藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

国依存を見限る時はいつか

yomiuri online 星野泰平氏のコラムより

星野さんのコラムは分かりやすいグラフを示して伝えたいことを一、二点ハイライトするというのが特徴で分かりやすい。
今回は日本のお財布「38年間で無借金は3年だけ」。

80兆円の予算のうち、税収があるのは半分だとか、今の静的な話はずい分と聞くが、過去の損益計算で黒字が(バブル最盛期の)たった3年とは改めて驚いた。
さらに勉強になったのは

「日本は財政法4条で「国の歳出は、公債または借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」と定めています。つまり、原則的に借金は禁止されているのです。」

という部分。
75年の例外立法である「公債特例法」によって認められた赤字国債が、その後も例外記録を更新し、ほぼ毎年発行されている。
(その「赤字公債法案」がこの度は衆議院で”否決”の見通し。通らなければ、国の予算が執行不能になるのだが)

身の丈の収入で生計を立てていけない国。
日本の国債が危ない、という声と、「いや海外に比べたらましである」という議論がよくあるが、まさにこの赤字国債を買うのが、「日本人自身の貯蓄だから安全なのだ」ということに他ならない。

内部の構造だけで言えば、もう到底「今の構造のまま」は自立する力は残っていないと見るのが妥当である。

今の政局などを見ていれば、お上もあてにはできず、間違いないのは自分の周囲を自立できる体質に改造してゆくことではないだろうか。
もう年金の積立金と、交付金の議論は時代遅れになってしまうだろうから。

星野泰平の積み立てマネーライフ
38年間で無借金は3年だけ
 想像してみてください。ある人が社会人になり38年目を迎えました。この人は38年間のうち、自分の収入の範囲内で生活できたのはたったの3年間しかありませんでした。残りは、自分の子供や孫のクレジットカードを作って、そこから生活費をひねり出しているのです。ひどい生活だと思いませんか?
 これは今の日本の姿です。日本は財政法4条で「国の歳出は、公債または借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」と定めています。つまり、原則的に借金は禁止されているのです。公共事業など世代をまたいで考えるべきものは別ですが、基本的にはその年の収入の範囲内で、歳出を抑えるのが原則としてうたわれています。
 しかし、実際はどうでしょう?1975年度に初めて例外的に赤字国債を認める公債特例法が制定されました。赤字国債とは、一時的に赤字を補うための借金なので、発行は認められてませんが、例外的に認める法律が制定されたのです。
 以降、2012年度までの38年間でほぼ毎年、例外的に赤字国債を発行しています。そのために公債特例法を毎年制定して、赤字国債を発行し続けています。
 途中、赤字国債が発行されなかったのは、1991〜93年度のたったの3年間だけです。この時期はバブルの後で、日本の税収が60〜55兆円あった全盛期でした。(ちなみに、ここ数年の税収は約40兆円です。)

 日本の全盛期の収入の時に、3年だけ赤字国債は発行されませんでしたが、残りの35年間は毎年、公債特例法を制定して、赤字国債を発行し続けたのです。
 しかも、その金額は右肩上がりで増え続けています。昨今は40兆円近くまで増えています。これは国の税収とほぼ同じ金額です。
 公債特例法は、あくまで例外的な措置なので、1年ごとに制定されています。果たして、これで例外的な措置といえるのでしょう?
 結局、この赤字の多くは将来世代に負担が残ります。私達が作った借金が、今の子供達やこれから生まれる世代の負担になるのです。
 しかも、今後財政の収支は相当厳しくなるのが予想されます。高齢化が進み、国を維持するお金が莫大に増えるからです。そうなると、更なる赤字国債の発行も行われます。
 せっかく生まれてきても、自分の父母、祖父母が作った借金が重くのしかかるのは非常に残酷です。次の世代への負の遺産をこれ以上増やさないために、私達一人一人ができることは何でしょうか?私達のモラルが問われています。

■参考リンク:7/4コラム 社会保障費の今後の推移
プロフィル
星野 泰平(ほしの やすひら)
 1981年生まれ。埼玉県出身。信州大学経済学部卒業。日本インベスターズ証券に役職員3位の株主として資本参画。現在、Tsumitate Style代表取締役、社団法人世界つみたて投資協会代表理事。自身と同じ20〜30歳代が少額から取り組める「つみたて投資」の研究に従事。世界の若者の資産作りに貢献し、TSUMITATEというキーワードを世界に広めたい、と世界を駆け巡る。
「積立て投資のすべて」(PanRolling)、「半値になっても儲かる『つみたて投資』」(講談社プラスアルファ新書)など。
<主な著書など>
「積立投資のすべて」(PanRolling)、「半値になっても儲かる『つみたて投資』」(講談社プラスアルファ新書)など。星野泰平氏のホームページ(http://yasuhoshi.me

(2012年8月1日 読売新聞)