いわゆる「最低賃金基準」が生活保護の給付水準を下回っているという。
まあ小市民的にいえば、言わんこっちゃないという感じである。
けれど、これが今の社会の様相というか、「保護するところと自由にするところ」をもう少し「本来の目的」に照らして見直す必要があるのに違いない。
度々生活保護の不正受給とか、成り済まし請求などが問題になっているが、こう正規雇用者が減り、雇用が流動化してはこれも時代の流れである。
それでも、憲法で謳われている(これが実はかなり曖昧な日本語なのだけれど)基本的人権を保障するためには、やり方を変えねばならない。
つまりもう「金銭の給付」を止めて、全面的に物の支給に変えた方が良い。
それも、きちんと一人前の充足感のあるような施設を、いまの遊休地に備えればいいのである。
江戸時代の人足寄せ場に似ているが、管理の目を行き届かせ、しかも不正もなく受給者の健康を保つには、そうした「リアル施設の普及」が不可欠ではないかと思う。
お金で給付するのは、一見お互いに便利なようでいて、「給付後の信頼関係」は決して生まれない。
そしてまた、そうすれば「最低賃金規制」のような大きなお世話な制度は必要がないだろう。
「働くことに生き甲斐を持つ人」は賃金にあまり関係なく目一杯働くだろうし、また勤労の意思のない人には、「物的に飢えない環境」を提供して、再起を促せばよいだろう。
これからは税金も上がってきて、ますます就業者には負担の重い時代になってくる。
働く人と働かない人、の間にはそうした「給付の処遇の差」ではなく、お互いのライフスタイルが向く方向に導く必要があるのではないだろうか。
ともかく、制度が逆ザヤを起こしている、など政策ミス以外何物でもない。
一刻も早く中身のある保護制度の構築を望みたいと思う。
最低賃金が生活保護費未満、11都道府県に増加
最低賃金で働いて稼げるお金が、生活保護の給付水準を下回る「逆転現象」が、11都道府県であることが22日、厚生労働省の調査でわかった。昨秋の最低賃金改定で逆転は6都道府県に減っていたが増えた。働き手が負担する健康保険や年金の保険料が増える一方、都市部で生活保護が増え、保護世帯向けの住宅費補助が膨らんだためだ。この日午前にあった、最低賃金(現在は全国平均749円)の引き上げ目安を議論する厚労省の審議会に報告された。逆転の差額は時給換算で、最大の北海道で22円、最小の千葉で1円。このほか、青森、宮城、埼玉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫、広島で、働いて稼げるお金の方が少なかった。安倍政権は8月から生活保護費を下げる一方、最低賃金は増額を目指している。審議会の議論に影響を与えそうだ。
最低賃金法では、最低賃金で稼げるお金が、生活保護水準を下回らない配慮が求められており、逆転がないかどうかを毎年、調べている。逆転差額は1年前は最大30円で、年々、小さくなる傾向にある。ただ、北海道、宮城、神奈川の3県では、2008年以降、一度も逆転が解消していない。
この日は、従業員30人未満の約4千事業所の6月時点の賃上げ調査の結果も示された。賃金の上昇率は、前年を0・6ポイント上回る0・8%で、リーマン・ショック前の08年以来の水準になった。時給換算の平均賃金は1317円で、前年より10円多かった。