藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

飢えのないない世界に。

*[次の世代に]史上初。
世界の食肉需要は圧倒的なスピードで拡大している。22年に約1兆5600億ドルと18年と比べて約7割増える見通し。家畜を育てるための飼料不足が懸念されており、食糧危機も叫ばれている。
そんな中「大豆ミート」が進んでいるという。
つまり「肉」が人造できる時代が近づいているらしい。
一番高価な「肉」が人造できれば、世界の食糧事情は大きく変わるだろう。

油を抜いた脱脂大豆を粉状にし、専用機械で熱と圧力を加える。120~190度で、ポップコーンのように水蒸気爆発させて、繊維状の組織をかたちづくる。それを水で戻し、通常の肉のように調理する仕組みだ。

どちらもタンパク質。
こんな風に食材をコントロールできるようになれば、人類初の「飢餓のない世界」が実現できる日は近いのではないだろうか。
それだけでどれほどの問題が解決できるだろうか。
 
さらに糖質(炭水化物)をコントロールできれば、人の食生活は劇的に改善できると思う。
次には「糖質ゼロのお米」を是非に待ち望んでいます。
いやほんとに。
 
 
若者がはまる0%ビーフ 「植物肉」が味な進化
2019年4月21日 21:30
肉の代替となる植物由来の「大豆ミート」が脚光を浴びている。米国のスタートアップ企業、日本の老舗企業などが本物の肉に近い味や食感を実現した。テクノロジーの進化が「第3の波」と呼ばれるブームを起こしている。健康食ではなく、若者を中心に一般の食事として味わっている。食肉産業全体と比べると市場はまだ小粒だが、世界の食ビジネスを変貌させる可能性を秘める。

ジョークではなかった……

エープリルフールのジョークではなかった……。米中部ミズーリ州セントルイスにあるバーガーキングの店舗を訪れると、「0%ビーフ」の看板が掲げられていた。4月1日から全国59店で、肉をいっさい使わないハンバーガー「インポッシブル・ワッパー」の試験販売が始まった。
バーガーキングは「0%ビーフ」をうたうハンバーガーを4月から発売
価格は5.59ドル(約630円)と看板商品のワッパーより1ドル高い。ダリス・ウィリアムズさん(24)は「植物肉を食べるのは初めてだけど、本物の肉みたいな見た目や食感で十分おいしいね」とほお張っていた。パンに挟まれた「パティ」から、しっかり汁がしたたる。
パティを供給するのは、2011年に設立した米カリフォルニア州のスタートアップ企業、インポッシブル・フーズ。主な材料は大豆やジャガイモのタンパク質、ココナツ油。分子レベルで研究した酵母からつくる「ヘム」と呼ぶ材料が、血のような味を再現している。素材段階では肉にほど遠いが、材料を混ぜるとひき肉のようになっていく。植物由来なので、生食で食べられ「ユッケ」のような味がする。

今は第3の波

インポッシブルは米国を中心にすでに5000軒を超えるレストランに食材を供給する。19年後半には、家庭向けにスーパーマーケットでも販売を始める計画だ。競合するビヨンド・ミートは年内の新規株式公開(IPO)を準備していると噂される。ネスレが参入するなど食品大手も触手を伸ばしている。
植物肉について、「今は第3の波が押し寄せている」。米ベンチャーキャピタル、ニュークロップキャピタルのダン・マレック氏は指摘する。
第1の波は70年代初め。ビーガン(完全菜食主義)向けの食品として登場し、味は二の次だった。第2の波が80年代半ばで、「味が少しましになった」(マレック氏)ものの、購入層は限定的。
第3の波は、テクノロジーの進化が引き起こしている。インポッシブルの創業者のパット・ブラウン最高経営責任者(CEO)は米スタンフォード大学の生物化学の教授。同社ではバイオ系研究者が100人規模で働く。材料を分子レベルまで分析し、「肉らしい」味や食感を追求している。
インポッシブルの調査によると、同社製品を食べた人の97%はビーガンではないという。豚や鶏を含めて世界で9千億ドルの食肉市場にとってかわる可能性があるとすれば、投資家も集まる。インポッシブルもこれまで約5億ドルを調達して、生産能力の増強に動く。

疑似肉、謎肉、ゼロミート

大豆などで肉を模した食品の歴史が長い日本でも、新たなブームが起きつつある。
「擬似肉」「謎肉」「ゼロミート」と呼び、新鮮味を感じた若者がインターネット上で話題にしている。米国の火付け役もミレニアル世代で、インスタグラムで「♯impossibleburger」のハッシュタグをつけて拡散させ、大豆ミート熱をシェアした。
日本でシェア5割を握るのが油脂大手の不二製油だ。千葉県で新工場を20年に稼働する。現在の生産拠点、阪南工場(大阪府泉佐野市)はフル稼動が続く。生産能力を倍増し、年間約2万トンとする計画だ。
油を抜いた脱脂大豆を粉状にし、専用機械で熱と圧力を加える。120~190度で、ポップコーンのように水蒸気爆発させて、繊維状の組織をかたちづくる。それを水で戻し、通常の肉のように調理する仕組みだ。
約50年前から開発をスタートした。「最初はスポンジのような食感になってしまい、こんなまずいものは食べられない」(開発担当者の坂田哲夫氏)と突き返された。
今はインポッシブルと同様に分子レベルで研究し、原料の配合や温度設定、大豆の大きさなどを調整している。詳しい製法は企業秘密だ。鶏肉、豚肉によって食感を変え、着色料を使ってビーフジャーキーは茶色、豚のひき肉はピンクといったように種類も増やした。

異業種からの参入も

異業種からの参入企業も現れた。排ガスに含まれる有害物質を低減する「粒子状物質低減装置(DPF)」を手がけるイビデンだ。約4億円を投じて専用設備を導入し、18年までに大豆ミートの成型加工ラインを立ち上げた。カップ麺などに使われる材料を、年間500トン製造する計画だ。
複数の素材を混ぜてDPFのフィルターをつくる技術が、原料を練り上げるプロセスと共通していることに着目した。子会社のイビデン物産(岐阜県本巣市)の匂坂克巳社長は「菜食主義者にとどまらず、ハラル食品としても需要がある」と期待を込める。
ジオンマーケットリサーチによれば、世界で18年に119億ドルだった植物肉の市場規模は、25年に212億ドルまで広がる見通しだ。ただ、肉の代替をめざそうとするイノベーションの潮流は、既存産業と衝突する。

食糧難を救う存在に

3月に開かれたスタートアップの祭典「サウス・バイ・サウスウエスト」での代替タンパク質をめぐる討論会。養豚農家の女性が「畜産業界も環境に気をつかっている。米国の地方経済が苦しい結末を迎えていいのか」と詰め寄る一幕があった。全米牛肉生産者協会(NCBA)は植物肉を「フェイクミート」と呼び反発する。
世界の食肉需要は圧倒的なスピードで拡大している。22年に約1兆5600億ドルと18年と比べて約7割増える見通し。家畜を育てるための飼料不足が懸念されており、食糧危機も叫ばれている。
そうなれば、植物肉も一過性のブームではなく、食糧難を救う存在になる。昆虫、藻、細胞組織を培養した人造肉……。肉を代替する素材を探り出す研究が世界的に進む。急速に進化する「フードテック」は、我々の食文化、経済や産業に大きな影響を与えようとしている。
シリコンバレー=佐藤浩実、大阪経済部 渡辺夏奈、岐阜支局長 小山雄嗣)
日経産業新聞 2019年4月19日付]