藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

リーダーの役割について

メガバンクが3万人を超える人員削減をするという。
半沢直樹シリーズよろしく、「最も時代の権力」であった銀行が合理化を打ち出している。
いよいよ都銀にもそんなことが起きだした、という本格的な警鐘でもある。(というより庶民感覚年しては「大企業」が本当に動き出したらもう遅い、と思うが)
で、それはともかく。
合理化の波、というかその他の世界ではすでに一つ過ぎたような改革が、金融とか大企業に訪れている。

これまでは「当たり前」とか「ルーティーン」として行われてきた仕事が、突如「ムダ」になる。
そのルーティーンの規則を作った人はもうとうにいない。
どんどんどんどん積み重なった規制の上に自分たちはいる、ということに気づく。

誰かが決めたルールを定型化し、それを通常業務に置き換える。

ということがどれほどのムダを生んだか。

モラルを育てず、ペーパーと規則で人とを縛ろうとした結果が「山積みのマニュアル」になっている。

「気持ち」とか「ビジョン」と言った曖昧なものを排除した結果だろう。
組織で「合理性」というキーワードで突き進んだ結果だと思っている。

そして。
この後に官公庁の「メガリストラ」が続くはずだが、こちらは民間ほどスムースに行くとは限らない。
「国家公務員」がどこまで理屈を理解できるのかどうかで、(破綻も含めて)結構混乱すると思う。

巨大な組織が、どうしても排除できない「組織運営の肥大化」について、いつか整理が来ると思っている。
人の関わる組織というのは、強大な力を持つけれど、その統治にはまた間接的なパワーが必要になる。

リーダーシップについても、まだ考察すべきところは多いのではないだろうか。

メガ銀大リストラ 改革後の勝者は

 マイナス金利政策による利ざや縮小やIT(情報技術)による効率化を背景に、メガバンク経営統合以来のリストラに乗り出している。3行合わせて3万人分を越える業務量を削減する計画だ。削減幅の大きさは各行の強い危機感の表れ。改革後の勝者は誰か。

 「強い危機感を持って、事業改革に正面から取り組まないといけないことがより明確になった1年だった」。全国銀行協会が12月14日に開いた2017年最後の会長会見で、平野信行会長(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)は今年をこう振り返った。

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■3万人分超削減

 みずほフィナンシャルグループ(8411)は1万9000人、三菱UFJ(8306)は9500人分、三井住友フィナンシャルグループ(8316)は4000人分──。3メガバンクは今年、相次ぎ人員や業務量の削減目標をまとめた。千人規模で新規学卒者を採用してきた巨大組織がスリム化に大きくカジを切る。

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みずほフィナンシャルグループの佐藤社長

 最も踏み込んだのがみずほFGだ。26年度までにパートを含めた従業員数の4分の1を減らす計画。ターゲットはバブル期の大量採用世代だ。みずほの総合職の人員構造は50歳前後が最も多い。希望退職は募らないとするものの「転出などによりスリム化・高コスト構造を是正」。11月20日に公表した会社説明会の資料にはっきり記した。国内拠点も24年度までに全体の2割にあたる100拠点を減らす。構造改革で1000億円台半ばの経費抑制を目指す。3メガの中でも高くなっているコスト構造を変え稼ぐ力の復活を目指す。

 三菱UFJも23年度までにデジタル化による業務量の削減で、営業純益ベースで2000億円の利益を生み出そうとしている。三井住友はグループでのインフラ共有化、業務改革などにより3年間で500億円、中期的に1000億円のコスト削減効果を見込んでいる。

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 銀行が大規模な人員削減に踏み切ったのは1990年代後半から2000年代前半の金融危機時。巨額赤字を計上した当時と比べれば、メガバンクの連結純利益は17年4〜9月期で合計1兆3000億円。自己資本も厚く、大規模な事業構造改革は一見、不要に見える。

■今は「静かな危機」

 「静かな危機」。ある銀行幹部は今の状況をこう表現する。日銀のマイナス金利政策で本業の貸し出しで得る収益は減少。少子高齢化に人口減少という構造問題を抱える。じりじりと収益が減るなか、大量に人員を抱えて全国に店舗網を張り巡らせる従来のビジネスモデルは限界が近い。

 日米欧で大手銀行の自己資本利益率(ROE)を比較すると、3メガバンクは平均7.2%。上昇はしているものの、リーマン危機後に徹底したリストラを進めた米国(8.6%)の後じんを拝する。債務危機に見舞われた欧州は3.3%と低いが、欧州大手銀は日本より大胆なリストラ策を相次ぎ打ち出し、組織のスリム化を急いでいる。「欧州銀はほとんどが経費削減に力を入れている」。みずほFGの佐藤康博社長も、11月の決算会見でこう発言、注目している。

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■欧州勢も大リストラ

 独最大手のドイツ銀行は15年10月、20年までに正社員と契約社員を合わせて1万5000人を削減すると発表した。その直後には英スタンダードチャータードも、18年までに全従業員の2割近い1万5000人を削ると表明した。

 欧州銀行連盟(EBF)によると、欧州連合(EU)加盟28カ国の銀行の従業員数は、16年末時点で約280万人。リーマン危機直後の08年末と比べて約46万人(14%)減った。支店の数もこの間に、約2割にあたる約4万8000店減少した。大手から中小まで、合理化が急ピッチで進んでいる。

 ここにきて目立つのが銀行業務のデジタル化を意識したリストラだ。英ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は1日、グループ傘下の支店のうち4分の1にあたる259店を閉じる計画を発表した。併せて約700人の希望退職を募る。「500万人を超える顧客がモバイルアプリを使い、5人に1人はデジタルだけで取引している」(広報担当者)。収益性の高い有力店舗とデジタル分野に経営資源を振り向ける。英国金融庁で金融安定局長を務めたデロイトのデイビッド・ストラカン氏は「規制対応やリスク管理にもテクノロジーの活用が進み、そうした分野の人も削減される」とみる。

■IT活用で効率化

 3メガバンクもITを使った効率化を急ぐ。三井住友銀行は「RPA」(ロボティクス・プロセス・オートメーション)と呼ばれるソフトを使い、9月末までにマネーロンダリング資金洗浄)対策など約200業務・40万時間分を削減。20年3月末までに300万時間分の業務量を減らす計画。三菱東京UFJ銀行も約20業務・2万時間分の業務量を削り、みずほ銀行は17年度内に100業務・30万時間分を減らす。

 みずほFGがソフトバンクグループ(9984)と人工知能(AI)を使った個人向け融資事業を始めるなど新たな収益源の獲得に向け種まきを進めるが、柱に育つとしてもまだ先だ。当面は構造改革の成否がメガバンクの浮沈を左右しそうだ。

  三菱UFJフィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループの株価が13日に年初来高値を更新するなど、先週は株高に乗り遅れていたメガ銀株の上昇が目立った。

 きっかけの一つが国際的に活動する大手銀行を対象とした新たな資本規制(バーゼル3)の最終合意だ。健全性を示す自己資本比率の算出で分母となる貸出資産のリスクを厳しく見積もる水準を巡り、日米欧の金融当局が対立。銀行経営の先行き不透明感が高まる一因となっていたが、7日決着した。

 三井住友FGは市場が注目する自社株買いについて、資本規制の動向が明確になってから決める方針をにじませていた。合意を受け、ゴールドマン・サックス証券田中克典アナリストは11日付のリポートで「2019年3月期に500億円の自社株買いを実施する可能性が高い」と指摘。株価上昇に弾みを付けた。ある幹部は「早くも市場から催促されているようだ」と苦笑いする。

 13日には米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)で6カ月ぶりの利上げを決定。市場では、今回の会合での利上げを確実視する声が多かっただけに、金利上昇による収益改善期待を織り込むかたちで、銀行株は騰勢を強めた。

 ただ今後の持続性について市場の意見は割れている。ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズの新原謙介チーフ・インベストメント・オフィサーは、メガバンクが大規模な人員削減策を発表するなど収益改善が期待できるとして「直近では出遅れていた金融株に注目している」と明かす。

 一方、マネックス証券の大槻奈那チーフ・アナリストは「本業の国内向け融資の成長ストーリーを描けないなか、他の業種を上回って上昇するとは考えにくい」と指摘。UBSウェルス・マネジメントの青木大樹・日本地域最高投資責任者(CIO)も「大幅な金利上昇と収益改善が見込めず、当面は金融株に積極的に手を出しにくい状況が続くだろう」と話す。銀行株はFOMC後の14日と15日の東京株式市場で利益確定売りに押されて続落した。

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 3メガ銀の株価を比較して、出遅れが際立つのが最も踏み込んだリストラ策を打ち出したみずほだ。

 18年4〜9月期連結決算を発表した11月13日、佐藤康博社長は「1万9000人の従業員を26年度までに実数として減らしていく」と明言。構造改革で高止まりするコスト体質にメスを入れる覚悟を示したが、市場の反応は鈍かった。「人員削減はバブル期に入社した行員が自然に減る効果が大きい」とし、踏み込み不足を指摘する声が根強いからだ。

 大手銀行5グループの18年3月期の業績予想で、本業のもうけを示す業務純益は前期比13%減る見通し。足元で長期貸出平均金利が下がるなど、「利ざやの縮小には歯止めがかかっていない」(大手金融グループの幹部)。借り換えに伴う貸出金利の低下が進めば、業務純益の低下は今後も続く可能性が高い。

 金利上昇と国内景気のさらなる拡大という両輪が回って本業の収益が回復しない限り、銀行株が持続的に上昇するのは難しいという声が市場には多い。

■りそな、メガ銀と一線

 構造改革で店舗の統廃合を進めるメガ銀と一線を画すのが、国内行最大の店舗網を持つ第4の銀行グループ、りそなホールディングス(HD、8308)だ。現在の店舗網を維持したうえで、顧客からの相談にこたえる「相談特化型」の小型店を増やしていく方針だ。メガ銀の逆張りで、独自の活路を探る。

 「足元では逆に店舗網は増える」。りそなHDの東和浩社長はこんな見通しを示す。現在、りそなHDの店舗数は足元で約570店。これを維持したうえで2017年度からの3カ年の中期経営計画で年金や住宅ローンなどの相談を受ける相談特化型の小型店を3年間で30店設ける方針を掲げた。既存店の切り替えもあり、単純に上乗せされるわけではないが東社長は「中長期的にも既存の店舗網は維持したい」と話す。

 「我々は海外がある銀行とは違う。国内でやるしかない」。背景にはこんな危機感があるが成算がないわけではない。「03年に公的資金の注入を受けてから、ずっと構造改革をしてきた」(東社長)。3メガ銀に先駆けて、店舗の営業時間の拡大や徹底した事務コストの削減を進めてきた自負がある。全国展開する3メガ銀と違い、人口減と過疎化の影響を受けにくい首都圏と関西圏に店舗が集まっているのも強みといえる。

 しかもただ店を増やすわけではない。中計では物件費や人件費の削減で110億円の利益を積み上げる方針も示した。来年2月のスマートフォンスマホ)アプリの刷新や金融商品の申し込みなどのペーパーレス化を含め、顧客対応から店舗の事務作業まで一貫してデジタル化を徹底。支店の事務量を21年度までに16年度比半減させる。「コストを抑えながら顧客接点を増やす」(幹部)という二兎(にと)を追う難題に挑む。 一方、今のメガ銀は、窓口から裏方の事務まで人手による作業を基本としている。駅前の一等地に構える既存店舗は「赤字店が大半」(メガ銀幹部)。単に店を減らすだけでは“止血”は難しい。全ての店があらゆるサービスをそろえる画一的な店づくりを見直し始めた。

 みずほFGは、全国の支店を全てのサービスを提供する中核店舗と少人数でサービスを絞った軽量店に変えていく方針だ。

 人口減に加え、インターネットバンキングの普及などで支店に足を運ぶ顧客は減っている。ITの導入などで時代に合った店づくりをできるかが、国内事業の成否を分ける。

奥田宏二、渡辺淳、大島有美子、亀井勝司、篠崎健太=ロンドン、末藤加恵が担当した。

日経ヴェリタス2017年12月17日付]