藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

豊かな時代の悩み。

東南アジアに戦争に駆り出された祖父世代が聞いたら卒倒しそうな話題。
引きこもりの実に43%が40歳以上だという山形県の調査。
「引きこもっても食べていられるからそうなるのだ」という正論はともかく。
さらにその中で36%は10年以上の長期にわたるという。

嘆かわしい、と言い放つのは簡単だが、そうした現場に接しているとまた別で、そうしたことに至る原因が「ほんの些細なこと」で始まっていることも多いのである。
例えば交通事故の被害に遭い、就業が困難になったとか、
会社の吸収合併があって、早期退職を迫られた、とか
親の介護や身内の病気で長期の休みを取ったのがきっかけで、正社員でなくなった、とか
自分たちの周囲に、すぐにでも起こりそうなことがきっかけで職を失い、次の職に就くことが「これほど困難だとは思わなかった」という人が多い。

「もう40歳を越えたら普通の就職は難しい時代です」という経験者の言葉は重い。
「引きこもり」と称される人たちが出現した背景と、現代の本当の雇用情勢を分析せねば、「働く意思がない」ということと「本当に働く場がない」ということの区別は難しいと思う。

引きこもりは時代の産物なのではないだろうか。

引きこもり、4割が中高年…10年以上が46%
学校や仕事に行かず家に閉じこもる「引きこもり」が、山形県内で少なくとも1287人に上り、40歳代以上の中高年が4割以上の548人を占めることが、県が初めて行った実態調査で明らかになった。
 県は「想像以上に中高年の割合が大きかった」として、引きこもりへの支援を行うNPOなどと協力して対策を進める方針だ。
 県は4〜5月、民生委員ら2629人に住民の交流状況などに関するアンケートを実施。この中から引きこもり状態にある人を把握した。2204人から回答を得た。
 引きこもり状態にある人を年齢別で見ると、多い順に30歳代28%、40歳代23%、20歳代21%など。30歳代以下の若年層が55%を占める一方、40歳代以上の中高年層も43%に上った。
 期間別では、3年以上5年未満が17%で、5年以上10年未満は20%。10年以上も36%いた。中高年の場合、長期化の傾向が見られ、10年以上が46%だった。
 引きこもりに至った経緯(複数回答)を見ると、「失業」24%、「不登校」16%、「就職できなかった」8%、「家族関係」7%などが挙がったが、「わからない」が34%で最も多かった。
 ただ、引きこもりの人にどのような支援(同)が行われているかについては、「医療機関に受診」15%、「行政機関による支援」8%などがあったが、「わからない」が56%と群を抜いて多かった。
 必要とされる支援策に関しては、民生委員らから「引きこもりの人は親との対話もままならない。専門的なカウンセリングが不可欠」「進んで働けるような環境づくりや、就業支援を行う団体をもっと育成するべき」などの意見が出た。
 県若者支援・男女共同参画課の高橋雅史課長は「これまで、引きこもりは若者が中心だと考えていた。中高年の原因としては、失業などのほか、学生時代の不登校に起因するケースもあるとの指摘がある。今回の調査結果を踏まえ、NPOなどの意見を聞きながら、来年度以降の施策に反映させたい」と話している。
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 ◆引きこもり◆ 厚生労働省によると、様々な要因の結果として就学や就労、家庭外の交遊など社会的参加を回避し、6か月以上にわたって家庭にとどまり続けている状態を言う。県の調査を担当した民生委員らから「家の恥だと思って家族が隠す」「家庭の事情もあり、簡単に立ち入れない」などの意見が出ているように、実態を把握することがそもそも難しく、有効な対策が立てにくいのが現状。
(2013年10月24日11時42分 読売新聞)