藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

濃い味好きですか?

自分のような4-50代は、年代的にも今かなりの「健康ブーム」であるが、さらにその後の世代にはまた揺り戻しが来ているとのこと。
思えば、若者は何でも「はっきりしたもの」を求める傾向があるようだ。
着るものの色もそうだし、味もそう。
食物もいわゆる「ガツン系」という肉とか揚げ物などを好む。

それが見事に年とともにグラデーションがかかり、衣類の色もあいまいな寒色とか、より複雑な"折り"を施されたようなものを好む。
食べ物はより薄味に、魚や野菜が中心になってくる。
ビールやテキーラよりは日本酒やワインなど…

それが国民的な清涼飲料も「濃い味ブーム」というのは、何か「一旦は薄く軽く」という時代の志向の揺り戻しなのかもしれない。
草食男子よろしく、いったん"あっさり"し過ぎた今の日本人が、今のようなフニャフニャした経済や政治の状態を経て、再び肉食系に変身する時期なのかもしれない。
日本人には生来、あまり獰猛なキャラ、は似合わない気がするけれど、いわゆるグローバル社会の中で、新たなアイデンティティを編み出す時期だといいと思うのだが。

ぜいたく香る濃厚な味
濃厚な味わいをウリにした食品や飲み物が多く出回っている。ちょっとしたぜいたく感を味わえたり、家飲みの肴(さかな)にもピッタリなところが、ウケているようだ。

茶葉が2倍
 このごろよく見かけるのが、「濃厚」を強調したお茶などの飲料だ。キリンビバレッジが昨年9月に発売した「キリン 午後の紅茶 パンジェンシー 茶葉2倍ミルクティー」(158円=460ミリ・リットル)は、茶葉を「午後の紅茶 ミルクティー」の2倍も使っている濃厚なミルクティーだ。紅茶本来の繊細な香りと渋みも楽しめるという。

 濃いめのお茶ブームの先駆けとなったのが、伊藤園が2004年に発売、その後もリニューアルしながら販売している「お〜いお茶 濃い味」(147円=500ミリ・リットル)だ。

 従来の「お〜いお茶 緑茶」より茶葉を多めに使い、高温で淹(い)れているという。緑茶に含まれるポリフェノールの一種カテキンを、500ミリ・リットルあたり従来品の2・5倍の400ミリ・グラム含んでおり、美容や健康に気を使う消費者の心もつかんだようだ。

若者に人気
 冬の人気メニューといえば、やはりシチュー。エスビー食品のシチュールー「濃いシチュー」(252円=180グラム)シリーズは、昨年8月の発売以来、4か月足らずで年間売り上げ目標を超えたヒット商品になった。クリームシチューには発酵バターを、ビーフシチューには牛骨や香味野菜を煮出したブイヨンを使って、濃厚なうまみとコクを出した。「シチューをよく食べる若年層やファミリー層で、濃い味わいを好む人が増えている」(エスビー食品)ことに目を付け、商品化したそうだ。

糖質はゼロ
 キリンビール第3のビール「キリン 濃い味〈糖質0〉」(実勢価格141円前後=350ミリ・リットル)は、「深みのある味わいとしっかりした飲み応え」(キリンビール)が特徴だ。

 香ばしく焦がした麦芽や、繊細な香りが特徴のファインアロマホップなどを使っている。「濃い」というと、カロリーが気になるが、この商品は糖質をゼロ、カロリーも100ミリ・リットルあたり19キロ・カロリーに抑えた。

割合を変更
 家で飲む際の気軽なつまみになるスナック菓子でも、濃い味商品が増えている。亀田製菓が昨年11月からコンビニで先行販売している「亀田の柿の種AKA」(118円=80グラム)は、辛み成分を普通の「柿の種」の2倍配合した。刺激的な味わいがビールのお供にピッタリだ。同社の調べでは、ターゲットの男性消費者はピーナツを好む傾向があるため、柿の種とピーナツの割合を、普通の「柿の種」の6対4から「AKA」では4対6へと変えている。

 一方、甘党にはたまらないのが、濃厚な味わいのデザートだ。森永乳業の「濃いリッチプリン」(137円=150グラム)は、国産生クリームを使った。「濃厚で小容量、さっぱりしていて大容量というプリンが多い中で、濃厚な味わいと大容量を両立させた」(森永乳業)という。

どろ系ブーム
 カップラーメンでも、コッテリタイプの商品が多くなってきた。日清食品が10日に発売した「日清のぼてどろ 極濃深炊(ごくのうふかだ)き豚骨」(200円=140グラム)は、名前からして、味が濃そうな商品だ。ラーメン好きの間で「どろ系ラーメン」と呼ばれてブームになっている、極端に濃いスープを特徴とするラーメンをヒントに開発した。太い麺に濃厚な豚骨スープが絡み、スープを食べているような感覚を味わえるという。(経済部 竹内和佳子)

(2012年1月24日 読売新聞)