*[ウェブ進化論]ミスありきという世の中。
知らなかったのだが、自動ブレーキ制御(ABS。急ブレーキを強く踏んでもロックしないやつ。今の若い人は知らないかもれしない)が普及し始めた頃、統計を取るとその新しい装備をつけた車のドライバーの人たちに自動車事故が増えたという。
ドライバーが「少々危険な運転をしても安全だろう」と思い始めたことが原因だという。
いわゆるモラルハザードだ。
世の中はコンピューターもネットワークも「どんどん便利に」という方向にしか向かないから、「万一間違いがあったら」という話はどんどんポケットに押し込まれて、表からは見えなくなってしまう。
科学技術というのは、昔からこんな風に「一定の犠牲を見て見ぬふりをして」発展してきているのだ、ということを自たちは今現在も肌で感じることができる。
こうした「便利がリスクを押し流す世の中」はこれからもずっと続くだろうから、そういう目でみれば、自分たちは「一定のリスクは"つきものだ"と開き直って便利を追求していく集団」だということになるのだろう。
自動車の普及時には英国では「赤旗法」というものが施行されて、「自動車は時速三キロまででしか走れず、さらには車の前に先導する人間を置く」というようなことが真面目に運用されていたらしい。
人間とはなかなか厄介な生き物だと思う。