藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

美味しい物はなに。

由緒ある英王立協会が「人類の飲食史上で最も重要な20の発明」を発表。
一位は「冷凍保存技術」とのことで、これを聞いた世界各国からは非難轟々。

もとよりこうした「非常に多様な価値観」を持ちうるテーマに王立協会が挑んだことが、そもそも騒動の種ではないだろうか。
食文化、など和食、洋食、中華、エスニックなど各国ローカル料理、EUだけでもフレンチから、郷土料理まで「地方と都会」にあらゆる形で根付いているものである。
その中で何が「最も重要」なのかは決めにくい。

王立協会の基準は「手軽さ・効率・美観・健康への貢献」ということが基準のようだが、「手軽さや効率」、あるいは「美観」など「全く重要とは思わない人たち」も多数いるだろう。
要は「飢えを満たすための食」なのか「美食のための職」なのか「健康を意識した食」なのか、あるいは、それらが混合しているものなのか。
エスキモーやイヌイットの食の話を聞けば、自分たち都会に暮らす立場からすれば感心するような「生きるための知恵」があるし、
しかし都会の肉食やマクロビの健康法にもそれなりの知恵が活かされていると思う。

「人類の飲食史上で最も重要なこと」は、果たして「飢えの克服」なのか「美食の追求」なのか「成人四大病の防止」なのか。
食が現代人類において、非常に重要なテーマだ、と言う事は疑いがないにしても、「何を目指した職なのか」ということについては、各国、各人の思いが様々だろうと思う。

冷凍保存や低温殺菌という技術も重要だが、「生で食す」とか「乾燥・塩漬けしておいしく食べる」など今でも日々その料理法が研究されている分野も多い。

さらに「酒」も食品の一つである。
「世界○大珍味」によく表現されるが、保存食、生食、調味料、一品料理、香辛料、"牛・豚・鳥・ジビエ・魚・甲殻類"それらについて、世界中の素材と料理法、そして伴をする「酒」についてまとめてみる学問があってもよいだろう。
ワインだけで、あれほどの研究家や作り手がいるのである。

人類の飲食史、はこれから紡がれてゆくのではないだろうか。


「飲食史上の重要発明リスト」に批判殺到の理由

【ロンドン=林路郎】世界最古の科学学会である英王立協会が「人類の飲食史上で最も重要な20の発明」のリストを発表、この中で「冷凍保存」技術が1位に輝いた。


2位は「低温殺菌」、3位は「缶詰」だが、消費者らからは「(充実した食事への関心が薄い)研究者たちの生活スタイルを反映しているのでは」などと首をかしげる声が出ている。

 リストは、発明が人類の飲食に及ぼした影響を啓発するのが狙いで、手軽さ、効率、美観、健康に資するか――の4基準で約100のモノや技術から20を選び、同協会の会員の投票で順位を付けた。

 ところが、結果を紹介した有力紙ガーディアンのブログには読者の書き込みが殺到。「人類が火を使うようになったことを忘れている」「植物の栽培、動物の飼育こそが重要」「酒はどこへ行ったのか」などの声が相次いだ。

(2012年9月22日09時01分 読売新聞)