藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

楽しめない日本人

*[文化]なんでもお祭り。
日経より。
ピエールさんからは、仮装してワインを飲みながら42.195キロを走る「メドック・マラソン」のことも教えてもらいました。

 ええっ。

そんなことをして死人が出たりしないのだろうか。
そういえばフランスという国はサッカーにせよ自転車にせよ、スポーツをお祭りにして産業化するのが上手い。
商才に長けているのか、それとも伝統のなせる技なのか、大したものである。
 
日本にだって伝統はあるが、産業と言えるほどのものが見当たらず、それが「日本らしさ」ということなのだと思う。
逆にフランスは「なんでも楽しんでしまう」という関西人みたいな気質があるのかもしれない。
それにしても「フルに完走したらその後にフレンチのフルコースがいただける」とはなんともユーモアのある企画だ。
思わず参加してみたくなりました。
 
1998年に仏でサッカーW杯取材
 
 1998年にフランスで開催されたサッカーワールドカップ(W杯)を日本のテレビ番組向けに取材・リポートすることになった。
 
東京とパリを数カ月ごとに行き来しながら取材・執筆するライフスタイルが本格的に始まったころのことでした。NHKから98年の6~7月にフランスで開かれるW杯の様子をBS放送の番組向けに取材してほしいという依頼が来ました。試合会場や開催地の様子をその地方の歴史や名物料理の紹介と共に現地からリポートしました。

 
サッカーW杯をきっかけに、取材のフィールドが広がった(フランス代表のブラン選手=左=と)
日本でも人気だったジダン選手やブラン選手など、フランス代表のメンバーにも取材しました。試合前の緊張感や試合後の解放感に浸った選手たちの様子を間近で見られたのは、得がたい経験でした。
 
パリ育ちの私にとって、W杯の取材は行ったことのなかったフランスの地方都市を知る貴重な機会になりました。日本のおかげでフランスのことをより深く知ることができたのです。何より主催国のフランスが前大会の覇者ブラジル代表を破って優勝した歴史的な瞬間に立ち会うことができたのは、ジャーナリストとして幸せなことでした。
 
その次の2002年の日本・韓国共催の大会でも、フランスのテレビ局「TF1」の番組で日本からリポートすることになりました。おかげですっかりサッカーファンになり、W杯だけでなく欧州選手権(ユーロ)にも注目して応援するようになりました。
 
 W杯をきっかけに他のスポーツの取材もするようになった。
 
フランスでのW杯の取材で仲良くなったカメラマンのピエール・コールさんから「ツール・ド・フランスの取材をしないか」と誘われました。日本でも人気の3週間にわたる自転車レースです。
 
下り坂では時速80~90キロメートルのスピードが出る迫力あるレースの様子をバイクの後ろに乗って並走したり、追い越して次のポイントまで先回りしたり、というスリリングな取材でした。アルプスの山越えで目にした絶景は忘れられません。
 
ピエールさんからは、仮装してワインを飲みながら42.195キロを走る「メドック・マラソン」のことも教えてもらいました。メドックボルドーの北部に位置するワインの名産地です。コースの中ではワインを醸造しているシャトーにも立ち寄ることになっています。豪華なシャトーでの「給水」ポイントでは、水だけでなくメドック産のワインが提供されます。
 
当然、ゴールするころには皆、ほろ酔いです。コースを進むにつれて、水やワインの横には前菜や肉料理、デザートなども並べられるので、完走すればフレンチの「フルコース」を堪能できるという演出です。
 
このユニークなマラソン大会の様子は雑誌「ターザン」で紹介しました。ツール・ド・フランスのことも東京新聞に寄稿するなど、取材のフィールドが広がっていきました。
 
長谷川聖子)