藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

自己責任の自分年金。

社会人の生涯年収は大学卒のレベルで3億円弱だという。
さらにリタイア後にも一億必要だという日経の記事。

若い頃、初めて「生涯賃金」という言葉を聞いたときには、随分変わった考え方があるものだと驚いた。
いろんな仕事をして、その対価が高いときもあれば、安いときもあるだろう、そうした「一つ一つの積み重ね」が結果としてあるのであって、それを”予め”に計算する生涯賃金、という考え方にどこか浅薄なものを感じたのである。
今もその思いは変わらない。
「自分の生涯賃金はいくらくらいだろう」と考えるのは本末転倒。
何を手がけ、どんな仕事をするか、したか、の結果である賃金を先走って考えるのはお門違いというものだろう。
という私の感想などはともかく。

生涯稼ぐのが多くて3億。
そこから税金など払えば、手取りは2億程度である。
そこに「自分年金」として定年リタイア時に「さらに一億円が必要」だというのなら、家を買うとか諸々の消費を含めて「手取金額のおよそ半分」で暮らし、「半分を貯蓄せよ」ということになる。

内訳は
夫婦の老後二十年で5350万円。
さらに一人で六年暮らすのに1080万円。
まさかの出費に3430万円。
でめでたく一億円になるという。

記事では年率3パーセントで運用をしながら、七十五歳までがんばる・・・という工夫が書かれているけれど、個人的にはもうリタイアしたのなら「超低エネルギー生活」をすべきではないかと思う。
現実には、年齢を取るほどに生活に便利な都心へ移り住む人が多いというが、都心でなくても楽しく暮らせる環境作りが行政の一番の仕事だと思う。
定年後も月々22-35万円を必要とする生活をするから一億円も貯めなくてはならない、というシナリオになるのである。
住居があれば、月に5万円程度で暮らす覚悟があれば、高級車1台分くらいの蓄えで十分に暮らせるし、また年金の範囲内でもやっていけるだろう。

あまり功を焦って妙な運用に手を出さずに落ち着いて考えてみるべきだと思っている。

自分年金1億円、まずは20年で3000万円を作る2012/2/1 7:00ニュースソース日本経済新聞 電子版
 老後の生活設計を考える上で、お金の問題は避けて通れません。日経マネー誌は「自分年金1億円」を提唱し、その実現への道筋を示しました。今回は、「1億円」をどのように積み上げるのかと、その手始めとして20年で3000万円ためるためのポイントを解説します。
 公的年金や退職金、そして自らの備えを足し込んで1億円を用意できれば、老後も十分にゆとりある暮らしを送ることができる――。こうした考えの基に、日経マネー誌では、「自分年金1億円」に関する特集記事を今までにも掲載してきた。
 しかし今、社会保障は大きく揺らぎ、年金減額がいよいよ視野に入ってきた。「1億円」は絵空事になってしまったのだろうか。
■年金減額でも備えは可能
 答えはノーだ。工夫を重ねれば目標に近づくことができるし、少なくとも無為無策より「ずっと良い」結果が実現するだろう。
 ここでは、まず老後にお金はどの程度必要かを調べてみよう。生命保険文化センターの調査では、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と思われる生活費は、平均で月額22万円余り(図1)。また、ゆとりのための費用は平均で月14万円ほどだ(図2)。平均寿命を考慮、さらに1人世帯になった後の生活費を含めると、必要額は1億円をやや下回る水準になる(図3)。
[左]図1 老後の最低日常生活費
[右]図2 老後のゆとりのための上乗せ額
なお、図1、図2のデータの出所は、生命保険文化センター「平成22年度生活保障に関する調査」。図3では、同調査のほか、厚生労働省「平成21年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」と東京都「平成22年版中小企業の賃金・退職金事情」を基に数値を算出した
図3 老後を安心してすごすには1億円は用意したい
 では、老後の1億円はどのように準備すればいいのか。厚生労働省によると、夫が会社員、妻が専業主婦のモデルケースで、年金受給額は平均で月額21万〜22万円ほど。65歳から受給を始めると仮定すると、平均寿命までの受取総額は5000万円弱になる。年金減額を現実のものと受け止め、ここでは2割減を織り込み3800万円とした。退職金を東京都の中小企業の平均額1200万円とすると、合計で5000万円ほどになる。不足分としてはじき出した5000万円をどう手当てするのかが重要になる(図4)。
図4 「老後の1億円」をどのように準備するか  公的年金と退職金以外の残り5000万円をどれだけ用意できるかがポイント。
 不足分については、運用でどこまで積み上げることができるだろうか。積み立て運用で期待できるリターンが低下しているのは間違いないが、それでも20年で3000万円を備えるのは不可能ではない。今回は、その方法について解説する。
 残りの2000万円を確保する方法として提案したいのが家計管理の強化だ。具体的には共働きや副業・再就職を提言したい。妻も厚生年金に加入できる仕事に就ければ、2000万円を大きく上回る上乗せも視野に入る。
 生活を取り巻くすべての環境がシビアになっているのは確か。だからこそ粘り強く、したたかに生活設計を再構築しよう。
■必要な年数と利回りを考える
 自分がリタイアするまでに3000万円を貯蓄する方法を考えるには、まずどれぐらいのペースでためれば3000万円を達成できるかを、知っておきたい。たとえば今40歳で、リタイアまで20年の準備期間があるケースを考えよう。ネット定期や国債など安全性の高い商品だけで運用して、年1%の利回りとなる場合、毎月11万3000円の貯蓄が必要になる(図5)。これだけの金額を毎月捻出することが難しいなら、株式や外貨建て商品などにも投資し、高い利回りを目指す必要がある。
 例えば、年3%の利回りで運用できれば、月の貯蓄額は9万2000円、年5%なら7万4000円、年7%なら5万9000円まで軽減できる。また、運用期間が長くなるほど毎月の必要額は大幅に減る。できるだけ早く資産づくりを始めた方が有利になるわけだ。
図5 利回りと年数別にみた、3000万円貯蓄に必要な毎月の積立額
 ただ、リーマン・ショック以降、株式などの収益性が低下している。今後も、従来のような高い運用利回りは期待しにくいとの見方も増えている。長期の運用利回りは、標準的な人で年3%程度、積極的にリスクをとっても年5%程度が精いっぱいと見積もるのが無難だ。
 年5%の運用で3000万円を達成できない場合、ライフプランの見直しなど他の手段で自分年金の確保を考えるのが賢明だろう。
■コア+サテライトで運用
 では、実際に、リタイア後の資産をどのように作っていけばいいか。日経マネー誌では、長期資産運用の基本ルールとして、「コア運用」と「サテライト運用」の組み合わせ戦略を提案する(図6、図7)。
図6 資産3000万円を実現させるためのコア運用とサテライト運用
図7 コア運用は、インデックス投信やETF(上場投資信託)を利用するのが良い。保有時のコスト(信託報酬)が安いので長期投資に最適だ。毎月インデックス投信を積み立て、ある程度の金額になったらETFに乗り換える「リレー投資」が効果的
 コア運用は、資産作りの中心となる部分。3000万円の大半はここで賄うように計画する。コア運用は、国内、海外の株式や債券にバランス良く投資する「国際分散投資」で行うのがいいだろう。大きな利益は狙いにくいものの、比較的安定した利益が見込める運用法だ。年3%程度の目標を基本とし、必要に応じて資産配分を工夫しよう。
 一方、サテライト運用では、積極的にリスクを取って高いリターンを狙う。コア運用で着実に年数%の利益を確保しつつ、サテライト運用でプラスαを稼ぐイメージだ。サテライト運用は、個別株投資が中心になる。
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年3%狙える基本ポートフォリオ
 コア運用で、年3%の運用利回りを狙うには、どのようなポートフォリオを設定すべきか。2人の専門家に、例を挙げてもらった。2人とも外貨建ての株・債券が50%以上を占めるが、株式と債券の比率などで違いが見られる。
図A 尾藤さんが提案するポートフォリオ
図B カンさんが提案するポートフォリオ
 コア運用の国際分散投資で、実際にどれぐらいの利益が出せるか。過去の例で確認してみよう。
■積み立てと一括投資の違いで、10年間の利益はどう変わるか
 図8は、国内、海外の株式、債券を9パターンの比率で組み合わせ、10年間投資したときの利益を見たものだ。89年からの過去22年間について、「89年1月〜99年1月」「89年2月〜99年2月」……と異なる10年間を153区間取り、平均リターンを調べた。
図8 積み立て方式と一括投資方式による10年間のリターンの違い
【調査方法】データは1989年1月〜2011年9月。「1989年1月〜1999年1月」「1989年2月〜1999年2月」…と開始時期を1カ月ずらして10年間・153区間に投資した場合の集計結果。日本株TOPIX(配当込み)、日本債券はNIKKO-BPI、海外株はMSCIコクサイ(円ベース、グロス)、海外債券はシティーグループ国債券インデックス(除く日本、円ベース)
 表の「積み立て」は毎月1万円ずつ10年間で計120万円投資、「一括投資」は最初に120万円投資し、それぞれ10年間でどれぐらい増えたかを見るイメージになる。例えば、「外貨50%(国内50・海外50)、株式50・債券50」の組み合わせ(=四資産均等分散)を見ると、積み立ては平均30%、一括投資は平均72%の利益がでている。120万円の投資資金が、10年間でそれぞれ156万円、206万円になったわけだ。
図9 外貨比率が高いほど利回りがアップした  図8の積み立ての平均利益を抜き出してグラフにした。外貨の組み入れ比率によって利益水準が大きく変わっているのが分かる。ただ、リーマン・ショック後もこの傾向が続くかは不透明だ。

 その他の結果を見ると、積み立ての利益はおおむね一括投資の半分程度。積み立ては徐々に資金を投じるため、期間全体の利益は一括投資に比べて少なくなる。資産が積み上がってくると、一括投資の利回りに近づいていく。
図10 リーマンショック後、積み立て損益が悪化  各区間の損益がどうだったのかを、終了時期に表示した。リーマンショックを境に損益が悪化したことがわかる。
 四資産均等分散の積み立て投資について、153区間の損益を図示したのが図10のグラフ。リーマン・ショックまでは20〜60%程度で安定していたが、それ以降は大幅に損益が悪化。結果がマイナスになる区間も出ている。
 グラフから分かるように、積み立て投資の損益は、投資をやめる時期に大きく左右される。例えば、目標額に近づいたら徐々にリスクを抑えたポートフォリオに移行するなど、段階的に積み立てを終了するのがうまいやり方といえる。
 では、国際分散投資の利益をさらに高める方法はあるか。野村アセットマネジメント執行役員の竹崎竜二さんは、当面の投資の前提条件として、「先進国の低金利、株式市場の長期レンジ相場という状況が続く」と予測する。
 その上で利回りを押し上げる方法として、「新興国債券やハイイールド債券など、相対的に高い利回りを保っている資産を組み入れるのも一策」という。特に、足元の金利状況では、ドル建て債券の為替ヘッジコースを活用するメリットが大きい。為替リスクなしに高い利回りを期待できる。例えば、ポートフォリオの外国債券の一部を、新興国債券(為替ヘッジ型)に入れ替えるといいだろう。
 また、積み立ての方法を工夫する手もある。「一定のレンジ内で価格が動く相場を想定すると、価格が低いときにたくさん買う逆張り戦略が効果的」(竹崎さん)。例えば、『積み立て対象の価格が自分の平均購入価格より安いときは多めに買い、高ければ減らす』といった方法や、『価格が急落したときにスポットで買い増す』などの運用方法が考えられるという。
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50代の資産運用、「20年プロジェクト」のすすめ
 50代にとって60歳で定年を迎えるまでの10年弱は悩ましい時間だ。リタイアに備えた資産運用を行う時間としては少々短い。
 フィデリティ退職・投資教育研究所の野尻哲史所長は、60歳までを区切りとするのではなく、50歳代から70歳代までの20年間を使って老後に備える「20年プロジェクト」を提案する。
 具体的には、60歳までを「積み立てしながら運用する時代」、60〜75歳までを「使いながら運用する時代」、75歳以降は「厳密に使う時代」と位置づける。
 重要なのは60〜75歳の過ごし方。(1)60歳で運用をやめるのではなく75歳まで運用を続ける、(2)資金を毎年定率で引き出して使う――などの工夫で、資産の減少ペースを抑えられるという。
 例えば、60歳〜75歳までは年率3%で運用しながら資産の4%を引き出し、その後75歳〜95歳までは運用をやめて毎月10万円引き出すと想定した場合、60歳時点で2816万円の資産があればいいと言う(図C)。
図C 引き出し額から逆算した60歳時の必要額(フィディリティ退職・投資研究所の試算。なお、手数料・税金などは考慮していない)
(日経マネー 張勇祥、市田憲司)
[日経マネー2012年1月号の記事を基に再構成]