藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

移民は是か否か

ついに移民の話が日本でも真剣にとりざたされだした。
国会や新聞紙上では結構目にするが、街場ではとんと聞かない。
「コンビニの外国人は優秀だねぇ」といった話ばかりだ。

結局既存の業界団体が「職がなくなる」と騒いでいるが人手不足への具体策はない。
もし「日本へ働きに来てもいい」という外国人がいるなら、真摯に対応すべきだろう。

いたずらに「生活の文化が違う」とか「日本人の雇用がなくなる」というばかりなのは「滅びゆく企業の言い訳」とそっくりで寒気がする。
できない理由ではなく「するために考える」のは仕事の鉄則だ。

そして、もし「移民受け入れNO」というのであれば、縮み行く日本のこれからは真剣に考えねばならない。
コンパクトシティ」を着々と実行していかないと、本当に限界集落だらけになって収拾がつかなくなるだろう。

コンパクト化もイヤ。
移民受け入れもイヤ。
医療費・年金の縮小もイヤ。

こんなでは政策も方向性を失う。
今政治家に必要なのはこうした「どまん中」の問題を正面から掲げる姿勢だと思う。
利権団体にしっぽを振る時代は、早々に終わりにしてもらいたいものだ。
若い人たちも白けてしまうだろう。

人手不足と外国人労働者 東京大学教授 福田慎一 中長期の戦略的議論を
わが国では、近い将来、生産年齢人口の減少が経済成長の重荷となる「人口オーナス」の時代が到来する。そうしたなか、人手不足解消の有効な対策と考えられているのが、外国人労働者の受け入れである。今年6月に閣議決定された経済財政運営の指針「骨太の方針2018」でも、外国人労働者受け入れ拡大の方針が明記され、就労を目的とした新たな在留資格を創設する方針が示された。

来日した留学生や技能実習生たちは低賃金労働の一翼を担っている
イラスト・よしおか じゅんいち
産業構造の変化と外国人労働者』(明石書店・2018年)が明らかにしているように、今日、外国人が幅広い分野で人手不足を補うことが一般的となり、多くの地域・産業でその存在は必要不可欠なものとなっている。今回の方針転換は、このような現状を明示的に追認したものといえる。

●「使い捨て」批判

もっとも、建前上は単純労働を制限してきたわが国では、その雇用はこれまできわめて歪(ゆが)んだ形で増加してきた。「留学生」や「技能実習生」の活用がその典型である。近年、留学生のアルバイトは、都市部を中心にサービス業の人手不足を補う貴重な戦力となっている。特に、芹澤健介『コンビニ外国人』(新潮新書・18年)がその背景を鋭く突いたように、コンビニエンスストアはもはや留学生なしには人繰りが立ち行かないのが実情である。全国のコンビニでは、実に20人に1人の割合で外国人が働いている。深夜の時間帯に限定すれば、その比率はさらに高くなる。留学生受け入れ拡大は、高等教育の理念からかけ離れ、日本の低賃金労働の一翼を担っている。
技能実習生制度を利用して来日した外国人も、今日では貴重な労働力である。この制度は本来、発展途上国の人たちに日本の技術を学んで母国で活躍してもらうための「国際貢献」として始まった。しかし、実際には、農業や建設業など指定された業務に従事する低賃金の労働力として乱用されてきた。NHK取材班『外国人労働者をどう受け入れるか』(NHK出版新書・17年)は、制度の建前と矛盾のなかで過酷な環境に置かれてきた技能実習生の実態を明らかにしたルポルタージュである。その劣悪な労働環境は社会問題にもなり、使い捨ての労働力にすぎないとの批判も高まっている。
批判を受けて、政府は昨年11月に「技能実習法」を施行し、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図るために必要な施策を総合的かつ効果的に推進することを謳(うた)った。ただ、これによって技能実習生の待遇が今後どれだけ改善していくかはいまだ不確実である。より大きな問題は、技能実習生は制度上最終的には母国に戻る短期的な労働力にしかなりえず、労働人口減少の抜本的な歯止めとはならないことである。今後人手不足がより一層深刻となるわが国では、短期的な雇用の調整弁ではなく、中長期的な観点から外国人の本格的な受け入れを議論することが必要である。
●財政負担増も

ジョージ・ボージャス『移民の政治経済学』(岩本正明訳、白水社・18年)が指摘するように、外国人労働者は商品ではなく、生身の人間である。このため、外国人を正式な労働力として受け入れれば、人手不足を補う上では有用でも、社会保障サービスの財政負担が増加することで短期的な経済余剰は必ずしもプラスになるとは限らない。また、コミュニティーにおける価値観の対立など経済外的な問題が生まれる懸念もある。しかし、少子高齢化が未曽有のスピードで進行するわが国で、外国人労働者の受け入れ以外に中長期的な人手不足を抜本的に解決する施策が他にあるわけではない。
今日、少子高齢化の急速な進展は、日本だけでなく、韓国や台湾でも大きな政策課題となっている。中国でも、一人っ子政策の影響から、若い労働力人口が不足するとの懸念が生まれている。そうしたなか、東アジア地域では、より質の高い外国人労働者の獲得に向けた競争は既に始まっている。わが国でも持続的な成長を実現していく上で本当に必要な労働力はどのようなものなのかを慎重に見極めて、望ましい外国人材受け入れのあり方を戦略的に議論することが重要である。