藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

存続の見極め。

全国の地方自治体が「決算」をまとめたという。
都道府県の自己資本比率、なんて聞くと実に新鮮に響くが、そうなると大変だ。

道路とか上下水道とか電気とか。
今の日本の過剰なインフラを「どこがいつまで支えられるのか?」と思っていたが、こうした成績表が出てくると恐ろしい。

外国の旅行者が日本で観光していると、山奥の道路が舗装されていることによく驚いている。
インフラのメンテナンスが、多分これから徐々に行き届かなくなる。
(海外資本の呼び込みとか)よほどの施策を打たないと、どんどん「廃墟」が増えてくるのに違いない。

こうして「ローカルバランスシート」を作って、自治体に住む住民と政治家が客観的に話をしてゆく試みが是非必要だと思う。
黙って無策にしていれば、自然にスラム化するだけだ。
世知辛いけれど、「地域のけじめ」をつけていかねばならない時代になっている。

16年度資産老朽化比率 島根・長野・京都、7割超 埼玉など4県、純資産比率2%台

2018年9月17日 2:0

国の統一的基準に従い全国の地方自治体がまとめた2016年度決算の公会計データを「日経グローカル」が独自に分析した。それによると、都道府県では島根、長野、京都の3府県で資産の老朽化の進み具合を示す指標が7割を超していた。埼玉、滋賀など4県は企業の自己資本比率に相当する純資産比率が2%台にとどまることも分かった。

浜松市は1345のハコモノ施設について「施設カルテ」を作成している

総務省貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書の4表からなる財務書類を「一般会計等」「全体(全会計)」、公社・第三セクターを含む「連結」のそれぞれについて17年度までに作成するよう求める。全自治体の83%、1480団体が18年3月末までに16年度分をまとめた。

企業会計に近く

それまでも多くの自治体が貸借対照表などを作ってはいたが、基準がバラバラで自治体間の比較が難しかった。さらに簡易な方式が主流で、インフラ資産の老朽化度合いなどは計算できなかった。新基準は企業会計に一歩近づき、住民にもなじみやすくなった。

今回、47都道府県と20政令指定都市に比較分析のため表計算ソフト「エクセル」での情報提供を依頼。作成済みの39道府県と全政令市のデータを入手した。

一般会計等でみると、公共施設やインフラなど自治体が持つ資産の老朽度合いを示す「有形固定資産減価償却率(資産老朽化比率)」は島根県が74.5%で最も高く、奈良県(36.0%)の2倍以上あった。

資産は耐用年数に応じて毎年一定額を減価償却する。償却資産の取得価額に対する減価償却の累計額の割合が大きいほど、取得から時間がたっていることを意味する。

島根県の場合、耐用年数40年の資産は平均して30年経過していることになる。地方債残高の削減など財政健全化への配慮から「近年は大型投資をしていない」(同県財政課)ことで、老朽化した資産が増えている。長野県と京都府もこの比率が70%を超えていた。

古くても長寿命化対策を講じるなど適切に維持・管理されていればよいが、財政難の自治体ではコストのかさむ大規模な修繕や建て替えなどが先送りされがち。道路などのインフラでは大地震など災害時に問題が露呈しかねない。

債務超過の懸念

純資産比率は埼玉、滋賀、徳島、千葉の4県が2%台で、債務超過が心配される水準だった。資産から負債を差し引いた純資産は徳島が280億円、滋賀が330億円しかなかった。それ以外でも4県が5%を下回り、39道府県の平均は23.8%だった。政令市の平均(65.2%)を40ポイント以上も下回っている。

道府県の比率が低くなる理由の一つは、管理を任されながら所有権は国にある国道や河川の存在がある。1級河川や3桁国道が該当する。埼玉県の担当者は「『所有外資産』にお金を費やさなければならない」と話す。整備新幹線のようにお金だけ負担させられるものもある。

一方、65.7%でトップだった沖縄県は沖縄振興特別措置法によるところが大きい。同法施行令は道路や河川、港湾を国の補助事業として整備する際の補助率を軒並み90%としている。他県の50〜55%と比べると、自己負担=起債を少なくでき、結果として財務を健全にできる。

福島県福島第一原子力発電所事故を受けて国から支給された復興財源を中心に、16年度末時点で基金が9100億円にのぼっていたことが純資産比率を押し上げた。それ以外では資産に対して負債の少ない県が純資産比率の上位を占めた。

総務省は18年度中にも全国の自治体から主要な指標を集め、データベースとして公開する方針。そうなれば、住民のほか外部のステークホルダーも分析や比較をしやすくなる。