藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

日本の強み。アグリジャパン!

フレンチとか、イタリアンとか、中華とかあるいは日本食とか。
「美味しいもの」が必ず人気になるのならば、和食の鮨とか蕎麦とか懐石とか、は間違いなくランキング入りするだろう。
中でも、日本通を自認する外人さんが驚くのが「鮨」。
しかもその中でも「白米」のこと。

これほどおいしい白米を炊き、さらにそれを酢でしめて、さらに"仕事をしたネタ"を乗せる。
その一つ一つの仕事が嬉しく、また鮨そのものはシンプルこの上ない味わいなのだという。
実際、究極の仕事をするお寿司屋さんというのは、日本人でもちょっと手が届かないくらいの値段と仕事をしているから、もしそれが海外の人の目に触れれば、一種「グランドメゾンの仕事」と思っても無理もないことである。

コメは日本人や東洋の国の主食であり、食べ方も様々。
しかし、この主食をある時には「メインディッシュの傍に」またある時は「コメを主食にして、傍におかずを」と自在に食べ続けていたのが日本人。

そしてその「コメの製造方法」についても、ダントツのこだわりを持っている。
家電やデジタル機器は昨今、寂しい話ばかりがマスコミから入ってくるが、こと農業についてはぜひ「日本のノウハウ」を世界に発信してリードしてもらいたいと思う。

日本の地方に出向き、そこの"農法の工夫"を聞くとただただ感心することは多い。

細やかさと、(培われた)ノウハウと、科学の力が、作り手の情熱を補助としている。と言えばいいだろうか。

日本の職の美味しさを、ただ素直に発信できるような仕組み、を行政は作ればよいのではないだろうか。
相手先はアメリカでも、ロシアでも、中国でも、EUでも構わない。

むりに「国家間の関税障壁」に立ち向かわずとも、リアルな食料品こそ、投機金融の世界をよそに、リアルに流通させる仕組みがあればよいと思う。

途上国や被災地に「行政を介在させない効率的な仕組み」が21世紀には主体的になってくるのではないだろうか。
"農業"がテーマになれば、また日本の優位性もクローズアップされてくるだろう。
そういう意味で、時代の流れにも飲まれつつ、自分の持ち味を生かすことを考えるのは、自分の人生設計の中でも大事なことではないかと思う。

流れず、流れ過ぎずに、流されず。

アグリジャパンの突破力 逆境を乗り越えて海を渡れるか
2012/4/3 日本経済新聞 電子版

2011年9月。まだ暑さが残る時期に全国26カ所のコメ産地を訪ね歩いた台湾人がいる。デビッド・リン氏。日米台を股にかけて活躍する貿易商だ。経営する米ライメックス社のグループ企業を通じて年間約100トンのコメを日本から台湾に輸出する。流ちょうな日本語を操り、日本のコメを知り抜いた人物だ。

■おいしさに定評
日本農業、逆境乗り越え海を渡れるか。専門家と日経ヴェリタス編集長が解説(日経CNBC)
コメの生育状況を確認するだけでなく「水田の放射線量を小型の測定器で測り、線量が台北と変わらないことを示す写真を撮ってホームページに載せました」。原子力発電所事故の影響を気にする台湾の顧客を安心させるのが目的だった。

国連食糧農業機関(FAO)の統計でみると、2009年の日本の農産物生産額は931億ドル(約7兆7200億円)で世界5位。農業大国として知られるフランスやロシアを上回る。

だが、09年の輸出額は30億ドル。米国との自由貿易協定(FTA)の締結を巡って農家による激しい反対運動が起きた韓国を下回る。そのため、500億ドル近い輸入超過になっている。09年の世界のコメ輸出額(約147億ドル)に占める日本産米の輸出額の割合は1%にすら届かない。

吹けば飛ぶような存在の日本のコメ。それでもリン氏が風評被害を払拭するためにわざわざ日本に来たのは、味の良さにほれこんだからだ。

「おいしい。サンプルを持ち帰りたい。もっとないのか」。香港で日本食材店を営む「千賀屋」の蔡詠霊・総経理と鄭錦嬋・董事は、味付けされたウズラの卵を口に運ぶなりこう言った。3月に日本貿易振興機構ジェトロ)が香港で開いた「日本農産品商談会」。高崎クエイル(群馬県高崎市)の串田幹雄社長は蔡総経理らの反応にうれしい驚きを隠せなかった。

 同社は国内のウズラの卵の約1割を出荷している。ジェトロの呼び掛けに応じ「とにかく見に行く程度だった」。サンプルをあまり多く持ってこなかった串田社長は、数袋を手渡し「もうありません」と頭を下げるほかなかった。

■海外が技術に注目
豊富で清浄な水資源。きめ細かな生産ノウハウ──。おいしい農産物を生産する日本の農業の底力は国内外で注目されている。国際農学が専門の川島博之・東京大学准教授も「力を入れるべきは高付加価値農産物の輸出だ」と指摘する。

原発事故から1年以上たった今も日本の農業は風評被害の逆風にさらされている。直近では為替の円安が進んでいるとはいえ、水準は「超円高」で海外の農産物に対する価格競争力は劣る。担い手の高齢化も考えれば、製造業などとは比べようもないくらい厳しい状況だ。

3月、日本能率協会千葉市で開いた食の見本市に参加したリン氏は、活性化策として(1)生産調整ではなく、農地を活用して輸出する(2)生産技術を国際展開する(3)ブランド化で質を追求する──の3点を挙げる。

販路拡大で価格競争から距離を置くことに成功した農家、ベトナムで日本人が好む短粒米を作る米卸会社など「3つの解」に沿った動きも生まれている。