藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

笑いと悩みと。

漫才師の笑い飯、が人生相談をスタート。
昔からこうした「○●に聞け」という形式の試みは人気だが、今回も面白い。
なまじ精神科の医師とか、カウンセラーとか、教育社よりも作家とかお笑い芸人とか、人生の様々な経験者の弁の方が面白いのは、何よりも人生が「そういうもの」だからだろう。

さらにお笑いの世界の人はすべてを「笑い」という強力なフィルターに掛けてしまう。
「笑う」というプロセスに掛けられてしまえば、ちょっと深刻な問題や、閉塞した感覚にも全く新しい側面が表れるものだ、と気付かされる。

こうした「物事を逆側から捉える力」というのは、社会では実に大切で、自分も四十過ぎまではそのことに気付かなかった。
この記事にあるような「夫が合わせてくれない」という話を、瞬時に「夫を放置しておく」という風にとらえ直すのは、『自分からのものの見方と、相手から見た映像』が瞬時に分かる、ということである。

つまり「自分は肯定的(あるいは否定的に)に考えている」ということと同時に、相手は「否定的に(あるいは中立的に)考えている可能性がある」ということを"イメージする能力"がとても大切だし、実社会でも役に立つ。
また、そのさらに先に「決断する力」があるのだけれど、それはともかく。

過去を回想するように、相手方のことをイメージするのではなく、「今自分の考え」として相手方の心理をイメージする、というのが問題解決の力を磨くには要諦だろうと思う。

そして、(イメージした)相手の立場から「そのまた相手である"自分"に向かって」問いかけてみれば、ずい分事態は違ってくるものである。
もう、今すぐからでもそうした練習をすべきだろうと思う。

笑い飯・哲夫に聞け)せっかちな夫ついていけません

  
 夫がせっかちで困っています。集金の仕事ではお金をもらう前に領収書を渡します。近道のためには田んぼの中も歩きます。一緒に出かけると走らないとついていけません。おいてけぼりもしょっちゅう。私はもう疲れました。どうすれば配慮してくれるようになりますか。(兵庫県伊丹市 女性 61歳)

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■もうほったらかしてますやん

 他人に合わせるのって、ほんましんどいですよね。しかも、こいつこんだけ合わせてもらってんねんからもっと感謝せえよ、て思いますよね。

 今回の相談者は、ずっと旦那さんのペースに合わせてきたんですよね。でも相談文をよく読むと、「おいてけぼりもしょっちゅう」とあります。これはつまり、合わせてないことになります。この、旦那さんが前を歩いて、相談者が後ろを歩いている状況は、旦那さんを中心に考えたら「おいてけぼり」ですが、相談者を中心に考えたら、旦那さんは「ほったらかし」をされてるわけです。

 小学生の時、よくやったいたずらがあります。5人くらいの友達と学校から帰っていて、その中の1人の子が話の主導権を握りながら残りの4人よりもちょっと前を歩いていたら、残りの4人は目配せをしてちょっと止まるんです。そしたら話をしていた1人の子が、自分の話に夢中で何にも気づかず、1人だけ歩いて、独り言みたいに喋(しゃべ)るのがおもしろかったんです。しばらくしたらその子は気づいて、「ちょおお」て言うんです。やりませんでしたか。

 あれ楽しかったなあ。あの頃の友達は今どこで何をしてるのかなあ。みんな仲良かったなあ。相談者もあの頃という、旦那さんとのいい思い出を抱きながら、旦那さんをほったらかしたってください。

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 てつお 1974年、奈良県桜井市生まれ。関西学院大卒。00年に漫才コンビ笑い飯」を結成、相方の西田幸治とのWボケが人気を集める。「M―1グランプリ2010」優勝。

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