藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

コツコツ型の私たち。

金融技術とか、グローバル化とか、そういう「経済的な工夫」においては、おそらく相当不器用な国民。
けれど、燃費向上とか、排ガス規制とか、CO2排出量とか、はたまた新型蓄電池とか、携帯電話の小型化とか、液晶の薄膜化とか、内視鏡の精密さとか…


結局コンセプト力が弱いというか、もともとの「遺伝子的な征服欲」とかが薄いのだろうか。
何か「画期的な発明を次々と考案する」というよりは、「既存の製品に対して画期的な工夫をする民族」なのだろうか。
古くは和歌から短歌を発明し、また俳句や書道へと日常の「文字文化」を昇華した。そんな"工夫の国民性"が日本の持ち味なのだろう、かもしれない。
ハイブリッド車が、欧米各国からまだ関心を引かない時代に、一心不乱に取り組んでいた日本メーカー。
このハイブリッド車世代を経て、これからの電気自動車に移行する、と先読みした人はいなかった。
思わぬ工夫の技術が、今脚光を浴びている。
その意味では「愚直の効用」であろうと思う。
予め「戦略ありき」ではなく「物造り」あるいは「工夫の積み重ね」をただひたすら追求してゆくのが、実は日本のお家芸なのかもしれないと思う。

ハイブリッド技術を応用した船やフェリー、また先の震災では苦杯を舐めた堤防技術もさらに進化し、「津波と共に飛び出す堤防」など、驚く技術が実用化されている。
日本人はその性質はマゾ的だが、目標が定まった途端に「ハラをくくる」ことができる大和民族なのかもしれない。
その「求める結果」には誰も保証も確約もせぬのに、ただひたすら改善を求道する姿は、自分たちのルーツを誇って探してみてもよいように思うのだ。
毎度の技術革新の成果を聞くたびに、ため息と感心を覚える日本人は自分だけではないだろうと思う。

次世代船「ISHIN(維新)」 太陽光とリチウム電池のハイブリッド
商船三井が、環境に配慮した船舶を実用化する。技術的に実現可能な次世代船「ISHIN(維新)」シリーズで、6月には太陽光発電システムとリチウムイオン電池を組み合わせたハイブリッド自動車運搬船が完成する。同シリーズは3種あり、2014年後半にはエンジンの排熱エネルギー回収効率を高め、二酸化炭素(CO2)排出量を20%減らせる大型ばら積み船も完成する。将来的にはCO2排出量の半減を目指す。13年以降の新造船にCO2排出基準が課される新たな規制を視野に入れており、商船三井は技術開発を加速し、市場をリードしたい考えだ。

 6月に完成する自動車船は「ISHIN−I」をコンセプトにした次世代船で、三菱重工業三洋電機と共同で開発を進めてきた。甲板上には世界最大規模の発電容量となる約160キロワットの太陽光パネルを設置。大容量のリチウムイオン蓄電池も搭載し、この電力で港内を低速で航行する際のエネルギーをすべてまかない、ディーゼル発電機を完全に停止することで排ガスがゼロとなるという。

 最終的には港内でのゼロエミッションに加え、ディーゼルエンジンとモーターを組み合わせた推進システムや風圧を軽減する船の形状などの採用により、大洋航行中のCO2排出量を最大50%削減することを目指す。

 これに続くのが、大型鉄鉱石専用船の「ISHIN−III」。昨年12月、これを目指す大型ばら積み船をユニバーサル造船に発注した。エンジンの排熱エネルギー回収効率を向上させて発電に回すほか、エンジンの排ガスで動く過給機の回転動力を電力に変換するハイブリッド発電を搭載する。これにより、従来船に比べCO2排出量を20%超削減できるという。


「ISHIN−III」では、これに過給機の空気量をコントロールする機能を加えることでCO2削減量を30%とし、さらに「東京大学などと共同開発している風力推進船のビジネスモデルが確立されれば、50%以上の削減が可能」(商船三井)という。

 「ISHIN−II」で描くフェリーも開発中だ。まだコンセプト段階だが、液化天然ガス(LNG)を燃料に採用するほか、港内では陸上設備からの電力供給でゼロエミッションを実現。また、船内から微細な気泡や空気層を放出し船底を覆って摩擦抵抗を低減したり、客室の窓前面に太陽光発電フィルムを張り付けるなどして、CO2排出量を従来より半減させることが目標だ。

 海運業界はこれまで、運航コスト低減のために、燃費向上や省エネなどを進めてきたが、世界的な環境規制はなかった。しかし、昨年7月に開かれた国際海事機関(IMO)の海洋環境保護委員会で、船舶に対しても排出規制を導入する海洋汚染防止条約の一部改正案が採択された。

 この結果、13年以降に新たに建造される船舶は種類ごとに設定された排出基準を満たすことが求められる上、排出基準も段階的に強化される。現在運航中の船舶も省エネ運航計画の作成が義務付けられ、07年比で30年には約20%、50年には約35%の排出量削減が期待される。

 エコシップは日本郵船など他の海運会社も開発を進めており、「日本の国際競争力の向上に結びつく」(国土交通省)ため、商船三井をはじめとする日本勢が世界の表舞台に立つ日は近い。(中村智隆)

津波感知で海中から“飛び出す”防波堤 日立造船が実証実験
 日立造船などは17日、新焼津漁港(静岡県焼津市)で、モーターなどを使わず津波の力で自動的に起き上がる防波堤の実証実験を報道陣に公開した。自然の波の力を利用し作動する防波堤の実験が公開されるのは国内で初めて。平成24年度にも自治体などでの実用化を目指す方針。

 東日本大震災以後、自治体などが津波対策を急ぐなか、防波堤や水門といった関連技術の開発が活発化してきた。

 同日午前10時、日立造船の研究員らが津波の来襲を想定し、安定して装置が立ちあがるかなどを確かめた。実験終了後、同社の坂井正裕機械・インフラ本部副本部長は「今後、一日も早く実用化して沿岸部を中心に安全、安心な暮らしをつくっていきたい」と語った。

 開発した「海底設置型フラップゲート式可動防波堤」の実験装置は板状のステンレスで、平常時は水深約8メートルの海底に収納されている。津波などで海面の水位が上昇すると自動的に垂直に立ち上がり、海面上から高さ約2メートルの防波堤が瞬時に完成する。装置は普段はフックで海底に止められているが、地震が起きた際に遠隔操作で外す仕組みだ。

 実験装置は、日立造船が東洋建設や五洋建設との共同開発で今年2月に新焼津漁港に設置した。

 一方、津波対策をめぐっては、自治体が河口付近に設けられた水門について、閉鎖の遠隔操作や自動化などの対策を急いでいる。大型水門は閉鎖に30分以上要することもあり、多くは手動で操作するため閉鎖に手間取れば、津波が河川を逆流し被害が拡大する恐れがあるからだ。

 大阪府港湾局では水門12基を管轄し、そのうち5基を遠隔操作に対応させている。残りの7基についても各水門を保有する地元市町村などと協議した上で、遠隔操作の対応を検討する。和歌山県も、河口付近や河川間の水門計91基のうち、遠隔操作や自動で閉まるのは18基にとどまる。このため県は「中長期的には残りも遠隔操作や自動化にしたい」としている。

 水門メーカーの丸島アクアシステム(大阪市中央区)には、緊急地震放送と連動した水門の自動閉鎖システムについて年間数件だった問い合わせが、震災以降、自治体を中心に10倍以上に急増した。

 総合建設コンサルタントニュージェック大阪市北区)で鉄構グループ技術統括の寺尾栄司さんは「津波の到達には時間的余裕も少なく、今後も新たな対策や技術が求められる」と指摘している。