藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

自分の将来。

yomiuri online[若者に聞く]ネットアンケートより。
若者に聞いたアンケートはこんなものだそうである。

<入り口の話>
出会いがない。→出会いを増やして。
頼れる男(女)がいない。
収入が低い。

<現役生活の話>
子育てをする経済力に不安あり。
子供に責任が持てない。
世の中に希望がない。

保育、育休をもっと充実すべき。
子供の学費や医療など福祉のさらなる充実が必要。
子供手当のさらなる充実を。
不妊治療の保険適用をすべき。
(裕福な)年寄りよりも、子供の福祉を充実すべき。

<老後の話>
老後の年金があてにならない。
老後に資金を貯めねば生きていけないという見込みが強い。

出会いの場を増やせ、といのうは、昔から「そういうこと」に若い男女は執心していたのだから、敢えて年長者に「増やせよ」ということでもないだろう。

それにしても「頼れる男がいない」「世の中に希望がない」「福祉を充実せよ」「老後の年金が不安」。

といった声は、明治・大正・昭和・平成と、一応戦中戦後の時代を生きた来た人たちからは、どのような印象を受けるのだろうか。
ざっと見まわしても、明治維新以後、平成24年の今は、間違いなく最も高文明、長寿、高エネルギーな世界である。
「物質的には最も豊かな時代」と言っていい。
その今を生きる人たちが「最も不安にさいなまれる」というのはどういうことか。

一言で言えば、それだけ時代が緩く、贅沢になってきている、ということである。

生命も脅かされず、戦争もなく、飢餓の心配がなくとも、人は「さらのその上の将来」について心配するのである。
これまでのところ「上を見ればきりがない」という状態だが、まだそれが続いている。
この幸福追求がどこまで続くのか、あるいはさらなる「ブレイクスルー」があるのかは分からないが、
ともかく「今もっとも豊かな十数カ国」が、まず「今後の価値観」を示さねば、いつまで経っても「私には足りない」という過剰成長への思いがなくならない。

幻想のような「出会い」「子育て」「福祉」「老後」「保障」「年金」…そうしたものから解脱して、「自らの形」を求めるような思想教育が必要だろうと思う。
これだけ豊かになっても「出会いを増やせ」という要求は、もはや甘えでしかないだろう。
折角手に入れた豊かさこそ、甘えを排して緩め過ぎない意識が必要だと思う。

もう国に全てを求め、甘えて成り立つ社会ではないということを、先進国の国民は身を以て示さねばならないのではないだろうか。

出会いの場増やして
 【結婚しない理由】
 ・今の給料では結婚できない(35/独身/正社員男性)=同様多数
 ・権利、権利と叫ぶ女性が増える昨今、結婚しない男性が増えるのは仕方ない(21/独身/正社員男性)
 ・「こんな男性と結婚するくらいなら一生独身の方がマシ!」と思うほど、どうしようもない男性が増えている(36/既婚/専業主婦)
 ・結婚したからといってずっと幸せとは限らない(21/独身/パート・アルバイト女性)
 ・異性との出会いの場が少ない。増やしてほしい(25/独身/パート・アルバイト男性)
 ・結婚や育児に時間を費やすぐらいなら、副業に充て、老後の備えとするべきだ(27/独身/正社員男性)
 ・結婚しないのは個人の勝手。一人寂しく生きていってくれればいい(35/既婚/正社員男性)
 ・もはや強制見合いをするしかない(37/独身/自営・経営者男性)
自分が生きるのに必死 【子どもを持つこと】
 ・産んだはよいが育てられないなんて無責任なことはできないと考えると、なかなか勇気が出ない(29/既婚/パート・アルバイト女性)
 ・子どもを育てるために必要なお金を確保出来る自信がない(35/既婚/嘱託・契約社員男性)=同様多数
 ・手にしている幸福感を捨てて、未知の子育てという領域に足を踏み入れるのが怖い(33/既婚/正社員女性)
 ・若い世代は、給与は少なく税金は取られる。子どもを育てたくても自分が生きるのに必死(27/独身/正社員女性)
 ・世の中に希望が持てないので、子どもを産みたくない(25/既婚/パート・アルバイト女性)=同様複数
 ・子育ては大変だと思うが、得るものも大きいと思う(20/独身/学生女性)
 ・外出の際など、子どもが歓迎されていない社会だと感じる。子連れでも気兼ねがいらない環境になればいい(29/既婚/パート・アルバイト女性)
 ・子どもは社会の宝(29/既婚/嘱託・契約社員男性)
 ・お金を出せば子どもをポンポン産むと思ったら大間違いだ(37/既婚/正社員女性)
 ・早く結婚したいし、早く子どもも欲しい(22/独身/正社員男性)
育休、出世に響く 【国・企業・地域への要望など】
 ・結婚や出産後も働きたい女性は多いので、保育や育休などの支援を充実させてほしい(22/独身/学生女性)=同様多数
 ・若い人の賃金が十分でないから、結婚が遅くなっている。企業がもっともうけを社員に還元することが大切(31/既婚/正社員男性)
 ・子どもの学費や医療費免除などが実現するなら、消費税増税に賛成(37/既婚/専業主婦)=同様多数
 ・裕福なお年寄りより子どもの福祉を充実させてほしい(35/既婚/専業主婦)=同様複数
 ・育休を取ったら出世に響く(29/既婚/パート・アルバイト女性)
 ・男性の育休支援に予算を割くべき(20/独身/学生男性)
 ・保育所と幼稚園の統合がなくなったのは残念(31/既婚/専業主婦)
 ・不妊治療を経済的な理由であきらめる人もいる。保険の適用をしてほしい(29/既婚/パート・アルバイト女性)=同様複数
 ・子どもへの手当など、目に見える形での支援が必要だ(27/既婚/正社員男性)
 ・里帰り出産したくても、地元に産婦人科がない(37/既婚/専業主婦)
 ・汗水たらして働いているのは私たちなのに、子どもやお年寄りばかり優遇されているのは理不尽(33/独身/パート・アルバイト女性)
 ・結婚生活が長くなることで国から助成金が出る制度を作ってはどうか(28/既婚/正社員男性)
 ・病児保育を充実して(36/既婚/派遣社員女性)
 ・未婚で出産しても子どもを育てられる環境を(37/独身/パート・アルバイト女性)

 社会保障部の梅崎正直、飯田祐子安田武晴が担当しました。
(2012年7月21日 読売新聞)