般的な記者の感覚ではない、と個人的には思う」と話した。
家宅捜索のほかにも情報を漏らしていないか、との問いには「ありません」と否定した。



情報を漏らした動機については「賭博問題が大きくなり、取材が出来なくなり、なんとか連絡をとりたい、という意識だった」と説明。
さらに「どこに捜索が入るのかといった詳細を知りたかった」と述べた。
報道陣は、相撲協会に聞いてもわからないのではと質問。
「その辺は私もわからない。記者本人は、相撲協会関係者が取材先だったので、情報の真偽を確認しようとした」と話した。


NHKが7月5日に放送した相撲協会を検証する番組については、「そういった番組にかかわったが、社会部などと一緒にやるグループには加わっていない」と述べた。


中継中止の判断をしたばかりで捜査情報を漏らした点を問われ、「NHKは毅然(きぜん)とした対応をしてきたが、すごく残念」。
さらに「一個人の取材者と一個人の取材先の不適切な関係が、たまたまこの時点で起きた。
中継中止とは直接関係がない」と弁明した。


報道陣から、相撲協会関係者とは誰かと質問が飛ぶと、「捜査上の支障をきたすので言えない」と明言を避けた。
記者の実名についても「現時点では法令違反や懲戒処分の対象ではない」として公表せず、「他社」についても「特定の社の名前はわかっているが、裏付けしていない」として明らかにしなかった。


職員が株のインサイダー取引をした事件を引き合いに出されると、「あの時とは事情が異なる。コンプライアンスの徹底を進めたが、残念でならない」と話した。
asahi.comより>