藤野の散文-私の暗黙知-

毎日の中での気付きについて書いています

揺り戻しのただ中で

労働問題の発生件数は、すでに交通事故を抜き去り年間100万件超で推移しているという。
何でも労働裁判になった担当の裁判官が開口一番「(おたくの会社も)可哀そうに・・・」と言ったそうだから現場の様子は察しがつく。
そんな話題を、高度成長期バリバリの団塊世代の先輩と話していたら「時代も変わったもんだ。日本はもう成長しないねー」とのコメント。
かの時代のモーレツぶりは(それはそれで)凄いものだが、こういう話題は時代の振り子のようなもので、行き過ぎた労働条件が今は「厳格になる時期」であり、あと二十年もすれば、再び揺り戻しが来るのではないか、と自分は予想する。

思えば社会人になりたての三十年前から、ゆーっくりではあるが今のような動きの萌芽はあったのである。

行政も司法も、今の時代の労働の「実体」に則したルールを作るということが目的に違いないけれど、労働と対価についての考え方は企業によっても違うし、また個人によっても違う。
詰まるところ、個人が完全に自由裁量で働きつつ、企業や組織は「集団としての力」を発揮しようという困難なシステムへの挑戦なのだろう。
いずれにしても、最終的には働く人が自発的に選択できるような仕組みが必要なのではないだろうか。

それにしても、どちらも極端な世界は住みにくいわけで、こうして左右に揺れながら、本当の労働のスタンダードが企業と個人の価値観として根付いて行くのを願いたい。

労働問題で困ったら 手っ取り早い相談先あり

2014/10/13 7:00
デザイン関係の仕事をしたいと思っていたA子さんは念願かなって転職した。ところが数カ月後、前にいた会社から3カ月分の残業代が支給されていないことに気付いた。A子さんは会社に尋ねたが、明確な返事がもらえない。誰に相談したらいいのだろうか。



労働条件や職場環境などをめぐって個々の労働者と事業主の間で生じたトラブルを個別労働紛争と言います。厚生労働省はあらゆる労働問題に関する相談にワンストップで対応するため「総合労働相談コーナー」を各都道府県の労働局、労働基準監督署、主要都市の駅周辺のビルに設けています。


2013年度の相談件数は105万件余りと6年連続で100万件を超えました。前年度比では1.6%減ですが、なお高止まりしています。

労働者の賃金、労働時間、休暇などについて最低限の基準を定めるものに労働基準法があります。また、労働条件を定める際の基本的なルールを労働契約法が規定しています。

労働条件でトラブルになった場合は、労使団体の相談窓口なども利用できますが、「どこに行けばいいか迷うときは労働相談コーナーが便利だろう」と社会保険労務士の中村恭章さんは言います。

A子さんのケースのように残業代が支給されないというのは労働基準法違反です。相談コーナーから労働基準監督署を紹介され、タイムカードや給与明細などの証拠を監督署に提出すれば会社に通知が行きます。

採用されたときと労働条件が異なるような場合、例えば、ある市で勤務する条件で入社したのに、すぐに別の市に異動を命じられたというようなケースでは、労働局長による助言・指導を求めるか、あっせんを申請するか判断します。

助言・指導は、労働局が問題点を整理して、労働者や事業主に口頭で指導したり文書で通知したりして自主的に解決するよう促します。

あっせんは、弁護士や大学教授、社会保険労務士など労働問題の専門家で構成する紛争調整委員会が解決に向けてあっせん案を作るものです。申請書は相談者自身でも書けますが、専門家に依頼する手もあります。特定社会保険労務士の今中良輔さんは「法的な問題点を突いておけば、解決も早まる」と話します。

当事者が同意したあっせん案は民法上の和解契約の効力を持ちます。助言・指導で解決しなかった場合にあっせん申請に移ることもできます。いずれも無料で対応してもらえます。

助言・指導やあっせんを申請したことを理由に、事業主がその労働者に不利益な取り扱いをすることは法律で禁じられています。あっせんなどが不調に終われば、打ち切りとなります。トラブル解決のためには、労働審判手続きや裁判に訴えることになります。

[日本経済新聞朝刊2014年10月8日付]