藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

ハイテクだけか。

米中が本当に競いだしているらしい。
こうしてみると「国力」とは何だろうか。
少々模造品などのズルがあるにせよ、中国が猛追しているのは確かなようだ。

日本は人口が減り、高齢化が進んで「いかに滅びるか」というような風潮が強いけれどその通りになってしまうのか。
国の力を「人口」だけで図るのならおのずと順位は付いている。

今の米中も人口ではない「知力」とか「生産性」とか「金融」とかいうノウハウで勝負をしているのだろう。

だとすれば日本は米中の数分の一しかない人口だけれども、いまひとつ何か「工夫」をしていけるのではないか。
みながAIとかビッグデータとかブロックチェーン、に向いている間に何か別の創意工夫はないだろうか。

超高齢化、というのはそういうことへのチャンスなのではないかと思っている。
考えるのはこれからが旬ではないだろうか。

米中衝突 摩擦の深層(1) 2大国、次の30年競う ハイテク覇権、安保揺るがす

2018年7月2日 2:0

米国と中国が対立を深めている。制裁関税(総合・経済面きょうのことば)の応酬など貿易摩擦にとどまらず、ハイテク分野での競争も激しさを増す。根底にあるのは将来の覇権をにらんだ争いだ。「超大国」として世界秩序を主導してきた米国の揺らぎと、「中華民族の偉大な復興」を掲げる中国の挑戦。2つの大国の衝突は世界を揺らし始めた。(関連特集を米中衝突特集1、2面に)

カリフォルニア州シリコンバレー。中国ネット検索最大手の百度バイドゥ)は2017年10月、自動運転技術の研究開発施設を増設した。自動運転で世界一の実力を持つ米グーグルの本社から車で20分程の立地だ。

この開発拠点で不可思議な動きが相次いでいる。自動運転事業を率いていた王勁氏ら社内でも特に優秀とされた4人の中国人技術者が昨年までに全員離職。中国に帰国し、自動運転ベンチャーをそれぞれ起業した事実が確認された。「彼らは中国政府の誘いを受けて帰国し、多額の補助金や住居の無償供与を得て創業した」。中国で自動運転を手掛けるメーカー幹部は内情を打ち明ける。

米の技術「盗む」

政府主導で米欧へのキャッチアップを急ぐ中国の自動運転技術。関連特許の保有数ではすでに米の2倍超だが、基礎を支えるのは百度やグーグルなどを辞めてシリコンバレーから帰国したエンジニアたちだ。

米議会は百度シリコンバレーに研究所を増設した狙いを「米国の有能な技術者や科学者にアクセスするため」と断定。「技術はほぼ全て米国から盗んだ持ち帰りではないか」(業界関係者)。そんな疑惑が消えない。

「先進製造業の発展を加速する」。17年10月の中国共産党大会で、習近平(シー・ジンピン)党総書記(国家主席)は高らかに宣言した。産業政策「中国製造2025」は次世代情報通信や新エネルギー車など10の重点分野を指定、補助金など手厚い支援で技術の国産化を促す。目指すのは建国100周年に当たる49年に世界一の「製造強国」となることだ。

自動運転は世界最先端の技術競争のシンボルであると同時に、次世代高速通信「5G」技術の用途の大本命でもある。戦車やドローン(無人機)など軍事転用も容易で、応用範囲は幅広い。虎の子のハイテク技術を中国に貪られた米の怒りは頂点に達しつつある。

「米国は次世代スーパーコンピューターや商用ドローンで中国に負けている」。17年11月、米議会の超党派の諮問機関が作成した対中調査報告書が配られると、議員に衝撃が走った。最新版では「中国のハイテクの進展」と題する章を新設、米中が競い合う9分野の優劣を評価した。

米国が優勢を保つのはバイオテクノロジーなど4分野のみ。人工知能(AI)など3分野は中国が肩を並べ、2分野は中国が先行すると結論づけた。報告書をまとめたキャロリン・バーソロミュー委員長は「米国の科学技術が中国に侵食されている」と危機感をあらわにする。

国家ぐるみが影

トランプ米政権がいらだちを募らせるのは、中国のハイテク企業の台頭は国家ぐるみの支援を受けた「不公正競争」を許してきたことにあるとみるからだ。通商政策を担うナバロ大統領補佐官が中心となって6月中旬にまとめた報告書は人民解放軍による産業スパイやサイバー攻撃外資企業への技術移転の強要など中国の手口を詳細に分析。「中国の経済的な侵略は米国経済だけでなく、世界中のイノベーションを生むシステムを脅威にさらしている」と激しく批判した。

データ社会の基幹インフラへの浸透に対する警戒感も強い。中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の2社が通信網設備に占める世界シェアは11年の15%から16年には4割超に急拡大し、スウェーデンエリクソンを追い抜いた。5Gが本格普及する23年には50%以上のインフラ網を握ると予測されている。

2社の強みは先端を行く5G技術に加え、競合他社に比べて最大で半値と言われる安値攻勢。資金面で支えるのは中国政府だ。「通信インフラに関わる企業が自ら敷設した通信網から情報を抜き取るのは簡単。中国2社がシェアの半分を握れば、世界の情報の半分が彼らの手中に入る」(日系大手通信企業幹部)

トランプ米大統領はZTEへの制裁解除をいったん決めたが、米議会上院は制裁解除を撤回する法案を与野党の賛成多数で可決した。議会の強硬論の背景には米国や台湾のIT大手によるロビイング活動に加え、アジアや南米の通信網に中国2社が浸透すれば前方展開する米軍の脅威になりかねないとの判断がある。

米中は知的財産権侵害を名目とする報復関税の発動を6日に控え、水面下で交渉を続ける。だが仮に合意に達しても、未来の国富だけでなく安全保障の根幹を揺さぶりかねないハイテク分野を巡る対立が消え去ることはない。米中間でエスカレートする経済摩擦の深層にあるのは、次世代の覇権を競う総力戦が始まる予感でもある。