藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

補償の構造。

ここ一週間は原発の補償をめぐって関係者の思惑の報道が喧(かまびす)しい。
ついに「補償は上限なし」の線で決まりそうだが、市場との関係がざわついている。

つまり、「債権のある銀行や株主など」が損失を負担するのかどうか。

ということのようである。
民事再生のような法的措置を取ってしまうと債務まで圧縮され、それでは「無限の補償」は実現しない。
かといって、東電の負担能力には限りがある。
じゃあ誰が負担するのよ、というと結局政府。
政府って、それ自身ではまったくお金を生まない、つまり税金負担である。
東電が払えない分は税金で。
けれど「その前」に銀行や株主も「関係者」として応分の負担をするかどうか、というのである。


自分はどちらもあまり変わらないような気分だが、いつも日本は"too big"な存在が結局は救済される、というシナリオばかりなので、この度は債権者も積極的に協力すべきか、と思っている。
しかも原発被害だけでなく、さらに大きな「それ以外の震災補償」を政府はしなければならないだろう。
10兆円だろうか、一体いくらになるのか恐ろしいが、それらの財源とか、制度の話を仕上げるのも急務である。


そしてさらに早く「復興の気運」を作り上げて経済を刺激していかないと、被災地以外でも「今年後半の大不況到来」がまことしやかに囁かれているのは非常に不気味でもある。
自粛ムード、とか雰囲気の話ではなく、日本経済全体の沈下は今の努力でずい分変わってくると思うのだ。
決して人ごとではなく。

WSJ日本版より>
東電の賠償支援策決定−投資家や銀行に打撃も
【東京】13日明らかにされた東京電力の賠償支援策によって、2.5兆円超と予想される損害賠償を納税者がどれだけ負担することになるのか不透明感が生じている。また、困惑した投資家の間で、株主や債券保有者、銀行、他の公益事業も打撃を受けるのではないかとの懸念が広まった。
原発事故で窮地にある東電を支援するため菅政権が打ち出した支援計画はこの後、国会で審議されるが、一部の議員は救済策に使う公的資金の制限を強化する措置を求めており、審議は難航する可能性がある。


この支援策は、どれだけ東電に責任をとらせるか、また、最終的には誰が巨額のコストを負担するのかについて与党内で最後まで議論が紛糾した後に決定された。


政府側は、政府もこれまで原発事業者と一緒になって原発政策を推進してきた責任を認め、国民への負担を極小化しつつ東電を支援する意向であると表明した。


支援策の発表と政府側のコメントにより、東電の今後のあり方と、株主や債券保有者も負担を共有するのかどうかについて新たな懸念が広がり、東電株は13日、5.4%安の453円となった。また、今週は、クレジット・デフォルト・スワップ市場で東電債務の保証コストが上昇した。


アナリストは、混乱の理由の1つは「すべてのステークホルダー(利害関係者)に協力を求める」と政府が述べていることであり、それが株主資本を大幅に減らすことになる措置を暗に指していると市場が解釈したとみている。


また、枝野幸男官房長官が東電に公的資金を注入することは、銀行が新たな融資条件の交渉に応じるのでなければ「国民の理解を得られない」と発言したことで、銀行株も大幅に下落した。ただし、官房長官は震災後の融資についてはその対象外とした。


東電の主力行である三井住友フィナンシャルグループ三菱UFJフィナンシャル・グループ株価はそれぞれ3.8%と2.8%下落し、2452円と383円で引けた。三井住友フィナンシャルグループはこの計画についてコメントを避けた。


岡三証券の投資戦略部グループ長、石黒英之氏は、東電が破綻すれば銀行は全てを失うことになるため、政府からの要請をのむしかないだろうとコメントした。


賠償額については東電も政府も推定値を発表していないが、バンクオブアメリカ・メリルリンチは2.5兆円から4兆円の間とみている。


支援計画によると、政府は、東電が支払い不能に陥らないようにするための政府保証による機構を設立する。この機構は東電に貸し付けるための資金として政府から融資を受ける権利を持つ。東電の清水正孝社長は、今回の危機によって東電では金融市場からの資金調達に深刻な問題が生じていると述べた。


この機構は、将来事故が発生した場合にも対応し、資金は東電に加えて、原発保有する他の大手電力会社も拠出することになる。他の電力会社の反応はまだ明らかではない。中部電力はコメントを避けた。


東電は、政府側条件の1つである、賠償額総額に予め上限を設けないという条件を受け入れた。


東電はまた、すべてのステークホルダーから協力を求めることにも合意した。政府によれば、それは投資家に損失を受け入れるよう要請することを意味する。


政府はさらに、資産売却と経営合理化状況を監督するための特別委員会を通して東電の経営にも関与することになり、政府筋によると、政府が東電の株主となる可能性もあるという。


国民がコストを負担することのないよう、もっと徹底した措置が必要と主張する議員がいる一方で、今回の事故の責任の一端は規制が不十分だったことにあるため、政府はもっと直接責任を負うべきだとの声もある。


東電は、抜本的な経営合理化に着手すると述べており、それには不動産や有価証券など、非中核資産の売却が含まれるとみられる。


国会の委員会会議で菅首相は、東電の原発事故の結果、日本の原発安全基準の見直しが必要になると述べた。