藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

すべては劇的に。

その事件に対する対処がたとえ悲しいことでも、辛いことでも。
アメリカの人々はそうしたことを「イベント」にする力に優れている。
それが9.11であれ、国内の犯罪であれ、ともかくそれを一つのお祭りにしてしまう。
そしてその「象徴的なこと」について、強烈に国民に遡及してゆくやり方は、逆にそうした手法の下手な日本にはとてもお手本になる、と思うのは自分だけだろうか。

アメリカの予算「強制削減」がいよいよ待ったなし。
このままでは空母は停止し、F35は飛ばず、不法移民は釈放され、ペンタゴンでは実に80万人が暇を出されるという。

そしてその後に待つのはお決まりの「国債発行の制限」である。
QE3までの巨額の金融緩和にも関わらず、こうした「強制財政削減プログラム」が発動されるのは、むしろその政治の仕組みが「健全である」ということの証でもあると思うが、問題を先送りせず、一気にカタを付ける米国流の手腕が、また一つ見どころを迎えるのは確かなようである。

日本の「決められない政治」を見ていると、むしろ徹底的に頑張った末に白黒をつけてしまうようなアメリカ的なやり方も時には必要ではないか、とも思うのだが、またしてもリーダーとしてのアメリカが先鞭をつける形で先進国最初の決算に踏み切るのかどうかが、今春の一番の注目である。

日本の去就が世界の先端を走らないのは情けないが、それもお国柄かと思う。
金融経済の「幕引き」が始まるのは、以外に近々かもしれない。

米財政、壁また壁 強制削減が発動期限
暫定予算も27日には失効

2013/3/2 0:08 ニュースソース 日本経済新聞 電子版  
【ワシントン=中山真】
財政問題の焦点である「歳出の強制削減」が1日、発動の期限を迎えた。発動を避けるための民主・共和両党の協議は進んでおらず、オバマ大統領が最後の説得を続けている。約10年間で1兆2000億ドル(約110兆円)の歳出がカットされる強制削減に続き、27日には現行の暫定予算の失効期日が控える。議会での協議が空転するなか、米財政は次々と壁に突き当たる。

 ▼最新鋭戦闘機F35の開発が遅れるのではないか

 ▼管理する職員が足りないため、収容中の不法移民らが釈放される

強制削減が発動された場合の影響について、米メディアは連日のように報道を続けている。

景気や雇用への悪影響を懸念するオバマ大統領は1日午前、ホワイトハウスに民主・共和両党の下院議長や院内総務らを呼び、最後の説得に入る。1日は強制削減が発動される日。両党が発動の凍結で歩み寄らないかぎり、オバマ氏は遅くとも1日深夜には強制削減の大統領令に署名する必要がある。いわばロスタイムを使ってのギリギリの調整となる。

オバマ大統領の説得が成功すれば、強制削減の発動は土壇場で避けられる。だが発動の凍結にはその分の財政赤字の削減が必要であり、歳出削減や増税を追加しなければならない。野党・共和党には増税を受け入れるぐらいなら強制削減の発動を容認したほうがいいという意見も根強い。

オバマ政権や民主党にとっても共和党が主張する社会保障費の大幅カットは受け入れにくい。妥協の余地は少なく、強制削減が発動される可能性が高まっている。

強制削減が発動された場合、まず2013会計年度では850億ドル分の歳出が削られる。例外扱いの経費などを除くと連邦政府予算がほぼ1割カットされる計算となる。

強制削減の影響が目に見える形で表れるのは数週間から1カ月後。例えば、国防総省による約80万人の職員の一時帰休は30日間の事前通告期間を経て、4月以降に実施される予定だ。

国防関連から交通システムや教育まで、幅広い分野に影響を与える歳出の強制削減。だが、財政が直面する「壁」はそれだけではない。

まず今月27日には、13会計年度の暫定予算の失効期限が来る。それまでに議会が新たな暫定予算を議決しなければ政府は予算を執行できなくなり、政府機関の閉鎖という事態に陥りかねない。さすがに政府機関の閉鎖は回避したいという意見は、民主・共和両党でも根強い。暫定予算の編成とあわせて、強制削減の凍結をあらためて協議する案も浮かんでいる。だが互いに非難の応酬を続ける両党が、今月下旬までに打開策を見いだせるかどうかは不透明だ。

5月にはもう1つの「壁」に突き当たる。政府が国債を発行できる上限(債務上限)の引き上げ問題だ。

政府の債務は昨年末に上限に達した。現在は上限を上積みできる制度で何とかつないでいるが、その期限が5月半ば。上限引き上げで両党が合意できないと、新規に国債を発行できず、利払いが滞りかねない。金融市場で米国債が売られ、混乱を招く恐れさえある。

米国は「財政の崖」といわれた昨年末の包括減税(ブッシュ減税)の失効問題を何とか切り抜けたばかり。歳出の強制削減、暫定予算の失効、債務上限の引き上げという新たな試練は、「決められない」議会にとっては重すぎる課題だ。