藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

システム+アナログ。


どこかのコラムニストが書いていた。
「もうここ何年もコンビニを頻繁に利用しているが、店の店員と日常会話をしたことすらない」と。
確かに都市部におけるコンビニは、商品を「コンビニエンス」に提供している割には非常に"無機質な"存在である。
ユーザーとは敢えてそうした「交情」を断っている、とも思えるくらいである。
おそらくコンビニのマニュアルに「なじみの顧客と必要のない会話をしてはならない」という規定はないと思うけれど、驚くほど"御近所付き合い"はない。


ところでコンビニはフランチャイズだが、同様にスタバとか、タリーズなども同様にマニュアル管理されている。
一部の店舗では、いささか景色が違うようだ。
自分のオフィスのある近くでは、オープンカフェを備えたスタバがあるが、いつも午前中の決まった時間に数名の常連客が訪れている。
そして、店のスタッフの対応も「マニュアルのそれ」ではない。
お客さん数名は、毎日「今日は暑いね」とか「昨日は忙しかったかい?」とか「新しいマキアート、ての美味しいの」などと会話している。

さらに「もう就職決まったかい?」とか「昨日いなかったね」とか「あの煙草のご婦人たち、マナー悪かったね」とか「トイレ、ちょっと汚れてるかきれいにしといたぜ」などとまったくの御近所会話である。

大規模ネットワーク+アナログ・コミュニケーション


もしコンビニやファストフードの店が、地元なりの「個性」を持てば。
そこにはまったく新しい業態の"御用達のお店"が出来るのではないだろうか。


コンビニには中国や東南アジアの研修生も数多い。
彼らにコミュニケーションの機会を与えられたら、恐らく訪問客も、今とはない絆を感じるだろう。
スタバやタリーズ他で、「今日は朝早いですね」とか「大変ですね、今日はこれからお茶ですか?」などの日常会話が推奨されれば、日々そんな「触れ合い」を楽しみに訪れる客は、今の倍ほどもいるのではないだろうか。


コンビニやチェーン店は、「ただ便利」であればよい時代は過去のことだろう。
今は「美味しい」とか「安全」とか「おしゃれ」などのキーワードを取り込んでいる。
ただ最も重要で、かつ付加価値の高いサービスは「コミュニケーション」ではないだろうか。
もし自分がコンビニをフランチャイジーとして始めるのなら、そんな「地域の御用聞き」として"コミュニケーションのコンビニ"を目指したいと思う。


そこには買い物の相談だけでなく、育児のこととか、職場のこととか、趣味のこととか、買い物のこととか、食べ物のこととか、福利厚生のこととか、ありとあらゆる「生活の相談」が持ちかけられるだろう。
それこそが"コンビニエンスストア"の真骨頂ではないだろうか。


自分が経営する、そんな"次世代コンビニ"を夢想した。