藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

リスクの見極め

*[次の世代に]日常に潜む危険。
日経より。
新型コロナウイルスの流行で行動を変えた人の中には、相変わらずたばこを吸ったり、太り過ぎていたりする人々もいる。
 
彼らはコロナ騒動が収まってしまえば、また手洗いをやめ、マスクも着用しなくなり、インフルエンザの季節に混雑する街に出て行ったりするのかもしれない。我々が最も慣れ切ってしまっているのは、最も深刻で実在するリスクであることが多いのだ。 
『我々が最も慣れ切ってしまっているのは、最も深刻で実在するリスクであることが多いのだ。』
これだ。
「日常の自分を疑わず、変化を嫌い、保守に走る。」それが自分たちをどんどん老衰させてゆく。
いわゆる硬直だ。
それに陥らないためには何が必要か。
ビジネスを含め、全ての人間の活動はリスクにあふれている。人生自体が、そういうことなのだ。新しいことに直面すると、人間はしばしば最悪の状況を想像する傾向がある。
(そこで大事なことは)リスクの全体像をしっかり捉え、本物のリスクと自分が捉えているリスクを一致させることだ。
つまりリスクがどれほどかを見極め、そして"それ"を取る決断をしなければならない。
自分のことであれ、大組織であれ、それがリーダーの仕事なのだと改めて思いたい。
 
リスクを正しく恐れよう
実際のリスクと捉えられ方が一致することは少ないが、企業のリーダーにとっては一致しなければならない。現在大きな問題となっている新型コロナウイルスは世界の感染件数が今後も膨らむのは確実だ。一方で、ウイルスが呼び起こした恐怖心は理性的とはいえず、態度の変化も理にかなっているとは思えない。

 
米国ボストン市生まれ。戦略コンサルティング会社、レランサ(東京・千代田)の社長。国際経営学修士(MBA)とコンピューターサイエンス博士号を取得。
コロナウイルスへの対応策には手洗いや人混みを避けること、外出の際は手術用マスクをすることが推奨されている。これはインフルエンザの感染防止と全く同じ内容だ。インフルエンザは各国で流行し、死亡することもある。それでもインフルエンザの季節に手術用マスクが売り切れになるなど見たことはなかったが、最近は起きている。
 
私がよく行く築地場外市場はインフルエンザの流行中でもにぎわいがなくなることなどないが、先日訪れると近所に住む人々も観光客も見当たらず、ひっそりと静まり返っていた。東京を歩き回って気付いたのは人々がいつも以上に手洗いをし、手指消毒液を使っているということだった。
 
新型コロナウイルスの流行で行動を変えた人の中には、相変わらずたばこを吸ったり、太り過ぎていたりする人々もいる。
 
彼らはコロナ騒動が収まってしまえば、また手洗いをやめ、マスクも着用しなくなり、インフルエンザの季節に混雑する街に出て行ったりするのかもしれない。我々が最も慣れ切ってしまっているのは、最も深刻で実在するリスクであることが多いのだ。
 
私のクライアント企業の財務部は新しい顧客からの注文が入ると、その会社の財務状況を調べるために注文のプロセスを遅らせるのが当たり前になっていた。この15年間で負債を抱えているケースが見つかったのはただの一度だけだった。しかもその負債額は、年間数億ドルという収入に対し1万ドルにすぎなかったにもかかわらずだ。
 
このプロセスによる遅れのせいで注文を結局受けられなかったこともあるし、残念なことに新規顧客を失ったこともある。その結果、営業スタッフは新しい顧客を開発することを避けたがるようになった。1万ドルを失う非常に小さなリスクを回避するために、何百万ドルというチャンスを逃しているわけだ。
 
ビジネスを含め、全ての人間の活動はリスクにあふれている。人生自体が、そういうことなのだ。新しいことに直面すると、人間はしばしば最悪の状況を想像する傾向がある。
 
そこでリーダーであるあなたの大切な仕事は、周囲が自分の考えるリスクだけしか見えなくなってしまっても、リスクの全体像をしっかり捉え、本物のリスクと自分が捉えているリスクを一致させることだ。
 
もしあなたにそれができなければ、他の人に同じことを期待できるわけがないのだから。