藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

戦略はマーケットに従う。


sankei webより。
母子家庭の生活基盤を作ろうとする人たちに、新しい共同の住処ができている、という記事。
日常、自分たちは仕事をしていて「商習慣」というものに気付かされることがある。
「売買をする前に、見積もりを出す」とか、
商品を引き渡したら納品書や受領書を交わし、決済は手形を出すか「締め日」に振り込むか、など。

お互いに日の浅い付き合いには、リスクを含めたプレミアが付くこともあるし、また信頼できる間柄だと結構な値引きや信用取引などがあったりもする。
臨機応変、目に見えない「信頼の濃淡」が商売のルールになっている。

 別居や離婚を決めても、母子が新たな住まいを探すのは容易ではない。民間賃貸住宅の場合は、所得証明を求めたり、保証人が必要なところが多く、敷金や礼金も必要になる。
民間よりも家賃が低い公営住宅は、人気のある物件だと抽選になり、入居までに時間がかかる。
さらに、ドメスティック・バイオレンス(DV)を受けて身を隠す場合は、友人の名義でアパートを借りるなど、住まいの確保は深刻な問題だ。

なるほど。
健康な日常も、どこかを怪我してから初めてその有り難味に気づく、ということを自分たちはしばしば体験するが、一旦なにかのアクシデントを抱え「形式要件」を満たせなくなった場合の「救済措置」に"商売人"はしばしば目が届かないものではないだろうか。
いろいろと個別のケースの厄介ごともあるし、どちらかといえば「問題を抱えない人たち」を相手にする方がよほど楽で手間もかからない。(こういう意見が大勢を占めることも多い)

けれど、こうした「周辺部」というか普通は手の届かないところにこそ工夫の余地があり、そこにビジネスの種もあると最近自分は思うようになった。

こうした場合に、苦労や手間やリスクを「先に並べ立てること」は、実は結果を導くためには役に立たない。やってみて、工夫を重ねても採算が取れないとか、集客できない、という時にはまだまだサービスや商品が「練られていない」と考えるべきだろう。
マーケットインはいつまでも重要な基本姿勢ではないだろうか。

容易でない家探し、離婚へ「共同生活」する母子たち…家賃3〜4万円、礼金・保証人「必要なし」産経新聞 5月18日(日)18時44分配信
共有スペースのリビングダイニングと和室。母子同士の交流の場となっている=大阪市港区の「モン・プラース」(写真:産経新聞
 白を基調とした明るいリビング。どっしりとしたソファ。夕食を終え、小林真美さん(29)=仮名=は、ソファに座り、テレビを見ていた。隣の和室では、長男の駿ちゃん(1)=同=が、積み木や車のおもちゃで遊んでいる。

 ほっとくつろぐ、家族の風景。だがこの家に住んでいるのは、小林さん親子だけではない。20代の女性との共同生活だ。

 大阪市港区にあるシェアハウス「モン・プラース」。主にシングルマザーを対象としたシェアハウスとして昨年8月、オープンした。小林さんは、仕事が長続きしない夫(35)に不安を募らせ、「一家の大黒柱としての自覚を持ってもらうために」家を出ようと決意。一旦、実家に戻った後、今年2月、駿ちゃんと入居した。小林さんは「料理をたくさん作った日にはおすそわけしたり、息子と遊んでもらったり。一緒に暮らす人がいるのは本当に心強いです」。暮らしが整い、今月から、パートの仕事も始めた。

 「モン・プラース」は昨年8月、オープンした。マンションを改修し、6室の個室を配置。共有の台所やリビングダイニング、トイレ、風呂なども備える。冷蔵庫やテレビ、ベッドなども用意されている。

 家賃は3万8千円〜4万2千円。礼金や仲介手数料、また保証人の必要もない。現在は独身の20代女性と、小林さん母子の計2組が入居しているが、夏ごろにはさらに2組の母子が入居予定だ。

 モン・プラースをはじめ、大阪府兵庫県内でシェアハウスの管理運営を行っている「アドミリ」の社長、菊竹貴史さん(37)は、「さまざまなものを共有しながら孤立せずに生活できる母子のための住宅が社会にあっていいはず」と語る。

 小林さんがモン・プラースに入居した後、夫は全寮制の会社に契約社員として就職し、生活費を送金してくるようになった。「決して悪い人ではないんです。別居という形で距離を置くことで、今後を考えられるようになりました」。最近は、夫の収入が安定したら、親子3人で住もうかと考えている。

 別居や離婚を決めても、母子が新たな住まいを探すのは容易ではない。民間賃貸住宅の場合は、所得証明を求めたり、保証人が必要なところが多く、敷金や礼金も必要になる。民間よりも家賃が低い公営住宅は、人気のある物件だと抽選になり、入居までに時間がかかる。さらに、ドメスティック・バイオレンス(DV)を受けて身を隠す場合は、友人の名義でアパートを借りるなど、住まいの確保は深刻な問題だ。

 一人親家庭を支援するNPO法人「しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西」(大阪市浪速区)理事長で神戸学院大学の神原文子教授(家族社会学)は、「離婚後の母子の住まいについて、公の支援は十分とはいえないのが現状」と指摘する。「離婚を決意したら、家探しを考えて資金を確保してほしい。それが難しい場合、しばらくでも身を寄せることのできる場所の確保が必要。住まいは新しい生活の基盤となる、大切なものですから」と話している。

 厚生労働省の平成23年度の全国母子世帯調査によると、母子世帯は約123万8千世帯。このうち約81%が離別、死別が約8%だった。死別を除く、離婚などによる母子世帯の住居の状況を調べたところ、母親名義の持ち家に住んでいるのは8・6%。父子家庭の場合、37・3%が父親名義の持ち家に住んでおり、大きな開きが見られた。母子世帯の住居で最も多いのは、「借家」で33・8%。「公営住宅」が18・6%、「公社・公団住宅」は2・6%だった。