藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

減税も増税も。

いよいよ消費税の増税が正念場。
増税見送り」という評論家も多いが、特にビジネス界は増税ありき、といった雰囲気である。
そんな中、住宅ローン減税も改正され、より「低所得者も買い控えない」かつ購買意欲がでるような補助金制度も始まるとのこと。
425-775万円の年収に対して、10-50万円の補助金も出るという。
・入居から10年間は、住宅ローン残高の1%が減税になるという。
しかし、現実は年収と、実施される消費増税と、補助金が複雑に絡み合う。

・年収600万円以上の場合、消費税率が8%になって住宅価格が上昇しても、ローン減税の拡充により、価格上昇分を上回る減税を得られる。
・一方、年収500万円以下だと、ローン減税だけなら、消費税率5%のうちに購入する方が有利だった。

・ただ、給付金が加われば、年収400万円以下の場合は、税率が8%になった後の方が得になるという。

どうだろうか。
税制が「税制のための税制」になっていないだろうか。
個別に見れば、消費税増税に呼応した、「国民にダイナミックな対応」と言えなくもない。
だが実体はどう見ても"パッチワーク"である。
まず第一にこの複雑な税金の仕組みを、自分の生活にあてはめて試算してみる余裕のある人がどれだけいるだろう。

政府が消費税を上げるので、「今住宅を買った方が有利ですよ」あるいは、「後で買っても補助金が出るから心配ありません」との二枚舌を使っているのである。
自分が住宅を買うべきかどうか、また自分は生涯どの程度の納税をしてゆくことになるのか。
そうしたインとアウトのバランスも考えながら、ぜひ自らの方向を決めていってもらいたいと思う。

"今年中に増税だから買っといたほうがいいわよ"などというのは、ほんの学生レベルの誘い文句でしかない。
本当に自分の生活に合った働き方、財産の管理、将来設計、などについて考えながら自らが決断してゆかねばならない。
各論の減税制度を見ても、決して自分の生活や人生の全体像はイメージできない。
自分たちの人生は「税制ありき」ではないのである。

住宅ローン減税、最大400万円
消費増税にらみ拡充へ

住宅ローン利用者向けの「住宅ローン減税」は、消費増税が予定される来年4月以降拡充される。減税幅は広がるが、ローン利用者全てに恩恵が及ぶわけではない。制度の仕組みを理解し、家の買い時を探る参考にしたい。

入居から10年間 住宅ローン減税は、ローンを組んでマイホームを買うと、納めた所得税や住民税の一部または全額が戻ってくる仕組みだ。原則として年末のローン残高の1%が減税額となり、減税は入居した年から10年間続く。

一般的な住宅の場合、現行のローン残高の上限は2000万円。減税額はこの1%で年間最大20万円、10年間の累計で最大200万円だ。まず所得税から減税分を差し引き、引き切れなければ住民税からも最大9万7500円差し引ける。

これが来年4月から変更される。消費税率が8%となり、住宅価格が上昇する影響を緩和するためだ。一般的な住宅で、ローン残高の上限が4000万円に増え、減税額は最大400万円になる(表1)。また、住民税の減税枠も最大13万6500円に広がる。
納税額確認を ただ、税理士の高橋昌也さんは「誰もが税金が多く戻るようになる、と考えるのは早計」と指摘する。

減税分は、すでに納めた税金から戻す形なので、納税額以上の返金はない。例えば、対象者の納税額が所得税・住民税合わせて年間20万円なら、来年末のローン残高が4000万円あり、その1%の40万円まで減税可能としても、実際に戻るのは最大20万円だ。逆に、所得税と住民税の合計が40万円以上の人でも、ローン残高が3000万円なら減税額は最大30万円だ。

一般的に、年収が低いほど納税額も少ない。「年末に受け取る源泉徴収票や、6月配布の住民税額決定通知書などで納税額を確認し、戻る金額の目安にして」と高橋さん。
なお、入居が来年4月以降でも、家の新築工事を今年9月末までに契約するなどで消費税率5%が適用されれば、ローン減税も現行の最大200万円となる。

低所得者向け給付金制度も

ローン減税の恩恵は、年収が低い人ほど限定的となるが、対象世帯が消費増税後に住宅購入をためらうのを避けるための追加措置も用意される。

政府・与党が決めた方策は、ローンを組んで家を買った中・低所得者層に給付金を出すものだ。来年4月以降の入居で最大30万円、2015年10月以降では同50万円を給付する(表2)。

みずほ総合研究所は、年収の7倍の物件を買い、うち約83%を住宅ローンで対応するなどの条件で、消費増税とローン減税の拡充の影響を試算した。
年収600万円以上の場合、消費税率が8%になって住宅価格が上昇しても、ローン減税の拡充により、価格上昇分を上回る減税を得られる。

一方、年収500万円以下だと、ローン減税だけなら、消費税率5%のうちに購入する方が有利だった。ただ、給付金が加われば、年収400万円以下の場合は、税率が8%になった後の方が得になるという。

もっとも、物件価格の動向やローンの割合など、条件次第で状況は変わる。ローン減税や給付金だけで買い時を決めず、返済計画などもしっかり検討しよう。(田渕英治)
(2013年7月16日 読売新聞)