藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

言葉のクッション。

某会社の打合せブースにて待ち合わせ。
隣の声が聞こえてくる。
ガッ。(あわてて椅子から立つ音)
「この度は私どもの不徳のいたすところで誠に申し訳ありま…」(以下略)

ふと思った。
私どもが不徳を「いたした」のだ。
私どもの、の「の」は「私ども」が「いたしたところの」というような意味だと思うが、ぱっと聞くと「私ども」の身内の「不徳」というヤツがしでかしたことを謝っているような風にも感じる。
これが私どものミスで、とか誤りで、とかならそんな印象にはならないのだけれどなぜだろう。
不徳だ。
気の毒な不徳くん。
不徳ってやつが名詞だから妙なんじゃないか。
不徳、とは徳の備わっていないこと、と辞書にある。
じゃ徳ってなに。

【徳】[音]トク(呉)(漢)
[学習漢字]5年
1 りっぱな行いや品性。「徳育・徳義・徳行・徳望/悪徳・威徳・学徳・公徳・高徳・人徳・仁徳・道徳・背徳・美徳・不徳」
2 すぐれた人格者。「碩徳(せきとく)・大徳」
3 恩恵。「徳政/遺徳・恩徳・神徳・報徳」
4 もうけ。「徳用/福徳」

なんと五年生で習うこの漢字はこんなに色々使われていたのか。

【威徳】
1.厳かで徳の高いこと。威厳と人徳。「―が備わる」
とか
【徳義】
1.人として守るべき道徳上の義務。
とか何か略語の世界だ。
漢字ってまあそんなもんか。

まあ「私どもに立派な行いや品性がなくって…」ということを表すようだ。

それにしても「不徳」がしでかしたことなんで、と不徳くんのせいにすることで、ちょっと自分が免罪されているように感じるのは自分だけだろうか。
そういえば頭を指さして「こいつが良くないもんで」とか「下半身のヤツがお茶目で」とかいう人、たまにいないか。
その状態ってそれが"不徳"なんではないだろうか。

言葉って不思議だ。
てこんなこと言っている俺は暇人なんじゃないか。