藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

マゾの国。

日本人は、自国の出自が曖昧であり、そのため国としての確固たるアイデンティティを持たず、「どこかきょろきょろとして」おり、それが現在の政治とか外交の態度にも顕著に表れている、というのは内田樹先生の日本辺境論の主旨である。


そんな国民の性からくるのか、国民一世帯あたりの金融資産は4%も増えているという。
この不況と失業率の中、4%はなかなかの数字である。
世帯当たり45万円増えている。
「不況」とか「失業」と聞くとそれ以上の倹約を志し、それを実行するというのは中々に「警戒感の高い」国民性だと言えるのではないだろうか。
国としての確固たるビジョンを示し、リーダーシップを取る、というようなことはからきし苦手(だって国のアイデンティティがぼやっとしていたら無理もない)だが、「ある条件下で耐え忍ぶ」ということには無類の粘り強さを発揮する。


そんなことも日本の特徴なのだろう。
さらに国民の意識は悲愴である。

老後生活に関する意識についての質問では、老後の生活が「心配である」(「非常に心配である」と「多少心配であるの合計」)と答えた世帯の割合は81.7%に達した。

老後が心配な人が81.7%。
そんな国の政権は革命で打倒されそうだが、現実は至って平和。
「老後は安心です」とはなかなか言える言葉ではないが、それにしても「将来はバラ色ではない」ということを常に言い続けていないと「現在のアイデンティティが保てない」、そんな国民なのではないだろうか。
自戒の念は謙虚さには必要だが、「未来はこうしよう」という夢ももう少し育みたい、と自分は思っている。



1世帯あたりの金融資産保有額、4%増の1169万円
金融広報中央委員会(事務局・日銀情報サービス局)が22日発表した2010年の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、1世帯当たりの金融資産の平均保有額は前年比45万円(4.0%)増の1169万円だった。
株式、債券、投資信託などの保有額も軒並み増えた。


調査は6月11日から7月20日まで全国の2人以上の8000世帯を対象に行った。
回答率は50.4%。


株式の平均保有額は78万円で3万円増、投資信託は58万円で6万円増、債券は43万円で8万円増だった。
資産価値の上昇や運用環境の改善による投資の増加が有価証券保有額増に寄与したものの、預貯金も635万円と16万円増加。
預貯金積み増しによる安定志向も依然として続いている。


老後生活に関する意識についての質問では、老後の生活が「心配である」(「非常に心配である」と「多少心配であるの合計」)と答えた世帯の割合は81.7%に達した。
金融資産運用の安定志向の一因になっているとみられる。
〔日経QUICKニュース〕