藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

国の定義。

米アップルに3年弱務めた中国籍の人物がFBIに逮捕されたという。
容疑は「自動運転の技術の持ち出し」だという。

足元で起きている米中貿易摩擦の一側面には米中のハイテク競争がある。
通信では安全保障を理由に華為技術(ファーウェイ)やZTEへの包囲網を築いた。
今回の事件は技術競争を巡るホワイトハウスのギアを上げるのか。
これまで摩擦で沈黙を貫いてきたアップルが思わぬ台風の目になってきた。

今の時代「貿易戦争」とはなんだろうか。
つまり「国ってなに?」ということを思う。
そういう「むら的」な単位で互いに「関税」とか「入出国」とか「国防」とかを論じでいるが、その「国という単位」は今の時代どこまで必要なものだろうか。

現に「国」という単位のために中東は戦争中だ。
民族の争いも「国」が深く関わる。
EUだってせっかく合同したのに、ずっと「国の単位」で揉めているのは、まさにそういう事例ではないのか。

ひょっとして「国」という境界とか概念は、これからどんどんなくなっていくのじゃないだろうか。

その代わりに「エリア(地方)」とか「村落」とか「企業」とかいった「はっきりと感じやすいもの」が自分たちの「区切り(アイデンティティ)」になるような気がする。
「わが国は!」と言ったってもう多様化して「それって何ですか?」と若者に言われた大人たちは何と答えるのだろうか。

固定観念は解放しましょう。

自動運転の機密、中国に流出か アップル元社員FBIが逮捕
シリコンバレー=中西豊紀】米アップルが持つ自動運転の技術情報を盗んだとして、元社員が米連邦捜査局(FBI)に逮捕された。技術を渡そうとしていた先は中国企業とされる。自動車メーカーに加えネット大手も参戦する自動運転の分野では、技術者の争奪戦が起きている。なかでも米国が警戒するのが中国だ。事件は米中間の摩擦をさらに強める可能性がある。(1面参照)

米マウンテンビュー市のXモーターズ(10日)

7月7日、シリコンバレーの玄関口であるサンノゼ国際空港。セキュリティーチェックを抜けたばかりの男性エンジニア、張小浪氏を男たちが取り囲んだ。「ちょっとこっちへ」。中国へ向かうはずの同氏を待っていたのはFBIによる逮捕だった。

小鵬汽車にはアリババなどが出資する(同社初の量販車「G3」)

FBIの起訴資料によると張氏は2018年5月まで所属していたアップルから自動運転の技術を盗んだという。米国法でいう「トレードシークレット(営業秘密)」の窃取罪にあたる。アップルが極秘裏に始めた自動運転開発プロジェクトのメンバーとして15年12月から同社で勤務。18年4月末に中国に帰りたいとして辞意を会社に伝えてきたという。

怪しんだアップルが追及し、たどり着いたのが「Xモーターズ」という聞き慣れない企業。広州に本社を置く新興電気自動車(EV)メーカー「小鵬汽車」だ。張氏が同社に転職することを知ったアップルは即座に社内情報へのアクセス権を遮断した。

だが同氏はその直前の4月28日、夜9時すぎにオフィスに入り機密データを抜き取っていたようだ。アップルは抜かれたデータの約6割を「問題あり」と位置づけ、一部には知的財産として登録済みの情報も含まれていた。ほかにエンジニアリング上の図式や技術マニュアル、技術リポートなどが盗まれたもようだ。

今回の事件は自動運転開発を巡る2つの「公然の秘密」を浮き彫りにした。一つは先進技術は常に狙われているということだ。

小鵬汽車にはアリババ集団も投資し、直近で7億ドルの資金を調達したという。ネットの求人欄には自動運転用の地図や機械学習のエンジニアの募集があり、シリコンバレーでノウハウを持つ人をかき集めている様子がうかがえる。

小鵬汽車は11日、「張氏は5月の入社時に知的財産に関する規則を守るという文書に署名した」との声明を公表。張氏個人の行為だとした上で捜査に協力する意向を強調した。今回の件が組織ぐるみなのか、張氏個人の意思なのか、あるいは自動運転開発を国策で進める中国政府の思惑が絡んだものかは分からない。それでも中国に対する米国の警戒心は一段と上がるだろう。

もう一つの公然の秘密はアップルの自動運転開発の規模だ。その存在を含め自らは何ら情報を公開していない同社だが、FBIの資料はアップルの正社員約13万5千人のうち5千人が社内の自動運転関連情報にアクセスできる状態にあることを明らかにした。グーグルなどと比べて後発だが、技術流出に敏感になるほどのノウハウがたまっている可能性がある。

足元で起きている米中貿易摩擦の一側面には米中のハイテク競争がある。通信では安全保障を理由に華為技術(ファーウェイ)やZTEへの包囲網を築いた。今回の事件は技術競争を巡るホワイトハウスのギアを上げるのか。これまで摩擦で沈黙を貫いてきたアップルが思わぬ台風の目になってきた。