藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

遅れに遅れて・・・

都議会のヤジ問題が引き金になり、なんと政治の場で女性軽視がクローズアップされている。
それにしても民間企業のそれと比べて前時代的な規則の羅列には驚く。
確実に数十年は遅れている感じがする。

 2011年4月に初当選し、直後に結婚。4カ月後に妊娠が分かり、市議会の産休制度を調べようと規則を見て驚いた。「出産という言葉がどこにもない」。市議会事務局の担当者は「明確な規則はない」と打ち明ける。

 市議の出産は、市議会初のケースだった。村上氏は「子育て現役世代の女性が議員になり、出産することを規則が拒んでいるかのようだ」と話す。規則の変更を他会派も含めて持ちかけたが、「個人的な話」「病欠ではいけないのか」などという反応が返ってきた。

 マタニティー・ハラスメント(妊娠・出産に対する嫌がらせ)も経験した。産休制度がないため、休業中も報酬が支払われることへの批判が多かった。会派内外から「給料泥棒」「無計画な出産だ」などと言われた。

政治家は男が多く、自らが出産しないから簡単に「無計画な出産」というようなワードが飛び出すのだろう。

何か「他者意識」に欠けるというか、こういう感性では有権者のための代表として「その人格が適正かどうか」を疑いたくなる。

そんなことも慮れない人が、色んな事情を抱える有権者の本意を汲んで適正な政が行えるのか、資質に疑問が出てくるのは当然だろう。

今の時代、政治家として選出されたからには滅私で、子供も産まずに仕えよということでもないだろう。

(第一そうではない男性はうじゃうじゃいるし)

 労働基準法では、労働者は出産前に6週間、産後8週間の産休が権利として認められている。ところが議員は適用外だ。(中略)

 地方議会では、規則上の欠席理由に「出産」と明文化していないところが目立つ。仙台、名古屋両市議会などは欠席理由が「事故」しかない。

 産休中に議員報酬が支払われることには賛否両論がある。ネット上でも議員に「子育てしやすい社会の先頭に立って」と肯定的な意見もあるが、「税金で出産した」「立候補のタイミングを考えて」など批判的な意見も根強い。

こういった「個人の生活にかかわるイベントの社会負担」をどの程度の基準に持っていくのか、ということはそのまま「その国の民度」を反映するものだと思う。
悪戯に福祉色が強すぎるのも、共産主義的な感じがして、やり過ぎは良くないな、と感じることもある。

畢竟この問題などには、今はやりの「少子化対策」ということに対する日本の固有のビジョンを形成し、スローガンにしていくところから始めなければ色んな意見の水かけ論に陥るばかり。
またそれとは別に「出産したい、働きたい」というジェンダーな問題には、ますます耳を傾けていかねばならないと思うのである。

マタハラ議会じゃ産めない(考 民主主義はいま)
宮崎勇作

「まずは自分が産めよ」。女性蔑視のヤジが問題になった東京都議会で、塩村文夏(あやか)都議(35)はそんな言葉を聞いたという。大阪市議会では村上満由(まゆ)市議(29)が一昨年、出産した。直面したのは産休制度がなく、妊娠・出産への嫌がらせも横行する議会の現実だった。強固な男社会の議会が問われている。

「考 民主主義はいま」一覧
■産休制度なし 「出産謝れ」発言も

 「議会の女性軽視は根深い。もっと仲間が増えて欲しい」。都議会のヤジ問題に、村上氏=中央区選出、大阪維新の会=はそう考えずにいられなかった。

 2011年4月に初当選し、直後に結婚。4カ月後に妊娠が分かり、市議会の産休制度を調べようと規則を見て驚いた。「出産という言葉がどこにもない」。市議会事務局の担当者は「明確な規則はない」と打ち明ける。

 市議の出産は、市議会初のケースだった。村上氏は「子育て現役世代の女性が議員になり、出産することを規則が拒んでいるかのようだ」と話す。規則の変更を他会派も含めて持ちかけたが、「個人的な話」「病欠ではいけないのか」などという反応が返ってきた。

 マタニティー・ハラスメント(妊娠・出産に対する嫌がらせ)も経験した。産休制度がないため、休業中も報酬が支払われることへの批判が多かった。会派内外から「給料泥棒」「無計画な出産だ」などと言われた。

 報酬を返上しようと思ったが、違法な「寄付行為」に当たると知った。「サボりと思われたくない」と産後6週間で復帰した。復帰後も、ある議員から「出産したことを有権者に謝れ」と罵倒されたこともある。

 花見の席では、酔った有権者の男性から「中央区と子どもとどっちが大事や」とすごまれた。言い返そうと思ったら涙が出た。「場の雰囲気を崩せず、耐え忍ぶことも多い」

 大学時代に兵庫県西宮市議のインターンとして政治の世界を知り、被選挙権を得る25歳で議員になろうと決めた。外資系のコンサルティング会社を経て、立候補した。任期中に出産し、議員の仕事を続けることは一つの目標だった。

 今春から市議会の教育子ども委員会の所属になった。2人目を産みたいと思っている。その前に、一般企業と同様に産休中は報酬を減額できる制度をつくろうと提案するつもりだ。

■臨月でも活動

 隣の堺市議会では、休業理由に「出産」と明記されている。かつて女性市議たちが中心になって規則を変えた。ところがどれだけ休めるかを定めた「産休」の規定は今もない。

 小林由佳(よしか)市議(36)=北区選出、大阪維新の会=は13年7月末に出産した。直前にあった参院選では臨月だったが、マイクを握って候補者の応援演説に立った。「休むことで『だから女は』と言われたくないというプレッシャーがあった。民間企業のように、報酬が減っても期間が定められた産休をとることができれば、重圧は軽くなると思う」と話す。

 有権者に選ばれて議員になった以上、いつも仕事をしていなければいけないと思う。でも、育児も頑張りたい。その間で葛藤がある一方、育児と両立できているか気を配ってくれる議員が増えてきたように思える。「実際に出産したことで、周囲の雰囲気も変わりつつある。同じ立場の女性が増えれば、議会も変わるのではないか」と話す。

■国会は改善、地方波及も

 労働基準法では、労働者は出産前に6週間、産後8週間の産休が権利として認められている。ところが議員は適用外だ。

 国会では00年に橋本聖子参院議員が出産したことをきっかけに、参議院衆議院で出産を理由にした欠席が認められるようになった。ただし、期間は自己申告で決めなければならない。これまで小渕優子少子化担当相や野田聖子自民党総務会長ら、衆参合わせて8人が取得した。

 地方議会では、規則上の欠席理由に「出産」と明文化していないところが目立つ。仙台、名古屋両市議会などは欠席理由が「事故」しかない。

 国会にならって規則を見直す動きが出てきた。13年には福島県郡山市議会の女性市議が妊娠・出産時に休みを取り、欠席理由にも「出産」が盛り込まれた。

 産休中に議員報酬が支払われることには賛否両論がある。ネット上でも議員に「子育てしやすい社会の先頭に立って」と肯定的な意見もあるが、「税金で出産した」「立候補のタイミングを考えて」など批判的な意見も根強い。

     ◇

 《伊藤公雄・京都大大学院文学研究科教授(社会学)の話》 女性と男性の生理的機能の違いに十分配慮すると同時に、それを理由に差別しないのが現在の男女平等参画の国際的なルール。都議会のヤジも、出産する女性議員に対する嫌がらせも、男女平等の感覚が根本的に欠けている点では根が一緒の問題だ。欧州では政治家の産休や育休の取得は常識になっている。日本の議会も少子化対策を訴えるのなら、議員の出産は保障されるべきだし、早急に産休の制度を導入するべきだ。

■取材記者の視点 女性議員、増やす策を

 かつて取材に訪れたアフリカのルワンダは、女性の国会議員が6割以上。世界の国会の中で最大の比率だ。強制的に女性の割合を引き上げる「クオータ制」を導入した。女性議員の一人に聴くと、伝統的な男尊女卑の風潮は一変し、議会以外の女性の社会進出も加速したという。

 日本の国会や地方議会では圧倒的に女性が少なく、まさに男性中心社会だ。女性蔑視のヤジが飛び出し、マタニティー・ハラスメントが横行する土壌がそこにある。

 アフリカだけでなく欧州でも「クオータ制」は大きな潮流になっている。意識の低さを露呈した日本の議会も導入するべきだ。(宮崎勇作)