藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

依存する人。

自分も学生時代はパチンコ中毒。(というか生活のためのパチンコだと思っていた)
今はアルコール依存症のキライがあると人は言う。(嘆)
それにしても24兆円市場である。

国内のパチンコ・パチスロ店は昨年末の警察庁調べで1万1893店。売り上げは昨年度で19兆円近い。ほかに競馬などの公営ギャンブルが4兆円余り、宝くじ・スポーツ振興くじが1兆円。

ITの市場規模の三倍。と聞くと確かに大きい、と思う。
これでカジノ解禁なんてして大丈夫なのか。
さらに

病的ギャンブラーが成人男性の8・7%、
成人女性の1・8%、計536万人にのぼるという推計を8月に発表した。

他の先進国(1〜2%程度)よりはるかに高い割合だ。
30代前半は男性で17・2%、
女性で5・3%に達している。

30代前半の成人男性の17.2%が「病的ギャンブラー」とは本当だろうか。
自分の周囲にも「ドラクエ発売日に休んで興じるゲーマー」は聞いたことがあるが、そこまでのギャンブル依存症の人はあまり見かけない。
だが東京ではそれほどでない気もするが、地方へいったらもうパチンコ屋とスーパーくらいしかないような街はとても多い。
特に人口減で街が衰退してくると出てくる特徴のようである。

とまれ、なぜ人はそういうものに依存するのだろうか。

手近にギャンブルの場があるのが大きな要因とみられている。

という考察は浅薄ではないか。
「ギャンブルしかない」のが問題なのではないか。

家族や友人や異性との関係が希薄。
さらに柱となるべき仕事(なりわい)にも大した意味が見い出せない。
そうした「乾いた心」にギャンブルのような刺激が入り込むのではないだろうか。
あの「笑うせぇるすまん」の喪黒福造のように、(自分はあれは"心の隙間の物語"だと思っている)何か空虚な満たされない心理状態に、「あまり意味のない刺激」が心地よく感じてしまうのである。

様々な面の「自分の心の隙間(物足りなさ)」を「刺激」で埋めてしまう。
ギャンブルも借金もアルコールも、みなそんな存在であると思う。

だから「ちょっと酒が過ぎているな」とか「ギャンブルに歯止めがなくなっているな」と感じたら、まずは自分の心のチェックをす余裕を持ちたいものである。

案外冷静に見てみれば、自分の気持ちの"皺"がどの辺りにあって、ストレスを感じているのかは分かりやすいものである。
心の隙間に「何者か」に侵入される前に、冷静に見つめなおすことでずい分事態は変わるのではないだろうか。

ギャンブル依存 実は多い日本
読売新聞(ヨミドクター) 9月30日(火)17時9分配信


カジノ推進の動きとも関連して、ギャンブル依存症への関心が高まっている。はまり込むと、やめたくても、やめられないのが依存症だ。

度重なる借金、生活破綻、家庭不和……。さらに各種の犯罪につながることも少なくないギャンブル依存。脱出するには、どういう手だてがあるのだろうか。

「20代のころ、友達に誘われてパチンコ店に入ったのが始まり。一人でも行くようになり、みるみるはまった。大きく勝った時のことが頭に残り、また勝てると妄想を抱き続ける。玉の出てくる音や光の演出も快感でした」

京都市に住む女性(40)は、そう振り返る。

「仕事中もパチンコのことばかり考える。きのう負けた台に、あした行ったら当たるかも、とか。用事があっても体調が悪くてもパチンコ優先で、ひどい時は365日。子育ては何とか続けたけど、ごはんも食べず、コーヒーだけで台の前に座りっぱなしの日もありましたね」

カードや消費者金融で借金が700万円に膨らみ、自己破産したが、その後もやめられなかった。5年前、うつで受診したクリニックの助言をきっかけに、依存症回復支援施設「京都マック」(同市下京区)に通うようになった。

プログラムの中心は仲間同士のミーティング。自分たちが依存症であり、無力であることを認める文章をみんなで読み上げたあと、それぞれが経験や思いを話す。互いにコメントはしない。

「ほかの人の話を聞くだけで、いっぱい気づきがあるんです」と女性。それがやめ続ける支えになっている。

「脳に機能障害」
国内のパチンコ・パチスロ店は昨年末の警察庁調べで1万1893店。売り上げは昨年度で19兆円近い。ほかに競馬などの公営ギャンブルが4兆円余り、宝くじ・スポーツ振興くじが1兆円。

厚生労働省の研究班は昨年の調査をもとに、病的ギャンブラーが成人男性の8・7%、成人女性の1・8%、計536万人にのぼるという推計を8月に発表した。他の先進国(1〜2%程度)よりはるかに高い割合だ。30代前半は男性で17・2%、女性で5・3%に達している。手近にギャンブルの場があるのが大きな要因とみられている。

「いったん依存症になったら、ほどほどに楽しむのは不可能。自力で脱出するのは非常に難しい。本人の意志や人格の問題ではなく、脳に機能障害が生じているんです」

 徳島県の藍里病院で治療に取り組む精神科医、吉田精次さんは、そう説明する。

「3大症状は借金、ウソ、思考のゆがみ」。負けが込むと家族もだまして金を手に入れる。勝敗をコントロールできるという幻想を抱く。

吉田さんは「完全に治りはしないけれど、回復は可能です。本人が困り果て、これではいけないと思った時がチャンス」とも強調する。

家族は、借金の尻ぬぐいをしない、金銭管理を徹底して余分な金を持たせない、3年間は気を抜かない――などを心がける必要があるという。


自助組織、回復支える
国際的な疾病分類にも「病的賭博」の病名があり、保険診療の対象になる。だが、きちんと診る力を持つ医療機関はとても少ない。回復を支える中心になっているのは民間の自助グループ活動だ。マックのほか、当事者が集まるGA(ギャンブラーズ・アノニマス)、家族向けの「ギャマノン」といった会合が各地で定期的に開かれている。

大阪府内の男性(64)は毎週、自助グループに通う。

「パチンコ、競馬、競艇。1日1回は行かんとおさまらんかった。大きな家が建つぐらいつぎ込んだ」。給料の額を家族にごまかし、消費者金融からも借りた。発覚して、死んでしまえ、と怒られた。もうやりませんという誓約書を何度も書いた。その時はやめようと思う。でも叱責の嵐が過ぎると、また手を出す。

「おいオヤジ、病気やったら治してこいよ」。息子に諭され、ハッとした。

賭け事と手を切って8年。それでも「自分がまだ怖い。グループにつながっていないと、また負のスパイラルに巻き込まれそう」と言う。

ギャンブルは個人の問題、自己責任として済まされがちだったが、被害は深刻だ。予防方法、治療体制を含め、社会として本格的な対策に取り組まないといけない。(編集委員 原昌平)