藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

年末はふるさと納税。

ふるさと納税のその後が割と面白いことになっている。
ローカルに寄付した分の現金、はもちろん手元からなくなるわけだが、その分納税額が減る。
この時点ではまだイーブン、だけれど「寄付先」からかなりお得な米やら農産物、サービスなどが受けられるという。

寄付してもらおうと、「地元でできること」を各自治体が頭をひねって考えいるとのことである。
狙った方向の制度運用と言ってよいのではないだろうか。

まだ数万円の限度額とか、確定申告が必要、などの制限もあるが、もう少し規模や用途を拡大して実施してみれば「税金の透明化」にもつながり、また今のネット時代にも浸透しやすいものにできる可能性が大いにあるだろう。

ぜひ地方から新しい提案をしてもらいたいものである。

ふるさと納税でリッチ 負担2000円の節税・特典術
限度額や確定申告に注意2013/12/15 7:00ニュースソース日本経済新聞 電子版
 生まれ故郷や応援したい地方自治体に寄付をすることで、寄付額に応じて住民税や所得税の納付額が減る「ふるさと納税」。制度ができてから5年がたち、静かなブームが起きている。寄付した自治体からの特産物や郷土品といった特典が充実し、節税対策として注目が集まっているためだ。減らせる税額に限度があることや自分で確定申告する必要がある点には注意したい。
■出生地以外も可
 東京都内に住む会社員の佐々木真一さん(仮名、32)は年収500万円。マイホームのために最近ローンを組み、消費増税に備えて家計の見直しに知恵をしぼる。その1つがテレビや雑誌で「賢い節約術」として紹介されていたふるさと納税だ。
 ふるさと納税の詳しい仕組みはこうだ(図A参照)。まず都道府県や市町村を選んで寄付をする。自治体に寄付の領収書をもらい、それを添付して確定申告すれば、寄付額のうち2千円を超える分が所得税と住民税から差し引かれる。所得税は寄付した年に、住民税は翌年度分から減額される。
 住民税は住んでいる自治体に納めるものだが、ふるさと納税を活用すれば自ら寄付する自治体を選べる。制度名に「ふるさと」と付くが、寄付先は出生地でなくても構わない。
 例えば3万円の寄付をすると納税額が2万8千円減る。実際の自己負担は2千円にとどまる。複数の自治体に寄付をしても、追加の自己負担は発生しない。非営利組織(NPO)や公益社団法人などへの寄付でも納税額が減るが、ふるさと納税のようにほぼ同額分が軽減される制度はない。
 自己負担の2千円も払い損にはならない。約半数の自治体が寄付額に応じた特典を用意しており、2千円以上の価値のお返しをもらえることも多い。農水産物や工芸品、お酒やレジャー施設の割引券など幅広い。バランス良く特典を集めれば、生活費を浮かせることもできそうだ。
 長野県阿南町では1万円の寄付で町内産のコメを20キロもくれる。スーパーなどで買えば7千円ほどかかる高額特典だ。2万円で40キロ、3万円なら60キロになる。振興課に聞くと「寄付額は町の手元に残らない」という。農家から通常の出荷価格より高値でコメを買い取り、農家の経営を支えている。13年産米の申し込みは11月で終わった。14年産米は来春以降に始まる。
 鳥取県米子市の場合、1万円の寄付でハムや黒豚、地鶏といった64種類の特産品から1品もらえる。3万円の寄付なら2品になる。どの品物も5千円相当の価値がある。特典の豊富さもさることながら、同市はクレジットカード決済をいち早く取り入れるなど手続きが簡単な点でも評価が高い。
 食品以外で目を引くのはスポーツ関係。静岡県磐田市は1万円の寄付でサッカーJリーグのジュビロ磐田の観戦チケットを贈る。千葉市は高額の寄付をした人をプロ野球千葉ロッテマリーンズの本拠地であるQVCマリンフィールドの特別観覧席に招待している。
 ユニークな特典もある。大阪府泉佐野市は1万円の寄付で、市内の滝で荒行を経験できる。群馬県中之条町では100万円の寄付で「一日町長」として町内視察などを体験できる。その他の主な特典は表Bの通りだ。
 全国のふるさと納税を紹介するウェブサイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンク(東京・渋谷)の須永珠代社長は「特典が豪華になったことで使う人が増えた」と解説する。08年の導入以来、ふるさと納税の総額は東日本大震災義援金の寄付が膨らんだ11年を除くと年70億円前後にとどまっていた。しかし、特典の効果で集計中の12年は08〜10年より高水準だったもようで、13年も同じ傾向が続いている。
 寄付金の使い道を選べるのも人気の理由だ。教育や観光振興、スポーツ・文化の振興事業などから使途を選べる自治体が多い。
 いいことずくめのようだが、いくつか注意点もある。まず一定額を超える寄付は税金の軽減の対象から外れること。所得によって限度額が決まっており、夫婦共働きで子どものいない前述の佐々木さんの場合、軽減を受けられる寄付は3万4千円までが目安となる。限度額の計算が複雑なので「心配なら税理士に相談したほうがいい」(須永さん)。
■確定申告が必要
 次に、確定申告が必要なこと。寄付をしても寄付金控除の申告をしなければ税金は減らない。手続きの際に自治体からの寄付の領収書が必要なので、なくさないように保管しよう。
 確定申告の面倒さからふるさと納税の利用をためらう人が多かったが、最近は自治体が申告の説明書を送るような工夫をしており、使い勝手は改善している。国税庁は年明けに確定申告のウェブサイトを更改し、寄付金控除の流れを説明する動画を掲載する予定だ。今年分の確定申告が始まる1月半ばに間に合わせる。
 東京・銀座で個人の財産管理を行う税理士の植木康彦さんは「年間の所得の見通しが立ち、住民税を試算できる年末に寄付をするのが無難だ」と勧める。12月半ばのこの時期は、ふるさと納税の絶好の機会といえそうだ。
(江渕智弘)
[日本経済新聞朝刊2013年12月11日付]