藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

争わない日本流。

*[次の世代に]来シーズンに期待。
日経より。
民間を含む研究開発費の世界首位は米国で5490億ドル(約60兆円、2017年時点)。中国も4960億ドルに達する。日本は1709億ドルで米中の3分の1だ。もはや資金力の差は埋めようがない。

 アメリカが独裁国家でもないのにこうして中国と五分に渡り合っているのは驚異的なことだ。

つまり「自由の国」の御旗を掲げながら、中国ほど独裁的に技術研究をリードしている(いた)という点で学ぶことは多いだろう。
アメリカもいくつも政党があり、大統領は定期的に入れ替わっていくから「あーでもないこーでもない」と日本みたいになりそうなものだが、その点あまりブレを感じさせない。
 
一方わが日本ですが、江戸時代や明治には割と独裁色が強かった国なので、多分敗戦経験以降今のような「あーでもないこーでもない」風になってしまったのだと思う。
もう怖くて踏み出せないのだ。
踏み出そうとすると「いかがなものか」という人が出てきて完全に足を引っ張る。
そうしているうちに全体が動けなくなり沈んでいく。
 
思うに「一度相当なところまで沈んで、それから強力なリーダーが出現する」以外には進まないだろう。
そしてそういう「強い体制」を支持できるのは今の二十代あたりではないかという気がする。
そしてまたそれが日本の英知となって、「科学立国だけが国の目標ではない」という風に一周回るのではないだろうか。
ともかく今シーズンは勝てそうもない。
 
革新攻防(上) 米中2強、資金力突出 日本、技術競争退場の危機
 
 
米国と中国が激しく覇権を争う先端技術の開発で、日本の存在感の低下に歯止めがかからない。世界のテクノロジーの潮流から脱落する危機が迫る。
 

量子研究で後れ

政府が1月に決定した「量子技術イノベーション戦略」。世界に後れる現状に危機感を示すとともに、異例の反省が盛り込まれた。「政府全体として必ずしも整合性ある取組が行われてこなかった」。次世代の高速計算機、量子コンピューターなどの量子技術は米中が開発にしのぎを削る主戦場だが、日本は戦う体制すら整っていなかった。
 

全米科学財団によると、民間を含む研究開発費の世界首位は米国で5490億ドル(約60兆円、2017年時点)。中国も4960億ドルに達する。日本は1709億ドルで米中の3分の1だ。もはや資金力の差は埋めようがない。科学技術立国の幻想にとらわれ、あらゆる研究を望み続けたらいずれの成果も取り損ねる。
 
量子技術の開発は関係省庁のそれぞれの都合で進められ、後手に回った。量子コンピューターも研究初期はNECが先行したが、国をあげて技術を開花させる発想はなかった。その間、米グーグルはカリフォルニア大学のグループの技術に着目。傘下に迎えて19年に最先端のスーパーコンピューターを上回る性能を実証し、世界を驚かせた。
 

司令塔見当たらず

米中が技術覇権を争い、かつてない速さで研究開発が進むいま、有望な技術をいち早く見いだせるかは死活問題。日本の将来につながる技術の支援を優先し、旧弊やしがらみを断って実行に移す覚悟が必要だ。
 
批判もあるが中国はトップダウンで研究を進め、米国にも強い指導力イノベーションを創出する国防高等研究計画局(DARPA)のような組織がある。
 
日本には技術を見極める目や投資の決断力を持つ司令塔が見当たらない。日本発のiPS細胞の研究支援も中途半端。基礎から応用までを見渡す米国などに見劣りする。量子技術や人工知能(AI)への投資も不十分になる恐れがある。
 
最先端のテクノロジーは将来の産業競争力や安全保障を左右する。中国は16年に打ち上げた人工衛星墨子号」を使った量子暗号の実験などで先行。衛星を使えば、世界規模で通信の機密を守る究極の盾が手に入る。研究を率いてきた潘建偉氏は中国で「量子の父」と呼ばれ、習近平(シー・ジンピン)国家主席も高い期待を寄せるとされる。
 
量子暗号は量子コンピューターが既存の暗号を破ると危惧される20年先も通信や金融取引の安全を守る。米調査会社クラリベイト・アナリティクスによると14~18年の量子暗号の研究論文数で中国は世界首位。東芝が最高速の暗号化技術をもつなど日本の研究水準も高いが、このままでは中国の独走を許しかねない。
 
米国も「量子科学における中国の躍進は軍事的、戦略的バランスに影響を与えうる」(新米国安全保障研究所)と警戒する。日米は19年末に量子技術で協力する声明を発表した。24年までに宇宙飛行士を月に送る計画でも米国は日本に連携を迫る。日本は応じる方針だが、米国との連携にかけるなら、その中で存在感を高める戦略が問われる。