藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

老化に向かう。

過日、一人飲みの自分の隣で、同年代と思しき男性二人。
50歳あたりで「焼き鳥数本とお新香と焼酎、でおしまい。」
はたから見てはっきりと歳が見て取れる気がした。

あまり無理をして筋トレとか、美容整形とかいうのもどうかと思うが、それにしても「ただ気分にまかせる」というのでは、ただ老いるばかりだと思う。
今は便利な時代だから、交通網も発達しているし、「一日をほとんど歩かずに過ごす」とか「口当たりのいいあっさりした食事ばかり」を摂ることもできる。

無理に筋肉に負担かける必要はないと思うけれど、老化とともに「どんどん自分の活性を落とす」と、そりゃあもうどんどんと老いてゆくだろう。

歩く時間とか、心拍数とか。
たんぱく質とか栄養素とか。
サプリとかストレッチとか筋トレとか。
歳とともにそういう「内面の身だしなみ」に気をつけないと、たちどころに"老いの波"に飲み込まれてしまうように思う。

銀座あたりには、とっても洒落た和服や、トレンチコートにベストをまとった先輩たちがいるけれど、直接話してみると皆明るくて活発だ。
外見も気持ちも老いていないなぁと感心するのであった。

高齢者こそしっかり栄養 粗食は筋力低下や認知症に|ヘルスUP|NIKKEI STYLE

 高齢者で必要な栄養を摂取できていない「低栄養」の人が増えている。低栄養が進むと、筋肉、骨の衰えや免疫力の低下、さらに認知症をも招きかねない。かむ力や消化機能が衰えがちな上に、あっさりとした食事を好み肉類などのタンパク質も不足しやすい。低栄養は知らず知らずのうちに健康をむしばんでいくので注意が必要だ。

 「最近、食欲はどうですか」

 「あるよ。1リットル入りパックの牛乳が1日でなくなる」

 1月下旬。神奈川県大和市健康づくり推進課の管理栄養士、湯野真理子さんは、同市に住む水流勝男さん(85)宅を訪れた。

 水流さんは2年前に呼吸器系の病気で入院。50キロを超えていた体重が44キロまで減った。低栄養の状態だったため、退院後、管理栄養士の戸別訪問による栄養指導を受け、「なるべく肉を食べるようにする」(水流さん)などで、体重を増やした。この日の計測では50キロにまで回復。水流さんは「毎朝、近所を散歩するので食欲がわく。おなかがちょっと出てきたかな」と笑う。

 大和市は要介護認定を受けていない65歳以上で低栄養状態にある約400人を対象に、5人の管理栄養士が戸別訪問し、栄養指導をしている。「その人の生活スタイルに沿った食生活改善を働きかけることで、低栄養に陥るのを食い止めたい」(同推進課の田中和美さん)という。

 東京都健康長寿医療センター研究所の新開省二副所長によると、高齢者の低栄養とは、小食でタンパク質、炭水化物、脂質、鉄分などが不足し、カルシウム、ビタミン類なども不十分な状態を言う。重症化すると、介護が必要になり、脳卒中につながるほか、死亡する場合もある。

 さらに低栄養の怖さは、気付かないうちに進行することだ。新開副所長は「メタボリック症候群にならないためには小食がいいとの意識が強まった」と、低栄養の人が増える背景を指摘する。

 「高齢期を迎えたら、栄養についての認識を変えた方がいい。メタボよりフレイル(心身の衰弱)やサルコペニア(筋肉と筋力の低下)に気を付けて食生活を組み立て直すことが重要」と強調する。

 具体的には「肉、魚介類といった動物性タンパク質をはじめ、野菜、大豆製品などを毎日、偏りなく食べることが望ましい」(福岡クリニックの管理栄養士、中村育子さん)。中でも、筋肉、臓器を形成するタンパク質は重要だ。主食としてご飯などの炭水化物、主菜として肉や魚などのタンパク質、副菜として野菜などのビタミンやミネラル、食物繊維を取るのが、バランスが良い食事とされる。

 低栄養を予防するため、中村さんが勧めるのは食事の回数を増やすこと。1日3回、きちんと食事をとったうえで、小食で1度にたくさん食べられないときは「間食で牛乳や乳製品、果物などをとり、カロリーやタンパク質を補うといい」(中村さん)。

 低栄養に陥りやすいのは、独居や夫婦だけの世帯だ。「毎食作るのがおっくうだったり、1人だから菓子パンなどで簡単にすませたりと、必要な栄養を取らない」(中村さん)。「男性に多い、夜はお酒と簡単なつまみだけというのも低栄養になりやすい」(新開副所長)。こうした場合は、配食サービスや栄養調整食品を利用する手もある。

 かんだり、飲み込んだりなどの口腔(こうこう)機能が低下することも低栄養につながりやすい。硬い食べ物を避け、おかゆやペースト状の食事が中心になると「必要なエネルギーやタンパク質が不足する」(中村さん)。

 かみ合わせが悪かったり義歯が不安定だったりすれば、歯科医師と相談して適合する義歯を作ることも大切だ。

 自治体などが開く料理教室に参加し、偏らない献立を学ぶことも予防につながる。新開副所長は「外出して友人らと会食するのもいい。会話しながら食事を楽しめば食欲もアップする」と話す。

 低栄養で体力や筋力が衰えると、1日の活動量が減って食欲が落ち、低栄養が進むという悪循環に陥る。低栄養は本人が気づかないことも多い。定期的に体重を測り、体重が減少したら管理栄養士に相談するなどして食生活を改善したい。

■65歳以上、2割が低栄養

 厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2015年)によると、65歳以上の高齢者の2割近くが低栄養傾向とされる。

 低栄養かどうかを判断する目安に使われるのが、体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)だ。一般的にBMIが18.5未満は低栄養といわれる。平均的な体格の人なら半年以内に体重が約3キロ以上減った場合も可能性が高い。

 タンパク質の過不足は血液の中を流れる血清アルブミンの値に表れるため同値も低栄養を判断する指標となる。血液100ミリリットル中に含まれる量が3.5グラム以下の場合、低栄養といえる。

 低栄養の認知度はまだ低い。調査会社のトレンド総研が昨年8月、高齢者(70歳以上の男女300人)とその家族(40〜60代の女性300人)を対象に実施した調査によると、70歳以上の高齢者で低栄養を知っていたのは21%。

 調査では、70歳を過ぎてから食事の量が減ったという人が76%に達し、食事において粗食を心がけている人が44%いた。必要な栄養素を取らず、低栄養に陥るリスクがあることを裏付けている。

(大橋正也)

日本経済新聞夕刊2017年2月1日付]