藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

自分のこれから。

日経より。
「20代から始める バラ色老後のデザイン術」
という題名にもため息が出るけれど、これも現実の浮き世ではああるようだ。
若いうちにお金を貯めろとか、定年は遅らせてもっと働こうとか、リタイアする時には三千万費用だとか、若者が聞いたらちょっと楽しくなさそうなテーマが多い。

これから社会人になるような若者に予め知っておいてもらうことが「これまでとは変わってきた」ということである。

それは

端的には二十年ほどは親の扶養になり、
四十年〜四十五年ほどは自立して働き、
リタイア後の暮らしも平均二十五年ほどは続く。
というようなことだ。

さらにその間に子供や親がいればその分の負担も出てくる。
大まかにはそういうことである。

だから日本の平均でみれば「そういう感じの比率」の人生をどんな風に生きていくのか、ということを考えて行った方がいいよ、ということだろうと思う。

(つづく)

50代と年金 制度の理解、今こそ深める
世代別公的年金理解のポイント(4)2015/11/24 6:30日本経済新聞 電子版
 今月は世代別の年金制度理解はどうあるべきか考えてきましたが、最終週は50歳代です。実際に年金を受け取る時期が近づいてきた50歳代は、公的年金の知識をどう深めていけばいいでしょうか。
■50歳になったら年金制度の詳細を学んでいい時期
 50歳代は、しっかり年金制度の知識と理解を深め、リタイアメントプランの計画を練っていきたい年代です。
 まず、公的年金制度については今の制度について説明された書籍を買ったり雑誌やネットの記事を読んだりして、自分の制度を知っておきましょう。法律改正がもう1度か2度あっても、抜本的な改革はないと思われます。少なくとも受給開始年齢については変更ないと考えられます。
 年に1度、誕生月に届く「ねんきん定期便」についても、50歳代からは様式が若い世代と変わり、具体的な年金受取を意識した表示となっています。
 部分年金を受けられる場合は、年齢の表示がより細分化されてきたり、年金見込額はこのペースで60歳まで働いた場合として数字が記載されてきたりするようになります。つまり、より現実的な数字になってくるわけです。
 こうした情報をどんどん収集して自分の年金、夫婦であればパートナーの年金も含めて具体的な公的年金額を見込んで、セカンドライフの準備につなげていきましょう。
 といっても年金財政の詳細や社会保障審議会年金部会の議事録・公開資料をチェックするまで理解をする必要はないと思います。そうした役割は専門家に任せ、むしろ「自分の年金」の理解をしっかりしていくことが優先事項です。
 自分のもらえる年金が「何歳から」「いくら」もらえるかが分かれば基本的な理解は十分です。その金額が生きている限りずっともらえます。
■60歳以降も働き、年金額を確実に高める
 本連載では何度か「65歳までは基本的に働こう」と説明をしています。定年の年齢が60歳であっても、働きたいと希望する人は原則全員が今の会社で65歳まで働ける仕組みとなっています。一般には再雇用されて働く継続雇用の仕組みとなっています。
 この仕組みを有効活用することはいくつかの意味でセカンドライフのマネープランを改善するからです。
 まず、65歳までの無収入期間をなくすことで、退職金の取り崩しを抑えられます。残すことができれば退職金は老後の生活そのものに使うことができます。
 さらに公的年金額がアップします。5年間の勤務で2倍になることはありませんが、それでも年金額をじわりとアップさせます。多く、長く厚生年金に加入していたことは将来の年金額を増やす力になるのです。
 そもそも、60歳をリタイア年齢とすると、男性は23.4年、女性は28.7年が老後の標準期間となります。65歳リタイアスタートより老後がさらに長くなる、ということは必要なお金も多くかかるということで、楽しい老後どころか長すぎて苦しい老後になってしまう可能性もあります。
 よほどの経済的安定がない限りは、65歳をリタイア生活のスタートラインとしましょう。
■年金知識の次に、「年金以外」にも目を配る
 年金制度の理解を深めたら、次に意識していきたいのは、「年金以外」の制度です。
 例えばインフレの推移、消費税率の引き上げ、健康保険制度や介護保険制度の見直し(自己負担増)などは、いずれも年金生活の家計を直撃する要素だからです。
 インフレにより世の中の物価が上昇した場合、個人資産も同程度の利回りがなければ実質的価値が目減りしていきます。定期預金だけではインフレに追いつかない可能性があります。適宜、資産運用も考える必要があります(物価上昇の際は、年金が増額改定されるがマクロ経済スライドにより、物価上昇を下回る改定率になる)。
 セカンドライフが20年もあれば消費税の再引き上げもありえますが、実行されれば、必要な生活コストが高まります。老後を月20万円で過ごしたとき消費税率5%なら消費税に1万円かかるところ、消費税率15%なら3万円税金がかかる、というような負担増が家計にも直結するわけです。
 同様に、健康保険制度や介護保険制度の自己負担増、高額療養費の上限引き上げなども、セカンドライフの家計に影響します。公的年金制度の理解をしたら、むしろその他の制度の理解を深めていくことが老後のことを考えるポイントになってくるのです。
■60歳になったら年金知識より「セカンドライフの楽しみ」探しに集中しよう
 60歳になったら(あるいは65歳になったら)、退職金も受け取り、企業年金がある場合は支給がスタートし、公的年金の額も決まります。リタイアしたときの預貯金額もそこからいきなり増えることはありません。
 リタイアしたらすぐお金の整理をして、「これからの20年、毎月○万円は崩してよい」「基本的な生活は公的年金でやりくりする」というようなルールを決め、お金の問題はすっきりしてしまいましょう。
 そして、それ以降は年金知識の拡充より老後の楽しみの追求に集中していくことが大切です。いつまでもお金の問題に悩まず、健康に気をつかいながらも毎日を楽しんでいただきたいと思います。
 お金は無理のない範囲でやりくりを考え、セカンドライフを楽しんでいくようにしてください。
 おそらく最期の日を迎えたとき「公的年金はなんだかんだいって老後の助けとなる制度だったなあ」と思うことになるはずです。そのとき、年金制度の損得論など関係なく、国民を支える社会保障制度の役割を感じることになるでしょう。



山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ) 1972年生まれ。中央大学法学部法律学科卒。AFP、1級DCプランナー、消費生活アドバイザー企業年金研究所、FP総研を経て独立。商工会議所年金教育センター主任研究員、企業年金連合会調査役DC担当など歴任。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。論文「個人の老後資産形成を実現可能とするための、退職給付制度の視点からの検討と提言」にて、第5回FP学会賞優秀論文賞を受賞。近著に『20代から読んでおきたい お金のトリセツ!』(日本経済新聞出版社)。twitterでも2年以上にわたり毎日「FPお金の知恵」を配信するなど、若い世代のためのマネープランに関する啓発にも取り組んでいる(@yam_syun)。ホームページはhttp://financialwisdom.jp