藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

リーダーの仕事とは

当たり前、と言えば失礼だが

突き詰めると優れたリーダーシップとは、これら相反する要請をいかにバランスさせて意思決定していくかということです。

重要な、方向性の意志決定にはどうしても「ギャンブル性」が伴う。
そうした「一か八か」的な要素を、考え込んだり、いろんな角度から分析したり、他人のコメントを聞いてみたりして、失敗の可能性を「五分五分」から「ロクヨン」に、そこから「ナナサン」に、そして何とか「八対二」くらいにまで精度を上げてゆく、というのが鎬を削る作業なのである。

これをさぼっていると「五分五分」が「シブロク」になり、ずるずると「ニッパチ」くらいになってしまい、何をやってもうまくいかない、という最悪の事態を引き起こす。
実際、会社でも個人でも「何をやってもうまくいかない」という状態を、冷静に見てみると、一つ一つの意志決定に「投げやりな行為」が多く潜んでいることが多いものである。

渡りに船、とピンチに訪れた"藁"に縋ってしまい、どんどんと深みにはまる、というのはよく聞く話である。
高原氏の指摘する五点、

(1)決め急ぎ
(2)決められない
(3)決めたはずなのに実行しない
(4)決めたことの評価や修正の欠如
(5)頻繁な決定内容変更による弊害

「決め急ぎ」と「決められない」というのは矛盾するようだが、この間に非常に微妙な「せめぎ合い」がある。
けっして「エイヤ」で決めてしまうことが決定ではない。
ギリギリのところで神経を張り詰めて、考え抜いて決断する、というプロセスの事なのだと思う。

こうした点を定期的に、例えば週に一度くらいレビューする習慣を作れば、「意志決定の誤謬」を防ぎ、判断の精度を上げていく「思考の補助線」になるのではないかと思った。
思っているだけでは「決められない」カテゴリーなので、しばらく実践してまた報告させて貰いたいと思っている。

意思決定に5つの落とし穴  (高原豪久氏の経営者ブログ)
2013/9/5 7:00ニュースソース日本経済新聞 電子版
高原豪久(たかはら・たかひさ)1961年7月生まれ。愛媛県出身。創業者で父の慶一朗氏から2001年に、39歳の若さで社長のバトンタッチを受ける。創業者である先代社長慶一朗氏が盤石にした生理用品、子供用紙おむつなど国内の事業基盤を継承。2代目としてアジアなど新興国を中心とするグローバル化をけん引し、P&Gやキンバリー・クラーク、花王など巨大企業を相手に、互角以上の戦いを演じる企業へと導いた。
 経営計画の実行には、その計画を必ず実行して、何とか成功させたいという強い執着、つまり強いコミットメントが不可欠です。しかし「いつかは成功する」という思い込みにすがり、多くの貴重な経営資源が無駄になった事例は少なくありません。
 「コミットメントと見切り」「夢や自信と現実」で葛藤するのが組織運営であり企業経営です。実績をあげて自信をつけたリーダーのもとで組織が一丸となり、それまで夢としか思えなかったようなことを成し得ることもよくあります。しかし、一方では実績を過信し、慢心や驕(おご)りを生じさせ、失敗に繋(つな)がっている事例も少なくありません。
 それでも私は、当社の経営幹部に「コミットメントに執着しつつ、見切るタイミングを逸するな」「夢を描け、ストレッチ計画を立てよ、しかし現実を見誤るな」と要請しています。
 突き詰めると優れたリーダーシップとは、これら相反する要請をいかにバランスさせて意思決定していくかということです。今回は、この「意思決定をバランスさせる力」をどのように磨いていくかについてお伝えします。
 意思決定をバランスさせる。そのために重要なことは5つのパターンに陥らないことです。
(1)決め急ぎ
(2)決められない
(3)決めたはずなのに実行しない
(4)決めたことの評価や修正の欠如
(5)頻繁な決定内容変更による弊害
 まずは「決め急ぎ」です。確かに意思決定の速さは強い意志の表れでもあり、当社でも高く評価します。しかし、たとえ速くても、実態を正しく把握することもなく、直感や過去事例に頼って簡単に決めているケースもあります。そのような速さはまさに迅速ではなく拙速です。
 拙速になるその理由は2つあると考えます。まず成功体験からくる驕りです。そして重要な戦略意思決定に何日も何日も悩む辛さから解放されたいという弱さが誤った判断をさせてしまうのです。
 次は逆に「決められない」パターン。なぜ決められないかというと、何かを決めると新しいことをやらなくてはならなくなり、大きな負担感があるからです。また選択肢がたくさんあってどれを選べばよいかわからなくなっている場合です。その場合、もっとたくさんの情報を求めますが、情報がさらに増えてますます分からなくなって、なおさら決められなくなってしまうことのほうが多いものです。
 3番目は「決めたはずなのに実行しない」ケースです。この要因は比較的単純で、「やる気がない」「やるための資源がない」「やるための知恵がない」の3つの「ない」に起因していることがほとんどです。
 そして4番目は「決めたことの評価や修正の欠如」です。会議の決議事項や継続検討を要する案件のフォローアップや、部門間にまたがるテーマの役割分担など、重要な意思決定は、その実行を担保する仕組みと実行による効果測定が必要です。また実行の進捗状況によっては軌道修正しなければなりませんが、実際にこれらのことを実践するのはなかなか難しいものです。わが社では、中期経営計画の進捗管理を担当する専門部署を設置し、中期経営計画を毎年見直す取り組みなどを実践していますが、これは「決めたことの評価や修正の欠如」に陥らないためのものです。意思決定を放置しない、つまり決めっ放しにしないことが肝心です。
 最後が「頻繁な決定内容変更による弊害」です。戦略の誤りに気づき、もっと良いやり方が見つかったら朝令「朝」改だったとしても、早急に修正しなければなりません。しかし普通、策定にじっくり時間をかけて決定した重要戦略において、短期間で戦略の誤りやより良い戦略が見つかることはほとんど無いはずです。むしろ戦略実行面においての困難さで諦めているケースが多いのではないでしょうか。
 産みの苦しみなのか、本当に戦略を誤ったかを判断するのは大変重要な意思決定になります。しかしあまり頻繁に変更すると、それに振り回され疲弊した現場では、「どうせそのうちまた変わるよ」という空気が蔓延(まんえん)して、戦略実行力が弱まってしまいます。そのようなことは絶対避けねばなりません。
 このようにリーダーは意思決定が失敗する5つのパターンに陥らないように注意することによって、「意思決定をバランスさせる力」を磨くことができます。そして「意思決定をバランスさせる力」があればこそ、リーダーシップが有効に機能すると確信しています。
高原豪久 ユニ・チャーム社長の「経営者ブログ」は隔週木曜日に更新します。