藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

さむっ。

国語世論調査なるものが行われ、「寒っ」「すごっ」が急速に使われ出しているという。
「寒っ」というのは"語幹のみ"、「来れる」は"ら"抜き言葉ということらしい。
しかし、こういう言葉が、若い人と話していて、最近一番「よく通じる」と感じるのも事実である。


また、本来は誤用であるが、すでにその本来の意味を超えて使われ始めた言葉は、果たして間違いと言えるのだろうか。

雨模様…本来は「雨が降りそうな様子」だが、「雨が降ってますよ」という意味に使われだした。
姑息…本来は「一時の間に合わせ」の意。近年は「卑怯な振る舞い」の意で用いられる。
号泣する…大声を出して泣くこと。涙が多い泣き方、ではない。

ビジネスの現場では、「姑息な案ですが…」と切り出したら「え?卑怯な策なんですか?」と返ってくるという。
「この、姑息な奴め!」というと、卑怯なキャラクターであることがよく伝わる、ということらしい。

言葉の乱れか、用法の進化か。

サムっ。
すごっ。
ながっ。
うまっ。
どれも、自分も使っている。
それだけ、「今の自分の感情表現」を上手く表せるような気がするのである。

その意味で、若者の「新しい語法の編み出し」は決して悪いことばかりではない。
時代や、今一番伝えたいことを反映していると思うのだ。

「びみょー」
「ウザい」
「いんじゃね?」
どれも上品な会話の表現とはいえないが、今の若者心理をもっとも「短時間」で表す語彙なのだろう。
俗語とも違う、「時代を映す言葉遣い」なのだと思う。


もっと先の若者の言葉は、もっと独創的な使用形態になるだろうか。
そんな"造語"を、ぜひ「なっとらん」という解釈ではなく、「面白い合成語だな」という感覚で捉えたいものである。
いつの時代も「感性」は、若者が圧倒的に新鮮なものを持っているのだから。


「寒っ」「すごっ」数年で急速に広がる 国語世論調査「寒っ」など語幹のみの形容詞や、「来れる」などのらぬき言葉。よく耳にするこれらの言葉が、実際に広く使われていることが、文化庁が15日に発表した2010年度の国語に関する世論調査で裏付けられた。恒例の誤りやすい言葉の調査項目では、「雨模様」、「姑息(こそく)」、「号泣する」の誤用が、本来の意味での使用を上回った。

 文化庁が、国語施策の参考にするため、2月に全国で16歳以上の2104人に面接調査した。

 今回初めての調査となった形容詞の語幹のみの表現。「寒っ」については、「自分も使う」もしくは「自分は使わないが、他人が言うのは気にならない」が合わせて85%で、以下「すごっ」「短っ」「長っ」「うるさっ」も65%以上だった。

 同庁国語課によると、「寒っ」は、19世紀の滑稽本で使用が確認されているが、そのほかの言葉については、ここ数年急速に広がりを見せているという。「テレビを通じてこうした使い方を耳にしている人が多く、抵抗感はなくなっているのではないか」と分析している。語幹のみの形容詞の用法は、文法的には、間違っていないという。

 5年ごとに定期調査をしているらぬき言葉の使用は、「来れます」が前回調査から7.8ポイント増の43.2%、「食べれない」は、同じく8.6ポイント増の35.2%に伸びた。一方、「考えれない」は、2.4ポイント増の8.1%。今回新たに調査した「見れた」は47.2%、「出れる」は44.0%の人が使っていた。