藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

判断はお金だけではない。

少し前は和牛商法。
その前は架空の金地金買い。
も少し前は人工ダイヤ販売。
そしてネットワークビジネスなんかの「在庫持たせ」商法があって、その前はネズミ講

自分も誘いを受けたことがあるけれど、結構な「常識人」と思う人がまんまと引っかかっていたものだ。
頭の良い人の方がかえって「理屈の罠」にはまってしまって当事者になっていた感もある。
つまり「たたき上げの商売人」みたいな人はこの手の話には乗らないことが多い。

濡れ手に粟、の儲け話などこの世には存在しない、ということを肌で分かっている人と、
「それでも理屈ではあり得る」と頭で判断してしまう人の構図は、ちょっと皮肉なものである。

翻って。
分かりやすい投資詐欺の話はともかく。
日常の自分たちの生活でも「そうした判断の場面」は幾らもあるものだ。

「真っ当に修行しないで飲食店を開く」とか
「自社の商品や業界を勉強せずにセールスする」とか
「どんな仕事かを研究しないで就職する」とか。
「だらだらと三十年も働き、そのまま定年退職してしまう」とか。

目に見えての「うまい話」ではなくても、「まあいいか」と適当に判断してしまうことは実に多い。
いい加減な投資話と同様に、「何となくの判断」が及ぼすマイナスは一見目立たないけれど注意が必要だ。
投資詐欺被害の話を聞いて、「実は詐欺でない失敗の方が多いのではないか」と思った次第なのである。

「レンタルオーナー」相談相次ぐ 高利うたい元本戻らず

津田六平、藤田さつき

2016年9月20日18時30分

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 「この商品のオーナーになれば、毎月レンタル収入が入ってきます」。こうした文句で誘われた高齢者が多額の出資をしたものの、「元本」すら取り戻せなくなる「レンタルオーナー契約」をめぐるトラブルが相次いでいる。老後の蓄えを失うケースも。国民生活センターが注意を呼びかけている。

■年利4%「安心かなと」

 「毎月、定額のレンタル料が入ってきますよ」

 大阪府の女性(77)の自宅に電話があったのは3年前。その後自宅にやって来たマネジメント会社を名乗るスーツ姿の男性は、誰もが知る大手リース企業が関わる事業と説明した。「レンタル料は2年満期で年利4%の額になる。しかも満期になれば元本をお返しします」

 ちょうど夫が体の調子を崩した時期だった。受け取る年金額が少ないことも頭をよぎった。女性は「行く末が心配。決まったお金を月々受け取れるなら安心かなと思った」。2014年2月に契約を交わし、パチスロ機30台のオーナーになった。支払ったのは計500万円。夫とともに縫製業を営みコツコツと蓄えてきたお金だった。

 自分の機器を実際に見たことはなかったが、業者が全国のパチンコ店に機器を転貸したというレンタル料名目で毎月1万7500円の振り込みが始まった。一安心した女性に増額の誘いがあった。さらに500万円を追加すると、年利が上がった。

 だが、最初の契約の満期が近づいた昨年末、振り込みが止まった。元本の返金を求めると、東京から社長を名乗る男性が頭を下げに来た。今年2月、業者から経営困難に陥ったという封書が届き、がくぜんとした。

 計約1千万円をつぎ込み、レンタル料として手元に戻ったのは100万円ほど。昨年末に亡くなった夫には最後まで言い出せなかった。女性は涙ながらに振り返る。「『高利回り』につられ、都合のええように考えてしまった」

 今年6月、この業者の債権者集会が開かれた。破産管財人の報告によると、800人弱から約50億円の債権届け出があった。大半はパチスロ機のレンタルオーナーからの出資金とみられる。

 オーナー側の代理人弁護士は「優良な取引で利益が出ていると数多くの高齢者をあざむき、高額な被害を出しており、非常に悪質だ」と話している。

■5千万円以上の損害も

 国民生活センターによると、こうしたレンタルオーナー契約をめぐるトラブルの相談は年間数百件寄せられているという。同センターは契約後に短期間で破産したり、連絡が取れなくなったりした4業者に関係する相談を分析。2012年度以降で約300件の相談があり、8割が60歳以上だった。損害額の平均は600万円で、5千万円以上の損害を被った80代の女性もいたという。

 近年、レンタル契約に用いられトラブルになっている商品は、パチスロ機のほか、太陽光パネルやコンテナ、クレジットカードの決済端末機などだ。

 特定の商品を預かり、利子などを支払う取引については、特定商品預託法で規制。貴金属などの特定商品やゴルフ場などの施設利用権に適用される。実際には行われていない事業に出資させた上で計画的に倒産し、客から集めた金をだまし取る「現物まがい商法」から消費者を守るためだ。

 同法では業者に対し、実際にどれだけの商品を保有しているかなど業務や財産の内容を明らかにした書面を交付し、契約時には契約内容を記した書面を客に渡すことを義務づけている。これまでトラブルの実態に応じて和牛や家庭用マッサージ器などが対象に追加された。だが、近年、トラブルになっているパチスロ機などの商品は特定商品に指定されていない。抜け穴を狙う業者といたちごっこになっている。

 トラブルの相談は消費者ホットライン(電話188)へ。(津田六平、藤田さつき)