藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

yomiuri online今を読む、より。

もう何度も、どこでも言われているけれど、日本の借金が膨らむ一方で、国全体の収支が立ち直る見込みは未だにない。
借金を返し切る、のはもう100年は難しいけれど、それ以前に維持していけるかどうか、が危ないのである。

これは借金に苦しむ個人に例えると当たり前で、まず日常生活費が足りずに(あるいは無理な買い物をして)借金を負い、それから日常を切り詰めながらも返済を続ける。
ところが、自分の働く会社が業績不振になったり、また自分も年を取ってきて収入が減ったりという「構造的な問題」に煽られ、返済が困難になり。
そうなると「お定まり」は、
「せめて利子だけでも返します」となり、
「元本はなんとか借り換えで」となり、いよいよ
「利払いもしばらく待ってもらえませんか」となる。

コラムはEU全般の金融危機が、銀行間の「担保取引率の引き上げ」へと急速に傾斜しつつあることを指摘しているが、日本は世界最大の借金比率であるし、国債未達の"その日"は確実に来ると見ておくべきだと思う。

かといって、その日以降「人々の生活」が無くなるわけでもなく、いわゆる金融の「フローマネー」が無価値になるので"それ"に備えておけばよい。
サブプライム的な見えない投資の証券化商品、投資信託などの複雑な組成の見えにくいブレンド品などには手を出さない方が賢明だし、また現預金も吹き飛ぶ可能性が高いと思う。
過分には必要ないが、リアルな現物や株式などに資産を移転しておくことも重要だと思う。

欧州金融危機のもたらした現実
調査研究本部主任研究員 安部順一 私たちが銀行でお金を借りると、担保を求められるのが一般的だ。
 例えば、住宅ローンを組んだ場合は、購入した住宅が担保として差し入れられている。ただ、銀行同士のお金の貸し借りはこれまで、互いに信用し合って無担保で行われるのが普通だった。
 いわば、一種の「信用創造」だったのだが、それが今、欧州で崩れ始めているという。きっかけは、2008年のリーマンショックとその後の欧州金融危機である。
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 バークレイズ・キャピタルのリポート(2012年3月)によると、欧州11か国のうち、欧州金融危機震源地だったギリシャの銀行で2005年に3%程度だった有担保比率が、2011年には37%に上がったのをはじめ、スペインは15%程度から24%に、アイルランドは7%程度から18%に、ポルトガルは2%程度から17%に、イタリアは5%程度から12%に…などと、銀行の有担保比率が軒並み上がった。例外は、21%程度から11%に下がったドイツだけだ。
 国際決済銀行(BIS)のグローバル金融システム委員会(CGFS)が2013年5月にまとめた報告書も、「特に欧州では、銀行が有担保での市場性資金調達への依存度を高めている証拠がある」「有担保調達への依存度の高まりは、担保に差し入れられる銀行の資産の割合を上昇させる」と認めた。その背景には、取引相手の銀行の信用リスク上昇があり、有担保の場合はより多くの担保差し入れを求め、無担保の場合はより高いリスクプレミアム(リスク分に応じ求める超過収益)を求めていると分析している。
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 取引相手の銀行の経営が危なっかしいのだとすれば、担保差し入れを求めるのは当然だが、問題はその担保確保自体が厳しさを増しているというCGFS報告書の指摘だ。
 大雑把に言えば、欧州では、スペインやイタリアなど危機の火種がくすぶる国の国債は、担保に差し入れられなかったり、担保に差し入れても高いリスクプレミアムを要求されたりする一方で、ドイツ国債など信用の高い高品質資産のニーズが高まっており、報告書は「一時的な高品質資産の不足が生じるかも知れない」とすら指摘している。
 国の信認が揺らいだ欧州金融危機においては、もはや国債であっても国によっては担保とならない。その点で、銀行の信認は揺らいだが、国の信認までは揺らがなかった1997年の日本の金融危機、2008年の米国のリーマンショックとは全く異質なのである。
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 教訓は明白だ。国債価格が急落(金利は急上昇)し、国の信認が失われるような事態を招いてはならない。財政規律の重要性だ。
 日本は参院選の真っただ中である。安倍政権の経済政策「アベノミクス」に関する賛否はかまびすしいが、財政規律についての論戦はほとんど聞こえてこない。それでいいのかと考える。
(2013年7月11日 読売新聞)