藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

空中の使い方。

 
*[ウェブ進化論]空と海はこれから
日経より。
ドローンの産業利用が大きく広がるという。
そういえば有史以来。
人は主に地上と地表(海も含めて)が開発の主戦場だった。
膨大な海中とか、地上の空なんかは航空機や潜水艦程度で、まだまだ「空き」は確かにある。
建築現場の確認だとか、人手の少ない宅配便だとか。
あるいはビルや駐車場の管理人なども(まあドローンじゃなくてもいいけど)どんどん人の仕事は置き換わるだろう。
 
21世紀も20年が過ぎようとしているが、いよいよ「単純労働からの解放」が本格化してくるようだ。
街中でバスの運転手さんや警備員を見ても、あの人の仕事はなくなりそうだな、とか無意識に感じている。
 
それにしても、点検用から配達から監視からタクシーまで。
街中にブンブンブンと無数のドローンが飛び回る日はそう遠くなさそうだ。
"人が作り出した昆虫世界"のような未来になるのではないだろうか。
 
ドローン、産業用市場は青空 けん引役はスタートアップ
2019年6月2日 19:30
ドローン(小型無人機)の産業用市場が日本で広がる。農業や点検作業、物流を中心に商機が生まれ、2024年度の国内市場は約5000億円と19年度に比べ3.5倍になるもよう。けん引役はスタートアップ企業で、人間の業務を代替する機体の開発が相次ぐ。世界最大手の中国DJIも本格参入しており、日本の空を巡る競争が激しくなる。
インフラをドローンで点検する実験が日本各地で始まっている(東京都の作業風景)
ドローン産業でも中国企業の存在感は高まっている。筆頭格はドローンの機体で世界シェア7割の中国DJIだ。産業用でも日本で攻勢をかけ始めた。
12年に発表した「ファントム」で個人向けドローンの世界市場を握ったDJI。趣味だけでは市場の伸びに限界があると判断し、17年に「マトリス」など産業用を日本で本格投入した。18年にはコマツに建設現場で使うドローンを1000台納入している。
DJI日本法人の呉韜社長は「他国では趣味用が8割だが、日本では代理店経由で販売する半分が企業向けだ。日本は規制が多く手間がかかる分、時間も資金も投資していく」と話す。特に農業用ドローンは販売が18年に8割増えたという。日本法人でも150人ほどの社員の約半数が技術者で、カメラ部分などを開発する。
産業用ドローンの成長性について、野村総合研究所の名武大智・副主任コンサルタントは「顧客の用途に合わせて機体を作り込めれば国産ドローンには需要がある。一方でDJIに比べ値段が1ケタ高く、価格競争力を高めることが欠かせない」と指摘する。
海外でも産業用市場は広がる見通しだ。PwCによると、インフラなどドローンを使った商用サービスの潜在的な市場規模は世界で1270億ドル(約14兆円)に達している。米ウイングは固定翼型の機体ではあるものの、オーストラリアで商用宅配を開始。中国ではネット通販大手の京東集団がドローン配送で実績を積む。
大企業も産業用ドローン事業を拡大する(楽天の配送実験)
産業用ドローン市場の急拡大をにらみ、日本の大手企業も動き始めている。
NECNTTデータ日立製作所は運航管理システムで国際標準を狙う取り組みを始めた。多くのドローンが同時に空を飛んでも事故が起きない仕組みを作る。物流などでドローンを使う各企業の飛行計画を管理し、飛ぶ区域の安全性や飛行中の機体の状況を確認して離陸許可を出す。
新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)が主導した2月の実験では、50ヘクタールの範囲で10機のドローンを同時に飛ばすことに成功した。運航管理システムは今後国内外の事業者が利用できるようにする。消費者向けサービスでは楽天がドローンを使った宅配を準備中だ。
産業用ドローン市場の一段の拡大には、都市部での飛行解禁といった規制緩和に加え、次世代通信規格「5G」が鍵を握りそうだ。
日本では15年に首相官邸の屋上にドローンが落下する事件が起き、航空法でドローンの飛行が制限された。産業ドローンが普及する前に法規制が先行した格好だ。その後は機体の性能向上にあわせて規制緩和を進めており、政府は22年度をめどに都市部でもドローンが目視外で飛行できるようにする方向で検討中だ。
20年に商用化する5Gもドローン活用を後押しする。高精度の映像を送受信しやすくなるほか、飛行中の通信が安定するからだ。
KDDIは出資するプロドローン(名古屋市)の機体を使い、撮影した高精細の4K映像を5Gで中継する実験などを進めている。携帯電話の通信網を利用してドローンを飛ばすには通信キャリアが総務省の許可を得る必要があり、ドコモも携帯通信の提供を生かして点検などのサービスを展開する。
世界最大手の中国DJIも本格参入する産業用ドローンを巡る勝者はまだ見えない。中国製ドローンを巡っては、トランプ米政権がDJIと名指しはしていないが、情報漏洩の恐れがあるとして使用を警告するメモを5月20日にまとめたと米メディアが伝えた。ドローンの技術力や存在感が一段と高まれば、スマートフォンやハイテク機器のように貿易摩擦や国際情勢によって勢力図が変わる可能性もある。
機体や飛行の信頼性の確保や規制緩和といった課題は多いが、人手不足が深刻さを増す日本でドローンを使う場が増えるのは間違いない。スタートアップは用途を特化して市場を開拓しているが、今後は世界を見据えた技術やサービスを磨けば成長余地はさらに広がる。
(企業報道部 山田遼太郎)
日経産業新聞 2019年5月28日付]