藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

消費者教育。


貸金の「総量規制」(年収の1/3までしか貸さない)により、出現した「融資難民」が高金利ヤミ金に食い物にされている、という。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090912-00000517-san-bus_all


とかくこのテの話は、左右にブレまくる。
「過剰貸出」が問題になり、次に「過剰規制」がやり玉にあがる。



結局、アメリカン・エクスプレスが、「現金のお葬式」を出して以降、この見えない「カードマネー」は常に「キャッシュの抽象化」をし続けてきた。
いま自分が「黒字の生活か赤字か」。
は限りなく混沌とし、よくわからなくなっている。
さらに財産ののある人も「投資運用」をする。
またも、そこでは「現金」ではなくなっている。
証券とか、不動産とか、外債に姿を変えた資産、は特に緊急時にはよく見えない。


ヤミ金は、そんな消費者心理の狭間に咲いた「あだ花」だが、結局問題の根本は解決されていない。
「実力以上」の経済活動を「悪」とするのなら少なくとも個人レベルでの「与信」とか「融資」というのはよろしくない。
だが、経済に「弾み」をつけたいと思えば、「後出しでいいですよ」と金を貸したい気分にもなる。

『金を借りて』事業をする、ということと、
『カネを借りて』消費をする、ということは別なのだ、ということを明確に話さねばならないのではないか。

個人が自分の家計の中で何らか「借金」を覚悟する、というのは非常事態である。と言う認識。
そして自分が「設計できぬ」生活のパターンは、すべきではない、という教養。
この「教養」こそが今の日本が培わねばならない一番のプライドではないか。


浪費しても、華美な生活をするのがカッコいいのではない。
むしろ、それは虚しい。

自分たちの生活の価値は現金の消費にあるのではない、もっと精神的な部分なのだと分かっている、という文化。


ヤミ金は、同じ目線で追いかける限り決してなくらないだろう。
だが「そんなもの」から脱せる価値観の育成が実は重要なのではないか。
貸す側と借りる側と。


その追いかけっこに終止符を打つのは「借りる側」の矜持なのではないか。
一連のサラ金騒動から、そんなことを思う。


【経済深層】ヤミ化する金融業者、“融資難民”も続出 改正貸金業法の衝撃


 消費者金融などへの規制を強化する改正貸金業法の完全施行が来年6月までに迫る中、正規の業者が次々に廃業し、違法なヤミ金に衣替えしている。
こうした業者は、従来のヤミ金に比べると金利はやや低く、当初は暴力的なにおいを感じさせないため、「ソフトヤミ金」と呼ばれている。正規業者の審査の厳格化で融資を受けられなくなった“難民”が大量に流れ込んでおり、今後、大きな社会問題になる恐れが指摘されている。


■対応はソフトだが…
 都内に住む50代の女性保険外交員は昨秋の金融危機以後、営業成績が思うように伸びず生活が苦しくなり、ヤミ金に手を出した。
過去に自己破産よりも手続きが簡単な「個人版民事再生法」を申請したことがあり、正規業者から借りられなくなっていたためだ。
 対応が比較的ソフトだった複数のヤミ金から融資を受ける。
額は2〜3万円の小口で、利子は1カ月で30%、2週間で20%、1週間なら100%。
年利に換算すると、300〜5000%超の暴利だ。


返済が滞ると、携帯や勤務先に頻繁に返済を迫る電話がかかり出した。
弁護士に仲裁を依頼したところ、ひとまず脅迫のような電話はなくなったという。
 「これくらいならと思える小口で、短期の融資ほど金利が高い。ソフトに見えるが恐ろしい」
 この女性は、今もおびえている。


■融資実行は5分の1
 「無担保・無保証で300万円を今すぐ貸してくれ。金利はいくらでも払う。担保は私自身だ」
 東京・神田の雑居ビルに入居する事業者金融会社。
資金繰りに行き詰まった零細企業経営者からの切羽詰まった問い合わせが殺到している。
 だが実際に融資できるのは、申し込みの5分の1程度にとどまるという。
 金融会社の幹部は「かつては無担保・無保証の場合、年40〜50%台で合法的に貸すこともできたが、規制強化で金利がどんどん引き下げられた。
うちで断られてヤミ金に流れた会社もあるようだ」と明かす。
 規制強化で正規業者の廃業が相次ぎ、融資を受けられない人が増加。
その受け皿となるヤミ金が増殖する。
貸金業界ではこんな負の連鎖が進行している。


消費者金融幹部は「ヤミ金になった業者が、正規業者のときのなじみ客に、金利40%程度で貸している例が地方を中心に増えていると聞く」と話す。
 日本貸金業協会の調査では、正規業者から融資を断られた人の6%がヤミ金などの違法業者に接触していることが分かった。そうした違法業者は「この1年で倍くらいに増えた」(業界関係者)ともいわれる。


■民主政権の課題に
 最大の原因は、平成19年から22年6月までに4段階で施行される改正貸金業法だ。相次ぐ悪質な取り立てに加え、18年1月に最高裁で、出資法と利息制限法で定められた2つの上限金利の間の「グレーゾーン金利」を違法とする判決が出たことを受けた措置だ。
 完全施行により、上限金利は現行の29・2%から15〜20%に引き下げられ、年収の3分の1超の貸し付けを禁止する「総量規制」が導入される。
 貸金業者には、違法判決を受け、過去に取りすぎていた「過払い利息」の返還請求が殺到。
その負担と新規融資の金利引き下げで業績が悪化し、経営が立ち行かなくなり、廃業する業者が急増した。


登録業者数は18年に約1万4千社だったが、今年7月には3分の1の約5200社に激減。
完全施行後には、「3千社前後まで減る」(業界関係者)といわれている。
 生き残った業者も、高い金利で焦げ付きを埋め合わせるビジネスモデルが崩壊し、融資の蛇口を締めている。
総量規制が始まれば、融資はさらに細る。
 金融コンサルタントの小林幹男氏は「ヤミ金による被害がますます増える可能性がある」と警告する。
 貸金業法の改正の際に問題になったヤミ金の増殖と難民の増加が現実となる中、総選挙前の自民党内では完全施行の先送りや見直し議論が浮上していた。
 自民党から政権を奪取した民主党も野党時代には規制強化に賛成している。
自民党政権の政官業の“癒着の構図”を批判してきた手前もあり、貸金業界が求める完全施行の見直しに動くかは不透明だ。
 ヤミ金問題にどう対応していくのか。新政権にとって重要な政策課題とりそうだ。(藤沢志穂子、田村龍彦)