藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

伝える力。



これまでもニュース解説者、と言われる人は多数いたし、筑紫さんとか名物キャスターもいた。
どの時代にも看板のアナウンサーとか解説者はいたのに、池上彰氏だけが突出したのはなぜか。
yomiuri onlineより。

解説者としての池上さんはどこが優れていたのか。碓井広義上智大教授(メディア論)は四つの特長を挙げる。
「幅広い知識を持ち、取材経験があり、テレビの特性を熟知し、NHKブランドの信頼性がある。この四つを兼ね備えた人はまずいない」

畢竟「伝える力」が秀でていたということだろうか。
知識がいかに豊富でも、最後の最後に「人に伝える部分」が上手くないと、最後の掛け算で「×0」になったりするものである。
ゼロにまでならなくとも、折角のいい考えが×0.7くらいになって減衰してしまうのは自分たちの日常ではしょっちゅうある。
池上氏はそういう掛け算の部分を「×1.0」とか「×1.2」とかへ高める能力を持った稀有な解説者だったのである。
ただしこういうドキリとする指摘もある。

ただし、コラムニストの小田嶋隆さんからはこんな意見も出た。


「池上さんの解説があまりに分かりやすいため、視聴者がニュースを解説とセットで楽しむようになった。見方や感想まで教えてもらいたいというのは、見る側の知的な体力低下の表れ

いつしかお笑いやバラエティー番組でも「ここで笑いなさい」と言わんばかりの演出が増えているようにも思う。笑うポイントまで指示されているようである。
「ニュースの見方や感想まで教えてもらいたい」というのは確かに過保護な状態なのかもしれない。
けれどあらゆるニュースを深読みするのは、自分レベルの知識ではなかなか困難なものだけれど。(嘆)

新キャスターや別番組模索

テレビ界に一大ブームを巻き起こしたニュース解説者でジャーナリストの池上彰さんが、3月までの収録をもってテレビ・ラジオの出演を控えることを明らかにした。“ポスト池上”は現れるのか、今後のニュース解説番組はどうなるのかを探ってみた。(片山一弘)


「池上さんの後任探しはなかなか難しいが、池上さんが築いてくれた財産を大事にしていきたい」


そう語るのは、テレビ朝日の平城隆司編成制作局長。同局は昨年4月に「そうだったのか!池上彰の学べるニュース」(水曜後8・00)をレギュラー化し、ブームの火付け役となった。番組は新キャスターを起用し、4月以降も継続する。


一方、一昨年12月から「教えてMr.ニュース 池上彰のそうなんだニッポン」を不定期放送してきたフジテレビの豊田皓社長は「池上さんあっての番組。別の出演者で続ける予定はない」と話す。


解説者としての池上さんはどこが優れていたのか。碓井広義上智大教授(メディア論)は四つの特長を挙げる。


「幅広い知識を持ち、取材経験があり、テレビの特性を熟知し、NHKブランドの信頼性がある。この四つを兼ね備えた人はまずいない」



その上で碓井教授は“ポスト池上”候補として、黒岩祐治さん(ジャーナリスト、国際医療福祉大学教授)、辛坊治郎さん(キャスター、元読売テレビ解説委員長)の2人の名を挙げた。


「黒岩さんはフジテレビ系『報道2001』のキャスターを長く務め、取材経験も豊富。辛坊さんはアナウンサー出身で、ポイントを短時間で分かりやすくソフトに伝える力がある」


池上さんに代わる解説役が活躍する場は、さらに広がるかもしれない。というのも池上さんの番組以外にも、分かりやすくニュースを解説する番組が増えてきたからだ。


NHK総合では1月から「ニュース 深読み」(土曜前8・45)を始めた。フジテレビは昨年3月末スタートの「知りたがり!」(月〜金曜前9・55)で長時間のニュース解説コーナーを設けている。いずれも局所属のアナウンサーが、専門家の解説を聞く形式だ。


「知りたがり!」の塩田千尋チーフプロデューサーは「ニュースを分かりたいと思っている人が、世の中に大勢いるという感触がある」と話す。


碓井教授は「局はニュース解説に需要があることを知り、視聴者は分かる楽しさを知った。今後も形を変えて続くのでは」とみる。

ただし、コラムニストの小田嶋隆さんからはこんな意見も出た。


「池上さんの解説があまりに分かりやすいため、視聴者がニュースを解説とセットで楽しむようになった。見方や感想まで教えてもらいたいというのは、見る側の知的な体力低下の表れ」

その意味では、見る側もそろそろ“池上教室”を卒業して応用編に進む時期なのかもしれない。

(2011年2月10日 読売新聞)