藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

変わる弁護士事情、訪れるチャンス。

弁護士制度(司法試験制度)が始まって以来の出来事だ。
これまで1000人以下で推移してきた弁護士が、07年は2200人と倍以上に。
再来年には、3000人時代、到来となる。


業界の構造が変わる。
日弁連は、会員(既存の弁護士)や、官公庁、企業に「採用拡大」を呼びかけている、と。


方向がズレていないか。


マーケットの声を聴く

市場原理から言えばいたってシンプル。
これまで供給不足で「開拓されていない」マーケットが開拓される、というだけこと。


なにせ、法律相談の需要は1000万件ある、とされているのだ。
(弁護士が手掛けるのは30万件ほどである)


今までの弁護士業界は「上澄み」商売(ハイエンド・マーケット)だったと言える。


で、就職にあふれる人たちは、どうすればいいか。


マーケットを見つめる。
マーケットは飽和しているか?


とんでもない、市中には法律相談がしたくて迷っている人がうようよいる。


余談だが、成熟したマーケットで、他社と差別化するのは、容易ではない。
サービス業といえど、製造業と同様、詰めに火をともすような地道な工夫が必要だ。


10分1000円の床屋や、お手軽価格のマッサージ、ファミリーレストランのドリンクバーなど、街中には工夫あとがあふれている。


セブンイレブンなどは、その情報システムゆえ、コンビニなのに「情報サービス業」と言われている。
菓子やおでんを「売る」のではなく、客が「より欲しいもの」を「より早く」提供するサービス業、というわけだ。


それに比べ。
(ちょっと横道にそれた)

新興市場へ挑戦せよ。

この6年、法律事務所でシステム開発をする傍ら、何千という顧客を見てきた。


「日本人や日本企業」は法的にみれば「無防備」な人がなんと多いことか。


今までそうしてやってこられた「善き日本文化」すら感じる。が、

ここ数年で、ボーダレス化、サイバー化の波はついに「中小、零細企業」に及んできている。
例えば、中小企業にとって、ようやく最近熱い「中国進出」。
(最も数の多い「売上げ10億円以下」の企業の海外進出はこれからである)


中小企業の声をじかに聞くにつれ、サバイバル・ツールとしての「法律」が必要だと確信する。


「法のよろい」なしに大陸に渡っては、命すら危うい。


急激な増員で、戦後初めて就職難を経験する弁護士さんたち。


「マーケットを読む」先見性のある事務所を選び、「新興市場」へ挑んでもらいたい。


ニッポンの中小企業のサバイバルには、皆さんの力が必要だ。


まだまだニッチを追う必要はない。


一番のボリューム部分が、手付かずなのだから。



記事全文

弁護士志望:5人に1人就職出来ず? 日弁連が採用増要請
 司法試験に合格して07年中に弁護士事務所への就職を目指す2200人前後の司法修習生のうち、最悪の場合400〜500人が就職先を確保出来ない恐れがあることが、日本弁護士連合会の調査などで分かった。司法制度改革の一環で合格者が急増する一方、求人数が伸びていないためだ。日弁連は先月「このままでは有為な人材を失い、弁護士全体の活力低下が大いに懸念される」として、全会員に採用増大を呼び掛ける緊急要請文を送った。企業や官公庁への働きかけ強化にも乗り出す。

 司法試験合格者は99年に初めて1000人を突破。実務を学んで法曹資格を得る司法修習終了者の数も年々増加しているが、需給バランスはほぼ保たれてきた。約1500人が修習を終えた昨年も、求人数が弁護士志望者数を上回っていたという。従来の司法試験と新司法試験の合格者の両方が修習を終える07年は、終了者数が06年比で約1000人増の2400〜2500人に上り、その約9割が弁護士事務所への就職を希望すると見られている。

 だが、昨年行われた日弁連の初の調査で、07年の全国の弁護士事務所の求人数が、志望者数を下回る可能性があることが判明した。東京、大阪を除く地方弁護士会の就職説明会では、修習生400人以上の参加に対し、求人数は300人に届かなかった。企業や中央省庁、自治体も新人弁護士の採用には消極的で、現状のままでは400〜500人が就職出来ない懸念が出てきた。このため日弁連は、先月18日付で平山正剛会長名の緊急要請文を全会員に送付。「事態は急を告げている」と採用を呼び掛けた。

 日弁連飯田隆副会長は「後進の育成は弁護士全体の責務だという意識改革が重要」と強調。修習終了者は11年には年間3000人に達する見通しで「今後は企業や官公庁にも弁護士を採用するメリットを理解してもらえるよう働きかけていきたい」と話している。【木戸哲】


毎日新聞 2007年2月8日 15時00分